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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年5月号
米海軍厚木基地(大和市と綾瀬市)に隣接する産業廃棄物処理会社の排煙問題で焼却炉撤去が決まった。産廃業者への補償金約五十一億円、撤去工事費約九億円、計六十一億円の国費が投入される。国内法に抵触しない焼却炉を国費で撤去する米軍優先の超法規的措置である。厚木基地爆音防止期成同盟の鈴木保委員長に伺った。
産廃施設の焼却炉の排煙は夏場は北西に位置する基地の米軍住宅に流れ、冬場は南西の工業団地(綾瀬市)に流れている。数年前から米軍は排煙問題で騒ぎはじめ、昨年にはコーエン国防長官が現地視察することになったら、とたんに瓦防衛庁長官と清水環境庁長官が視察に訪れた。産廃業者は県の改善勧告を受け入れ昨年春、排煙をろ過するバグフィルターを設置し、ダイオキシンなど県の環境基準に合致しているという結論が出た。しかし、三月には米軍が横浜地裁に操業停止の仮処分を申請。政府は煙突を百メートルにする等の対策を出していたが、結局、今回のような決着になった。
国は、「環境と基地の両方の問題であり、基地を安定的に提供するために防衛施設庁が担当した」と言っている。
工業団地や近隣住民のことを考えれば良いことだが、住民の要求で焼却炉撤去になったわけではなく、アメリカが騒いだから日本政府が動いた。住民の声は聞かないのに、アメリカのいうことは、一〇〇%言うことを聞く。米国の要求に屈服した決着だ。国は思いやり予算で米軍住宅などを建て、今度は税金を使って焼却炉を撤去する。国民の税金を何だと思っているのか。地域住民が長年にわたって苦しみ続けている米艦載機の夜間離着陸訓練(NLP)の騒音問題などには耳を傾けないのに、アメリカ・米軍の苦情には即刻対応する。怒りを感じる。
毎年、開かれている基地開放(今年は七月一、二日)でのデモフライト(曲芸飛行)について、米軍が「今年はやらない」と決めた。われわれは、ずっとデモフライトに抗議し中止を要求してきた。昨年四月の防衛庁への抗議行動でもNLP中止と合わせて要求してきた。住民の要求を背景に地元自治体が米軍に中止を要請してきた結果であり、一定評価する。しかし、司令官の発言は、「今年はやらない」と言っているに過ぎない。また「他の通常訓練やNLPはいままで通りやる」と言っている。冗談ではないと言いたい。NLPも含めて中止すべきだ。
米原潜による「えひめ丸」沈没事件で、米軍の横暴さを改めて感じた。日本政府の対応は非常に弱腰だ。元艦長は軍法会議にかからず、減給という処分。十月に名誉除隊して軍人恩給を受けると言われている。厳しい処分をすれば軍の志気が低下するなどの判断があったのではないか。軍法会議で大惨事の原因と責任、厳しい処分をのぞんでいた遺族・関係者は憤まんやるかたないと思う。日本政府がもっと強硬に対応すべきだと思う。米軍横須賀基地を中心に相模湾などには米原潜が多すぎる。他人事ではない。
これからの問題だが、米軍基地にかかわる問題が議論される日米合同委員会での議事録を開示・情報公開させる必要があると思う。米軍は本国で情報を出している。例えば、横須賀の原子力空母の計画、PCB問題、米艦船の民間港寄港など。東京の福生市議会では横田基地の滑走路の大改修の計画が明らかになっており、そうなれば厚木基地にも影響が出る。県民に分かるように公開させる必要がある。 (文責編集部)