│国民連合とは│月刊「日本の進路」│地方議員版│討論の広場│ 集会案内 │出版物案内│トップ│
自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2001年2月号
「新しい歴史教科書をつくる会」(「つくる会」)は、一部の自民党議員らに呼応して、自由主義史観研究会の藤岡信勝、漫画家の小林よしのり、電気通信大学教授の西尾幹二らが一九九七年一月に結成した団体。彼らは現在の教科書を「自虐的」「反日的」などと批判し、二〇〇二年度用の「中学校歴史教科書」「中学校公民教科書」(発行・産経新聞社、発売・扶桑社)を作成、文部省に申請し、現在検定中だ。
彼らの教科書は、侵略戦争や植民地支配を美化、憲法改悪を推進するもので、歴史的事実を無視し、アジア蔑視と皇国史観で貫かれている(地方議員版教科書問題特別号参照)。この教科書は新ガイドライン関連法など対米従属下で「軍事大国日本」をめざす動きをイデオロギーの面から補完し、戦争に備える国民を育成することがねらい。もし、これが検定に合格すれば、歴史的事実とちがう内容が子供たちに教えられ、アジアと敵対し、アジア共生の大きな障害となる。
「つくる会」は自らの教科書を合格させるため、一部の自民党議員や産経新聞と連携して、この教科書に疑義をもった検定委員の野田英二郎氏を不当に攻撃、更迭に追い込んだ。
彼らはマニュアル本「教科書採択に向けた支部活動の指針」を作成し、全国で系統的な活動を展開。具体的な活動内容は、(1)教科書採択制度から教師を排除することをねらった地方議会への請願・陳情、(2)つくる会の地方議員による議会での質問や調査権の行使、(3)教科書採択関係者への面談や資料の送付、など。正体を隠し市民団体を装うような指示まである。
こうして昨年の九月、十二月議会では全国の地方議会で「つくる会」の活動が展開された。
他社教科書中傷は独禁法違反
高嶋教授ら排除勧告を申告
「つくる会」、扶桑社、産経新聞社の三者が他社の教科書をひぼう、中傷する文書を発行、頒布したのは独占禁止法違反だとして、高嶋伸欣・琉球大学教授と上杉聰・関西大学講師は一月二十二日、公正取引委員会に排除措置を求めて申告した(地方議員版10号に全文掲載)。
「つくる会」は、一月二十三日、「独禁法で規制されているのは教科書の発行・販売を業とするものであって当会は該当しない」と発表した。
しかし、「つくる会」の役員である西尾、藤岡、小林らがこの教科書の執筆者であり、三者は三位一体の関係にあることは明白。西尾会長らは昨年五月、他社の教科書を批判した本を発行し、各地の教育委員会に無料配布したほか、産経新聞社も現行教科書を批判する記事を連載、同会はこれを冊子にして配っている。公取委が示す「不正な手段をもって、他の者の発行する教科書の使用または選択を妨害すること」に当たり、独禁法違反は明らかだ。
この問題は教科書問題にとどまらず、自主・平和・民主、アジアの共生という日本の進路にかかわる重要な問題だ。今後の二月・三月議会でも「つくる会」の攻勢が予想される。地方議会での動きに敏感になり、彼らの策動を阻止しよう。