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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年8月号

一日も早く日朝国交正常化を! 東京で集会

誤った歴史観に未来はない


 一九三七年の盧溝橋事件からちょうど六十四年たった今年の七月七日、広範な国民連合・東京は7・7集会「一日も早く日朝国交正常化を!」を開いた。 この集まりは清水潤(日本朝鮮文化交流協会事務局長)、隅谷三喜男(東京大学名誉教授)、中江要介(元駐中国大使)、槙枝元文(朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会議長)、吉田康彦(大阪経済法科大学教授・北朝鮮人道支援の会代表)の五氏と、東京の代表世話人・片岡健が呼びかけたものである。
 まず呼びかけ人の代表あいさつとして片岡が「私は小学校では皇国史観の教育を受けてきた。 昨今の『新しい歴史教科書をつくる会』の人たちの策動を見ると、子どもの頃の教育が繰り返されようとしており、忘れかけていた思い出を彷彿(ほうふつ)とさせて非常に心配をしている」と述べて、集会開催の経緯を説明した。このあと、朝鮮史がご専門の奈良女子大学名誉教授の中塚明先生に「南北共同声明一周年と日朝関係の正しい歴史認識を」と題して記念講演をしていただいた。
 先生は韓国の「東学農民革命国際学術大会」に参加し、韓国人の心に生きつづける東学精神を肌で感じるとともに、大会を組織した四十代の研究者の中に韓国民主化運動の基礎と、南北首脳会談・共同声明を実現した深部の力を見た思いを述べられた。
 「つくる会」の教科書はもとより、既成の教科書にも見られる誤りや歪曲と、日本人の朝鮮への無知と偏見を指摘。さらに、戦後日本人の朝鮮認識・アジア認識を阻んできた要因として、根源的には天皇の戦争責任の免責があるが、国民的には例えば司馬遼太郎の歴史観のように「明るい明治」「汚辱の昭和」という見方の落とし穴など、多くの問題を提起された。
 そして、日本人自身が自己の朝鮮認識・アジア認識の省察を怠らず、二十一世紀にふさわしい歴史認識を持つことの大切さ、誤った歴史観に未来がないことを強調されて、参加者は深い感銘を受けたのである。
 講演のあと、質問・発言に移り、北朝鮮による拉致被害者家族会の方の「拉致をどう思うか」という質問をめぐり、「拉致の決定的証拠は何もない」「いや、韓国裁判で不法入国者が逮捕され、自白した」「戦後日本の裁判だって冤罪がある。まして軍事独裁政権の裁判は信用できない」等々、参加者も含めて意見の応酬もあった。
 集会は最後に、日本政府が今こそ積極的なイニシアチブをとって一日も早く日朝国交正常化の交渉を始めるよう、首相と外相宛の申入書を参加者一同の名で採択した。