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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年3月号

アジアの共生に逆行する「つくる会」の動きに

反撃の闘い全国に広がる


 他社の教科書を「自虐的」などとひぼう中傷し、自ら侵略戦争や植民地支配を正当化する教科書をつくり、扶桑社、産経新聞社と三位一体になって異常な教科書運動を展開する「つくる会」。各地での集会、高嶋氏と上杉氏による公取委への排除申告を通じて、彼らのねらいが明らかになるにつれ、反撃の闘いが全国に広がっている。
 地方議会において「つくる会」の請願を阻止すること、あるいは彼らが教育現場に介入することを排除する(対抗する)決議をあげることは引き続き重要。また、検定合格となった場合は、彼らの教科書の内容を広く知らせ、教育委員会などに採択しないよう働きかけよう。
 教科書問題にとどまらず、日本とアジアの平和・共生にかかわる問題だ。世論を高め、力を合わせて「つくる会」などの策動を阻止しよう。


各地での集会など

【東京都】
 二月十一日、「アジアと日本―歴史教科書を考える」集会が開かれ、約二百人が参加した。主催はフォーラム平和・人権・環境。
 主催者の江橋崇代表は「森内閣誕生の経過、対中国ODA削減論、石原知事の「三国人」発言、小学館や文春などの反中国キャンペーン、それに教科書問題など、最近の国家主義はアメリカの対中国戦略、日米安保の枠内の国家主義とみるべきだ」と指摘し、「でたらめな歴史認識の教科書とは闘いぬく」とあいさつ。
 関西大学講師の上杉聰氏が「日本人と歴史認識―何が問題か『教科書問題』をめぐって」と題して講演。上杉氏は、「つくる会」が検定申請している教科書の問題点と彼らの戦略や活動内容を明らかにし、公取委に排除申告した内容や今後の闘いについて講演した。
 在日韓国民主女性会の金寿子氏が「アジアから見た日本人の歴史認識の問題点」について報告した。
 二月十五日、浜林正夫一橋大名誉教授ら歴史学者八百八十九人が、「神話を歴史的事実のように記述するなど、事実をゆがめ、非科学的なものだ」と批判するアピールを発表した。その他にも歴史学者や教育学者による同様のアピールが続いている。
 二月二十四日、東京で「『日本の教育はどこに向かうのか』―教育改革国民会議のねらい―」(主催・こどもと教科書全国ネット21)が開かれ、法政大学の児美川孝一郎教授の講演と討論などが行われた。
【福島県】
 二月十日、「教科書問題」「プルサーマル計画に反対」をテーマにした集会(主催・県平和フォーラム)が開かれ約五百人が参加。上杉聰関西大講師と吉岡斉九州大教授が講演。
【神奈川県】
 二月四日、横須賀で「『学校が危ない』教育現場への管理強化と戦争への道」(実行委員会主催)で開かれた。講師は、高嶋伸欣琉球大教授。
 二月九日、横浜で「新しい歴史教科書をつくる会『歴史・公民』教科書批判」の集会が開かれ約百人が参加。主催は高嶋教科書訴訟を支援する会。講師は高嶋伸欣琉球大教授。
【奈良県】
 二月十四日、「日本と歴史と教科書を考える奈良県集会」に約百五十人が参加。奈良県平和フォーラム、ゆとりと希望の教育を実現する奈良県協議会の共催。講師は上杉聰氏。
【岡山県】
 二月十一日、「紀元節復活反対・歴史認識と教科書問題を考える集会」(県平和センターなどが主催)が開かれ約百人が参加。講師はこどもと教科書全国ネットの俵義文事務局長。
 二月十一日、日本原駐屯地の奈義町では「反核・軍縮・日本原基地撤去県民集会」に約二百三十人が参加。
【佐賀県】
 二月二十一日、県教職員組合主催の「教科書問題を考える学習会」に約百五十人が参加。講師は俵義文氏。
【熊本県】
 一月三十日、実行委員会主催で、集会とデモに約三百人が参加。三月二日、佐高信氏の講演会を予定。
【石川県】
 一月三十一日、金沢市で「歴史教科書の改悪を許さない県民集会」が開かれ、約百人が参加。主催は県平和運動センター。

地方議会での取り組み
 編集部の調査では二月末現在、「つくる会」関係者が請願を提出しているのは全国二百八十二市区町村議会。うち九十九議会が採択、継続審議が八十三、保留・取り下げ・否決が五十一となっている。全国約三千三百議会の中で「つくる会」の請願が採択されたのは圧倒的に少数である。都道府県議会では二十八議会で採択されたが、これらの多くは昨年十二月前に採択されている。
 市民団体や労働組合が対抗して「カウンター請願」を出すようになり、「つくる会」は議会の定めた請願提出期限の五分前や一時間前に提出するなど、極めて謀略的になっている。これは正当には論議を出来ない自らの弱さを露呈しているとともに、労組や民主団体によるカウンターパンチ(請願)が効いていることを認めていることになる。
 仙台市議会では、姉妹都市である中国の長春市との関係が議論になり、「つくる会」の請願を却下した。二〇〇〇年四月現在、全国の地方自治体は中国、韓国、北朝鮮、台湾の三百八十二都市と、また東南アジアの三十都市と姉妹都市提携をしている(全国・アジア友好姉妹都市一覧)。自治体レベルでアジアとの交流・共生を進める上で、侵略戦争を肯定する「つくる会」の教科書は大きな障害となる。彼らの請願を阻止する論拠となる。

アジアの共生に逆行、反発強まる
 中国の江沢民国家主席は二月二十七日、中曽根康弘元首相と会談した際、教科書で侵略戦争を美化する記述を認めないよう求めた。台湾でも従軍慰安婦の存在を否定する「つくる会」グループの見解に批判が高まっている。台湾は三月三日、「台湾論」を書いた小林よしのりの台湾入境拒否を決定した。
 二月二十八日、韓国の国会は本会議で日本による過去の植民地支配を正当化するなど歴史をわい曲している教科書があるとして、日本政府に是正措置を求める決議を採択。金大中大統領も同趣旨の発言。また「歴史のわい曲を許すな」と連日のように抗議行動が続いている。