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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年4月号

輸入急増で国内産業の危機

繊維セーフガード発動を

四国タオル工業組合青年部会長  丸山 要


 愛媛県今治市周辺と大阪の泉州地域の二つの地域がタオル製造の大部分を担ってきました。今治市のタオル製造は約百年の歴史があります。
 日本タオル工業組合連合会に加盟している加盟企業では倒産や廃業が相次ぎ、一九九〇年の九百二十五社から半分以下の四百五十七社に減りました。四国タオル工業組合に加盟しているのは現在、二百十八社です。今治市にとってタオルは有力な地場産業で、携わっている人口が非常に多く、輸入タオル急増で雇用に大きく影響を与えています。企業体もありますが、親父が機織り、母親が糸巻きという家内工業が多く、大阪の泉州地域も同様です。
 ところが近年、輸入タオルが激増し、昨年の輸入量は前年より約一七%増加し、国内需要の六割が輸入という状況です。輸入が急激に増えたと感じるのは、ここ五年くらいです。
 私どもの丸山タオルは、従業員約五十五名です。まだ機械が止まるという状況はありませんが、以前は二カ月程度の仕事がありました。現在は目先の仕事に追われ、ロスが多く、売価も下がっています。
 ですからタオル業界を取り巻く環境は厳しい。当然、われわれはタオル工業組合での勉強会、個々の企業で販路開拓や新商品開発など自助努力もやっています。しかし、あまりにも急激な輸入の増大で、自助努力の効果が上がらない。セーフガードの要請は、輸入の急増という向かい風を追い風にということではなく、向かい風を少し弱めてほしいということです。セーフガード発動で物価が上がるかのような報道がされていますが、これは間違った認識です。
 私たちが求めているのは、世界貿易機関(WTO)繊維協定に基づく繊維セーフガード(輸入制限措置、TSG)です。期間は三年間。発動された場合、一年目は前年並み、二年目は一〇六%以上程度(二国間協議で決まりますが一〇八%か一一〇%)の輸入が許され、三年目も同様です。つまり、輸入が減るわけではなく、前年比一七%増という状況に少しブレーキがかかるだけ。私たちにすれば、努力の割にささやかな結果しか出ない可能性があります。けれども何もしないよりはましです。
 今治には、中国に進出した企業が数社あります。彼らはTSGに反対しています。世間からみれば兄弟喧嘩のようなもので、そういう報道も一部にされています。進出企業は成長が妨げられるのではないかと反対しているわけで致し方ないと思っていますが、産地全体の組合で決めた事業ですから、できるだけ理解を求めていきたい。
 どの国でも自国の産業を守る措置をしています。例えば、イタリアでは絹織物に高い関税がかけられます。それだけ自国の産業を守っています。ところが、日本の場合、繊維にしても農産物にしても自国産業を守る仕組みがないのが現状です。TSGはささやかなお願いなのです。
 TSGが発動されず輸入急増が続けばどうなるか。私たちのシュミレーションでは、現在六割強の輸入品がまたたく間に八五%になる。そうなると国内生産はわずか一五%で、国内メーカーは三十社もあればよく、残り百五十社はいらなくなります。まさに壊滅的です。
 TSGが発動されている間に、新商品の開発などわれわれも自助努力して、生き残りをかけたい。それでもだめなら企業人として恥ずかしくないと思います。
 大阪タオル工業組合と四国タオル工業組合は連携し、昨年夏に同時に輸入断固阻止決起大会を開きました。また、全国織物危機突破大会を開いた際も、連携して国会に陳情を行っています。
  (文責編集部)