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全国総会アピール
世界の歴史はいま、米国の一極支配から多極化の時代へ、転換期に入りました。米国の中枢を直撃した同時多発テロは、転換点を表す象徴的な事件となりました。
米国はこの十年間、他国からの借金を増やしながら、マネーゲームによる株価の高騰で繁栄をおう歌し、その陰で貧富の差を拡大してきました。その矛盾が限界にきて景気減速が進んでいた時にテロ事件が起こり、米国は深刻な不況に突入しました。米国の一極支配に対する各国の反発が広がっている時に、最強の軍事力でも安全を保障できないことが明らかになり、米国の威信はうち砕かれました。米国は一国ではテロ事件に対処できず、各国に協力を求めざるを得ませんでした。
アジアにおいては十三億人の中国が、「世界の工場」と言われるほどめざましい経済成長を続け、二〇二〇年代には日本に追いつき、世界の経済大国になるであろうと予測されています。EU諸国では、来年一月から統一通貨ユーロの使用が始まり、EUは名実ともにひとつの経済圏となり、新たな力として台頭するでしょう。
他方で日本は、日米安保条約によって半世紀にわたり米軍の駐留を認め、米軍に治外法権に等しい特権を許し、巨額の国費を貢いできました。米国は日本を守るためではなく米国の世界支配を維持するために在日米軍基地を自由に使い、そのため沖縄や基地周辺の住民は米軍・米兵による殺傷、レイプ、放火、事故、騒音、環境汚染などで生活と安全を脅かされてきました。しかし、政府は独立国としての誇りや気概もなく、このような不平等条約を国政の基本にすえ、日本を属国同然の地位におとしめてきました。今回のテロ事件でも、小泉内閣はテロの起こらない平和な世界をめざすのではなく、米国の報復戦争支援に自衛隊を動員することを最優先し、平和憲法をねじまげてまでテロ対策特措法を制定しました。
政府は経済や外交においても米国の言いなりで、コメの市場を開放して農村を疲弊させ、自ら提唱したアジア通貨基金を断念しました。八〇年代後半、国内経済が加熱気味のときに米国経済のために金利を引き下げたため、日本はバブル経済となり、結果として今日の深刻な不況を招く一因となりました。米国流の市場主義・競争主義を徹底させる小泉内閣の構造改革によって、不況はいっそう深刻になり、失業率は一挙に五・三%にはねあがりました。
日米安保条約でアジアに対する日本の戦争責任はあいまいになり、日本独自のアジア外交も欠落
しました。自国の戦争責任を徹底追及したドイツと異なり、日本では侵略戦争・植民地支配を正当化する政府・与党幹部の発言が後を絶ちません。歴史教科書問題や靖国神社参拝問題は、アジア諸国の激しい反発を引き起こしました。こうしてアジア諸国との間に深い不信の溝を形成してきました。
歴史の転換点にあたって日本がなすべきことは、対米従属・アジア蔑視の政策を根本的に転換することです。
第一に独立国としての自尊心を取り戻し、日米安保という不平等条約の終了を宣言して米軍基地を撤去し、米国に日米平和友好条約の締結を提案することです。真の日米友好関係は、主従の関係ではなく対等平等な関係の上にしか築かれません。
第二に侵略戦争・植民地支配の歴史を誠実に反省し、それを具体的な行動で示して、アジア諸国の信頼を回復することです。そうした信頼回復を基礎にアジアと共に生きる道を追求し、アジアにおける多国間の安全保障機構や経済協力機構の実現に貢献すべきではないでしょうか。
日米安保を終了させ、沖縄から全土から米軍基地を撤去し、自主平和外交でアジア共生の道を進むために、力をあわせて国民世論と国民運動を盛り上げようではありませんか。
二〇〇一年十一月二十四日
広範な国民連合第九回全国総会