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一月九日、沖縄本島で在沖米海兵隊キャンプ・ハンセン所属の米兵が女子高生のスカートをめくり写真を撮るという、強制わいせつ事件を起こした。学校で新学期の始まったこの日、米兵の人権を無視した行為に新しい希望に膨らむ子供たちの夢が踏みにじられた。
昨年七月の米海兵隊員による女子中学生わいせつ事件後に実施された「オフリミッツ」が解除された途端の事件であり、十四日には米海軍兵が傷害事件を起こすなど、米軍人・軍属による事件が後を絶つ気配はない。米側のいう「綱紀粛正の徹底」では問題が少しも解決しないことは明白だ。
一月十一日付の米紙「ワシントン・ポスト」ではキャンプ・ハンセンの元司令官ゲーリー・アンダーソンが「海兵隊員の犯罪率が特別に高いと思わない。米軍のプレゼンスに反対する日本の政治家が、すべての事件を宣伝している」と発言している。県民感情や人権をまったく無視した、占領意識むき出しの発言ではないか。
沖縄返還から二十九年にもなるというのに、未だに占領下と同じように在日米軍の米兵によって、日本人の人権がじゅうりんされている現実に、私たちは激しい怒りを覚える。日本は米国の植民地ではない。
私たち自主・平和・民主のための広範な国民連合は、これら一連の米兵による犯罪に断固として抗議する。同時に、これらの事件の根源が米軍基地の存在にあり、米軍駐留の基盤である日米安全保障条約をなくし、米軍基地を即時撤去することなくして問題の根本的な解決はあり得ないと考える。日米安全保障条約は相手国へ通告すれば一年後に終了することになっている。
私たちは、日本政府が米国に対し、米軍基地の整理縮小・撤去を迫ると同時に、日米安全保障条約の終了を通告し、同条約を廃止することを強く要求する。
二〇〇一年一月二十五日
自主・平和・民主のための広範な国民連合 常任世話人会議
自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年2月号
沖縄でまたしても米兵がわいせつ事件を起こした。被害を受けたのは十六歳の女子高生。年が明け、新学期が始まった一月九日、人通りのある住宅地で事件は起きた。
在沖米海兵隊のキャンプ・ハンセンに所属するレイバン・ゴーゴル(二一)は九日夜七時半ごろ、道ばたの花壇に座っていた女子高生のスカートをめくって写真を撮った。助けを求める声を聞いた男子高校生数人が米兵を追いかけ、駆けつけた警官が逮捕した。
沖縄では昨年七月に、やはり米海兵隊員が、自宅で寝ている女子中学生の部屋へ押し入りわいせつ行為をするという言語道断な事件が起きたばかりだ。昨年の事件後、米軍は繁華街の酒類販売店への夜間立ち入りを禁止する「オフリミッツ」を実施。「実施後に事件・事故が減少している」として一月五日正午、オフリミッツを解除した。事件が起きたのはその四日後である。
年末には山火事・ヘリ事故も
昨年末には、老朽ヘリの不時着事故や、実弾訓練による山火事も起きている。
十二月二十八日、与那城町役場のすぐ北側に普天間基地所属の中型ヘリが不時着した。現場から百メートルほどにはスーパーや公共施設が建ち並び、不時着した造成地には作業員二十人がいた。幸いけが人はなかったものの、事故を起こしたCH46は老朽化が指摘され、たびたびトラブルを起こしている。このような鉄くずが日常的に沖縄の空を飛び交っているとは!
二十九日には金武町で、キャンプ・ハンセンの実弾射撃訓練による山火事が発生。翌日の雨で自然鎮火したものの、火は一時、住宅から数百メートルまで迫った。火を出したレンジ4着弾地付近での火災は九月以降で三回目だ。
このような事件は一歩間違えば多くの生命を奪う大惨事となる。
相も変わらず引き起こされる在沖米軍人・軍属の事件・事故に、県民の生活は脅かされ、生命や人権はじゅうりんされ続けている。
元司令官、占領意識むき出し発言
わいせつ事件直後、十一日付の米紙ワシントン・ポストで、「海兵隊員の犯罪率が特別に高いと思わない。米軍のプレゼンスに反対する日本の政治家が、すべての事件を宣伝している」とするコメントが掲載された。発言したのはキャンプ・ハンセンの元司令官、ゲーリー・アンダーソン。この元司令官は九五年の少女暴行事件の直後、つまり県民の反基地感情が高まっているさなかにキャンプ・ハンセンへ赴任した。
米国は九八年、東アジア戦略報告で「作戦上の能力を維持しつつ、米軍は沖縄など駐留先の地元の懸念にこたえ、良き隣人となるように努力する」とした「良き隣人」政策を打ち出した。まさにそのとき、ゲーリー・アンダーソンは司令官として沖縄にいたのだ。
県民感情を知らないはずのない元司令官の発言に、「謝罪や綱紀粛正はポーズにすぎない」「占領意識むき出しで、県民をばかにした暴言だ」と県民は憤る。
県議会は「兵力削減」で全会一致
沖縄県議会は一月十九日、臨時議会を開き、「在沖米海兵隊員による女子高校生強制わいせつ事件に関する抗議決議」を全会一致で可決した。決議では「海兵隊を含む兵力の削減」を第一に求めている。県議会で与野党が一致して海兵隊の削減を求めるのは初めてのことだ。
これら事件・事故の根本原因は日米安保条約だ。日米安保があり、米軍基地が存在するから米兵による事件が引き起こされる。日米安保条約は相手国へ通告すれば一年後に終了すると定められている。終了を通告するだけで良いのだ。
しかし日本政府は「日米特別行動委員会(SACO)合意の完全実施が県民負担軽減につながる」という姿勢に終始している。だが、SACOで合意された普天間飛行場の移設について名護市移設を容認してきた県議会や名護市議会は事件後、「海兵隊削減」を明確に打ち出した。米兵犯罪を防ぐには、米軍基地をなくす以外にないのである。
二十一世紀の日本は、日米安保条約を終了させ、沖縄をはじめ日本全土から米軍基地を撤去し、自主平和外交を確立して、アジアの国々と共に生きる道を歩むべきではないだろうか。