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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年9月号
 

朝鮮半島から吹いた『南北共同宣言』の熱い風

日朝国交実現を政府に迫る

広範な国民運動を


荒川区議会議員  斉藤ゆうこ


 暑い夏でしたね。この夏、私の町には朝鮮半島から『南北首脳会談―共同宣言』という熱い風が吹きました。人口十八万人中、在日韓国・朝鮮人が六千五百人を占める「東京のコリアンタウン」荒川区では、在日の人たちも、私たち日本人も、この歴史的なできごとを喜ぶ声が盛り上がりました。
 六月二日に日本と朝鮮の女性ばかり百人が集まって「南北首脳会談と日朝国交正常化交渉の再開をお祝いする会」を開き、前祝いしたのを皮切りに、ふたつの地域行事が催されました。
 七月二十日、嘉手納では「人間の鎖」による包囲行動が、厚木では基地撤去の集会が開かれたその日、荒川区・三河島の旧・真土小学校で「統一マダン・東京」が開催され、約千五百人以上もの地域住民や関心を持つ人々が集いました。荒川区が後援して行うこの行事は在日韓国民主統一連合が中心となって呼びかけ、今年で八回目を数えますが、年々集まる人が増え、今では在日韓国・朝鮮人にも日本人にも親しまれる恒例の年中行事となりました。今年は町会の掲示板に、金正日総書記と金大中大統領の写真が入った朝鮮半島の地図が描かれたポスターが貼り出され、街の中でひときわ目を引きました。「思いっきりオメデトウ・モードで行こう」「花火を上げるか、クス玉割るか」「とにかく『祝賀』だっ!」と準備の実行委員会は盛り上がり、六月十五日の共同声明の熱い風を受けた地域初の大イベントはにぎわいで一杯でした。
 舞台で催される民族舞踊のリハーサルでチャンゴ(打楽器)や農楽の音が街に流れ、売店の焼肉のにおいが立ちこめ始めると、「どれどれ」と近所の人たちが様子を見に集まってきます。そう、会場は荒川区の中でも一番、在日の人たちが集まって暮らす地域のまっただ中にあるのですから。今年のメインは何といっても、韓国から来日した人気の音楽グループ・コッタジ合唱団の若者たち。労働運動と共に歌い続ける、若いスターたちです。そしてもう一つ、地元の韓国青年同盟と朝鮮青年同盟が一緒に舞台に上がって行う合唱でした。娘や息子たち、孫たちの舞台を見ようと、オモニ・アボジたちや在日一世のお年寄りたちも早くから会場中央に陣取っています。NHKも取材に入り、東京で初の南北交流が感動的に展開しました。
 そして八月六日には、荒川区・東日暮里の東京朝鮮第一初中級学校で「南北共同宣言支持」を揚げて『八・一五祖国解放・荒川同胞大夜会』が大々的に催されました。校庭いっぱいに席が作られ、回りには学校の父母や地域の人が屋台を所狭しと並べ、こちらも祝賀ムードにあふれました。例年は朝鮮総連荒川支部として祖国解放を祝う夜会なのですが、今年は南北統一の熱気の中、舞台にはふたりの金氏が高々と握った手を差し上げる実物大の写真パネルが設営され、いやが上にも雰囲気を盛り上げます。私たち日本人も特別に招待されました。
 さて、日朝の国交正常化交渉は次回が十月二十五日と決まりました。私たち日本人は、韓国・朝鮮の人々がアジアに創出した自主・平和の気運を受けて、自らの道を決するよう、日本政府に国交実現を迫りたいと思います。日朝国交実現を政府に迫る、広範な国民運動を、この秋、全国で展開しましょう!