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内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
小泉首相は「8月15日に靖国神社に参拝する」とたびたび表明してきました。しかし、内外の厳しい批判に直面して、7月11日の閣議決定で「村山首相談話に示された見解と矛盾するものではない」、「A級戦犯に対する東京裁判の否定につながるものではない」、「今後の対応については、現在、熟慮している」との態度を明らかにしました。
1995年の村山首相談話は「わが国は、・・・・国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。・・・・痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします」、「私たちは過去のあやまちを2度と繰り返すことのないよう、・・・・これら(近隣)の諸国との間に深い理解と信頼にもとづいた関係を培っていくことが不可欠と考えます」と述べています。
靖国神社は、天皇のために死んだ軍人・軍属を「英霊」としてまつり、戦前の教科書が「ここ(靖国神社)にまつってある人々にならって、君のため国のためにつくさなければなりません」と述べているように、若者の戦意を奮い立たせ、戦争にかりたてる精神的支柱の役割を果たしてきました。靖国神社は1978年、戦争への道を推進した東条英機らのA級戦犯を「昭和受難者」として合祀し、「東京裁判は不当な裁判」と主張しています。広島・長崎の原爆、各地の空爆、沖縄地上戦などで亡くなった人々、まして日本の植民地支配と侵略の犠牲にされたアジア諸国の人々はまつられていません。
首相の靖国神社参拝は、どのように弁明しようと、村山首相談話と明白に矛盾し、A級戦犯に対する東京裁判の否定につながるものと言わざるを得ません。現実に、首相の靖国神社参拝の考えが、植民地支配と侵略によって多大の損害と苦痛を与えた韓国や中国の激しい反発と抗議を引き起こし、日本に対する理解と信頼を傷つけています。日本が将来にわたって平和で安定した発展をとげるためにも、深い理解と信頼に基づくアジア諸国との友好関係は不可欠であり、首相が靖国神社参拝を強行すればわが国の国益を大きく損なうものとなります。
わが国は、靖国神社を中心とする政教一致の国家神道が軍国主義の精神的基盤となってきたことの反省にたって、憲法20条で「信教の自由・政教分離」の原則を確立しました。このような経緯にてらせば、首相の靖国神社参拝はどのような形式や日時でなされようと憲法20条に違反し、したがって憲法99条の「憲法尊重擁護の義務」にも違反するものです。
小泉首相が、「今日のわが国の平和と繁栄は戦没者の尊い犠牲の上にあり、二度と戦争を起こしてはならないという気持ち」を表そうと真に願うならば、沖縄県の「平和の礎」のようにいっさいの宗教色を廃し、軍人・民間人、国の内外を問わず、先の戦争で犠牲となったすべての人々を慰霊する場を設けるべきではないでしょうか。
私たちは、小泉首相が以上のことを熟慮し、靖国神社の参拝を中止するよう求めます。
2001年8月8日
自主・平和・民主のための広範な国民連合
代表世話人 大槻勲子 福地曠昭 伏見康治
槙枝元文 武者小路公秀 本島 等