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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2002年1月号
食料・農林漁業・環境フォーラムは、一九九九年三月に設立しました。フォーラムを立ち上げた趣旨について「設立の趣旨」には、「食料・農林漁業・農山漁村・環境問題などに対して、認識を共有し、相互理解を深めるとともに、新たな時代に向けての食の安全と安定供給、持続可能な農林漁業と農山漁村の発展のために貢献することを目的と」すると書かれています。
WTOの問題、農業の問題、漁業の問題、林業の問題などについて、ただ農業団体だけでやっていても進展しません。いかに国民のみなさんにご理解いただくか、広範な理解を求めるために設立して二年半、そういう理解と支援を広げていく運動に取り組んできました。
昨年一月には、フォーラムの活動を通して二十一世紀をどのような世紀にしていきたいか、フォーラムの役員によるメッセージを、日本農業新聞紙上で発表、アピールしました。
試行錯誤しながらやっていますが、活動の中心は理解を深めるための学習会、討論会、シンポジウムが中心です。学習会は十九回行いました。遺伝子組み替え食品の問題やセーフガード問題、WTO農業交渉についてや、雪印乳業の食中毒事故が起きたときには、それも取り上げるなど、その時期にかなったテーマで学習会をしています。また、年に一回、一千人規模のシンポジウムを行っています。新聞やホームページにも案内を載せて国民に呼びかけ、ご理解を求める運動としてやっています。シンポジウムでは農林漁業が食に果たす役割ということで、「食」を中心テーマにしております。
危機的な農業の状況
最近の農村、農業の状況は、「厳しい」を通り越しています。私の実家はみかん農家です。二〇〇一年は豊作だったのですが、価格がよかったのは最初だけで、あとはがた落ち、生産費割れしています。価格が下がって、二回も出荷停止になりました。価格が上がらない背景には不況があります。果物はいわゆる贅沢品で、そんなに高いわけではないし、昔から比べれば安くなってますが、この不況の影響が大きく響いています。
牛海綿状脳症(BSE)で、畜産関係はたいへんです。牛肉の卸値は半値になっていて、やっていけません。犠牲は農家や食肉業者に押しつけられています。畜産関係の友人の話を聞いていると、もうやるせないという感じを受けます。根本的な対策が必要だし、国に責任があると思います。
コメについても価格がものすごく安くなっていますから、やっていけません。特に大規模になればなるほど厳しいです。大規模につくっても、コストは変わらないのに値段は下がる一方で、生産費割れしてます。
ミニマムアクセスでコメを輸入しながら、国内で減反していることに矛盾を感じます。百万ヘクタールも減反していて、なぜ輸入しなければいけないのか。ルールだからやむを得ないかもしれませんが、現場には大きな不満があります。
このように農業をとりまく環境は、展望が見えない状況にあります。後継者も安心して就農できない。危機的な状況を超えていると思います。国が何らかの手を打たないと、日本農業はつぶれてしまいます。BSEやセーフガードが問題になっていますが、政府は農家の苦しい状態を放っておいて、許せないですね。
地方との連携を強めていく
現在五十四団体・個人の会員があり、さらに会員を拡大していきたいと考えております。
またこれまでも取り組んできましたが、地方との連携に力を入れたいと思っています。東京だけでシンポジウムを行っても、広がりが限られています。昨年は福岡県民フォーラムと全国のフォーラムが合同でシンポジウムを開きました。このような取り組みは初めてでした。すでに二十近くの県でフォーラムが設立されていますが、さらに多くの都道府県に地方組織を作って、連携した取り組みも進めていきたいと思います。
BSEの問題は、非常に大きな問題になっていますので、今年の早いうちに学習会・討論会で取り上げたいと思っています。また、引き続き食の安全の問題、地産地消について、また環境保全型農業などの課題も取り上げていきたいと思っています。WTOについてですが、昨年秋の閣僚会議で、交渉を始めることは合意し、宣言には日本が主張していた多面的機能についても盛り込まれました。しかし、本当の中身、交渉はこれからですので、引き続き取り組んでいきたいと思います。
農業、農家は大変な時期を迎えています。景気が多少でも上向いていればまだいいのですが、状況はよくありません。しかし、農業は食、命の産業ですから、大事にしたいと思っています。元気の出る農業になるように、われわれもがんばっていきたいと思っています。
政治信念だけじゃなく、幅広く、日本の農林漁業や社会全体を発展させなければいけないのですから、みんなで手をつないで、押し上げていきたいと考えています。
(文責・編集部)
食料・農林漁業・環境フォーラムのホームページ