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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年11月号

米国の報復戦争に世界中で批判高まる
許せぬ自衛隊派兵・戦争協力


■全国で、空爆・日本の参戦反対の声
■世界各地で報復戦争反対の行動
■悲劇を拡大するだけの空爆


全国で、空爆・日本の参戦反対の声

【東京】
◇十月十八日、平和フォーラム主催の戦争支援の新法に反対する集会が開催され、労働組合や市民など八千人が参加した(写真左)。米大使館や国会に向けてデモ行進を行った。

◇十月二十一日、日本消費者連盟などの市民団体主催の「テロにも報復戦争にも反対!市民行動」が開かれ、約千五百人が参加。「米国はアフガンへの報復戦争をやめよ」などと訴え米国大使館周辺をデモ行進した。

◇学習院女子大学(東京都新宿区)では、米国の同時多発テロを考える集いが開かれ、百二十人が参加した。

【大阪】
◇二十一日大阪で、「一〇・二一国際反戦デー関西集会」が開かれ、二千数百人が集まった(写真下)。国民連合・大阪ものぼり旗を立て、多くの会員も参加。集会では、米国戦争抵抗者連盟から連帯のアピール、新谷のり子さんの平和の歌、韓国や沖縄からの運動報告、韓国やフィリピンからメッセージがあった。集会後にデモ行進を行ない「アメリカは空爆をやめよ!」のシュプレヒコールが大阪の街に響きわたった。

【兵庫】
◇神戸市灘区では、女性と子どもの支援に取り組む「宝塚アフガニスタン友好協会」の西垣敬子さんが講演、「空爆の下で子どもたちがどんなに苦しんでいるか。想像するだけで胸がつぶれそう」と訴えた。

◇カトリック神戸中央教会では県内在住の音楽家らが「ラブ&ピースコンサート」を開催。

◇軍事報復に反対する集会が二十一日、洲本市で開かれ、労働組合や各種市民団体から約百五十人が参加。参加者は「米の報復戦争の中止」「自衛隊派兵反対」を訴えた。

【山口】
◇岩国市で二十一日、「有事法制反対in岩国集会」があり三百人が参加。県平和運動フォーラムの主催。前田哲男・東京国際大教授が「対米支援新法の問題点」と題して講演。集会後、米軍岩国基地北門までデモ行進し、「集団的自衛権の行使反対」「報復攻撃の停止」などを訴えた。

【香川】
◇社民党県連や県平和労組などでつくる国際反戦デー県実行委員会は十九日、高松市で県中央集会を開催。約六百人が参加した。「一般市民を巻き添えにしたテロや米英アフガン攻撃は最大の人権破壊であり許せない」との集会宣言を採択した後、参加者は商店街をデモ行進した。

【愛媛】
◇米国のアフガン攻撃と日本の戦争協力に反対する「一〇・二一ピース・ウォークin愛媛」が松山市内であり、県内の反戦グループやキリスト教団体から市民約三十人が参加。「戦争反対」「日本は戦争に協力するな」と市中心部を行進した。

【長崎】
◇市民グループ「テロにも戦争にも反対する市民の会」は、長崎市の爆心地公園で、米中枢同時テロに対するアフガンへの報復攻撃や自衛隊派遣に反対する市民集会を開いた。市民ら約五十人が参加。舟越耿一長崎大教授は「米国は空爆をやめ、司法的解決をすべきだ。自衛隊の派遣は許せない」と訴えた。集会後、ピースウォークで反戦を訴えた。

【熊本】
◇九州各県の労組などが二十一日、熊本市で「一〇・二一国際反戦デー九州ブロック総決起集会」を開き、約三千百人が参加。河瀬和典・くまもと21労組会議代表幹事が「新たな憎悪を生み、市民に被害をもたらす報復攻撃に抗議しよう」とあいさつ。衆院議員の今川正美氏は「戦争を応援しながら難民を支援するのは矛盾する」と日本の対応を批判した。集会決議を採択し、デモ行進した。

【沖縄】
◇沖縄平和運動センターと各地区労は二十一日、那覇市で「一〇・二一国際反戦デー県集会」を開催、約五百人が結集。「米国だけが正義ではない。テロや報復戦争、日本の米軍支援に反対し、平和的解決を求める」「観光客減少など県内の経済的不利益は基地があるためだ」と訴えた。国際通りをデモ行進し「沖縄を戦争に巻き込むな」「自衛隊の海外派兵に反対」などと訴えた。

◇「報復戦争に反対する一〇・二一反戦集会―今、沖縄基地を問う」が二十一日、那覇市であった。沖大学長の新崎盛暉同連絡会共同代表の講演とシンポジウムが開かれた。新崎氏は「米国でなぜ同時多発テロが起きたか、考えるべきだ」と説明。「国家テロも糾弾しなければいけない」と米国の軍事行動を非難した。

◇市民の立場から、テロと報復の連鎖を止めるためにどう行動すればいいのか―。「基地軍隊を許さない行動する女たちの会」が那覇市で二十一日、「第十七回うないフェスティバル」を開いた。

◇三十日北谷町で、テロと米英の報復戦争に反対する中部住民集会が開かれ、千五百人が参加。山内徳信元県出納長は「平和な観光と基地は共存できない」と訴えた。

世界各地で報復戦争反対の行動

【アジア】
◆パキスタンでは9月21日にカラチで三万人の反米デモ。10月8日にクエッタで一万人の反米デモ。12日にペシャワルでは一万人が反米デモ。カラチでは数百人が米国抗議、一部が米国系のファーストフード店などを襲撃
◆世界最多のイスラム教を有するインドネシアでは連日のように反米デモが起こっている。10月9日にはマカッサルで学生が日本総領事館に押しかけ、アフガン空爆を支持する日本政府に抗議行動。19日には首都ジャカルタで一万人の反米デモ
◆インドでは10月14日、七万人の集会とデモ
◆バングラデシュでも大規模なデモ
◆マレーシアでは10月12日、イスラム教徒を中心に米国大使館前で三千人が抗議デモを展開
◆トルコで10月12日、政府の米国支援の派兵に抗議して二千人デモ
◆韓国では10月20日、八団体が共同して「報復戦争反対・平和実現!新自由主義グローバリゼーション反対!全国国民大会」が約五千人の参加で行われた。
◆イラク、イランなどでも反米デモ。

【ヨーロッパ】
◆イタリアのローマで9月21日に一万人が報復戦争反対の集会とデモ、29日に十万人のデモ、10月8日に一万人デモ。ナポリでは9月27日に一万人が反戦デモ。10月13、14日にはイタリア全土で二十五万人のデモ
◆ドイツのベルリンで9月22日に労組や平和団体が一万人デモ。10月3日に一万人デモ、参戦姿勢のシュレダー首相を批判
◆イギリスでは9月22日に各地で報復戦争反対の集会とデモ。ロンドンで10月8日、空爆中止を求めるデモ
◆フランスのパリで10月11日、四千人のデモ
◆スペインのバルセロナで七十団体による五千人の反戦デモ
◆ギリシャのアテネで労組やアムネスティなど数千名のデモ
◆オランダのアムステルダムで9月30日に一万人の集会。

【その他】
◆米国では9月29日、ワシントンで一万人、サンフランシスコで五千人の反戦デモ。「アフガニスタンを第二のベトナムにするな」などと訴えた。空爆開始の7日にはニューヨークで一万人、サンフランシスコで二千人など全米各地で緊急反戦集会を開きブッシュ大統領の報復戦争を批判
◆オーストラリアのメルボルンで9月29日に千人の反戦デモ
◆エジプトでは各地で大学生が米軍のアフガン攻撃反対のデモ。10月8日には二万人規模の反米デモ
◆スーダンでも8、9日と米大使館に向けた抗議デモ
◆ケニアのナイロビでも12日に八千人の反米デモ
◆オマーンなどでも反米デモ。

各国政府からも批判の声

◇マレーシアのマハティール首相は10月12日、「米国は空爆をやめるべきだ」と明言◇インドネシアのメガワティ大統領は15日、「犯人を捜すという理由で人々や他国を攻撃することは容認できない」と米英軍のアフガン攻撃を批判◇パキスタンのハイダー内相は28日、「米国のアフガン空爆政策の見直しを求める世界的世論の圧力は増大している。特に多数のアフガンの民間人が犠牲になっていることにイスラム教徒は心を痛めている」と発言◇カタールのマハド外相は「罪もないアフガン国民を犠牲にする米国の空爆は許せない」と発言◇イエメンのサレハ大統領は「一方的なアフガン攻撃が続けばイスラム社会はほう起する」と警告。

悲劇を拡大するだけの空爆

干ばつと空爆で難民問題深刻

◆アフガニスタンは三年続きの干ばつで、食糧と水不足が深刻だ。世界食糧計画によるとアフガンの今年の穀物生産量は二百万トンで一九九八年の半分。国内で三百八十万人が飢えと渇きに直面している。その数は空爆後急増している。
◆アフガン難民は、空爆前の時点ですでに三百五十万人(パキスタンに二百万人、イランに百五十万人など)に達している。新たにパキスタンへ百万人、イランに四十万など百五十万の難民が流出すると、国連難民高等弁務官事務所はみる。国外にも出られない避難民はさらに悲劇。

すでに千人の民間人が犠牲

◆米英軍の空爆で民間人への犠牲が広がっている。カブールにある地雷除去の国連関連NGO事務所爆撃で職員四人死亡、ジャララバート近くの村が壊滅し二百人近くが犠牲。住宅地への爆撃等々、千人以上が犠牲になっているといわれている。
◆米週刊誌タイムは、アフガニスタンのタリバン勢力に対する空爆の効果について「米国防総省の最も甘い評価でも目標に命中したのは八五%で、一五%にあたる百五十発以上は誤爆」と報じた。

飢餓に苦しむアフガン民衆

 医療NGO「ペシャワール会」現地代表の中村哲氏が衆院テロ対策特別委で行った参考人発言の一部を紹介する(文責編集部)

◇ペシャワール会は一九八三年からパキスタンのペシャワールを拠点にして、一病院と十診療所をもち年間二十万人の診療を行っている。うち八診療所はアフガニスタン国内にあり、貧困層の診療を行っている。

◇アフガニスタンでは、七九年ソ連侵攻以来二十二年間、内戦も含めて多くの民間人が犠牲になっている。昨春に国際機関が「アフガンの干ばつの被災者は千二百万人、四百万人が餓死線上、百万人が餓死するだろう」と警告を出した。私たちは水資源確保事業にも取り組んできた。

◇今年一月の国連制裁によって外国の救援団体が撤退し事態はさらに悪化した。カブールには干ばつで逃れてきた百〜百五十万人の国内避難民であふれている。うち一割が今年の冬を越せない、三割から四割は慢性の飢餓状態。そういう中で空爆が始まった。冬を間近に控え、難民が出てからでは悲劇が大きくなるので餓死者を出さないために緊急の食料配布を準備している。

◇日本では「無限の正義の米国対悪の根源タリバンとの闘い」という図式になっており、情報コントロールに置かれているように思える。

◇日本では、テロは力で押さえ込まないとだめだということが自明の理のように議論されていて、危ぐを抱く。あの地域への自衛隊派遣は有害無益だ。平和国家としてやってきたという信頼感、私たちが十数年かけて築いてきた信頼感があり、現地の対日感情は非常にいい。それが軍事的プレゼンスによって「やっぱり米英の走り使いだったのか」という認識になると、私たちは働きにくくなる。難民キャンプを外国の軍隊が守るということはない。それは現地の警察の仕事。パキスタンは独立国家。そういう意味で(自衛隊の派遣を)有害無益と申し上げた。

◇今回のテロ事件を蛮行というなら、アフガニスタン空爆も蛮行。政治目的のために市民を巻き添えにするのがテロなら、同じレベルの報復行為ではないか。テロ防止という場合、敵意を減らすことが重要で、力によって敵意が減ることはない。

◇いま死にかけている人をとにかく助けて救援を待つ活動をしたい。二千円で十人家族が一カ月生き延びられるが、これを配分するシステムがまだ確立していない。私たちNGOにはノウハウがある。十数年間築いてきた信頼を前提に、飢餓難民を出さないための活動に着手している。小麦粉も自由に入れられる状態にある。日本の顔が見える援助というなら、日本が直接物資を送るべき。国連機関を通すより何倍もの物資が入っていくのではないか。

◇「正義の米国対悪のタリバン」という単純な図式はあまりにも無理があるし、米英に押される北部同盟が「圧制からの解放者」だとは誰も信じていない。