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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年9月号
 

防災に名を借りた「自衛隊の治安出動訓練」

東京都に国民連合・東京が中止申し入れ


 東京都が九月三日に計画している総合防災訓練は、自衛隊を大量に動員したもので「防災」の名を借りた「自衛隊の治安出動訓練」である。広範な国民連合・東京は、八月三十一日に東京都石原知事に対して左記のような「申し入れ」を行った。
 都内各地で、労働組合や市民団体などが、今回の「防災訓練」に反対する様々な取り組みを展開している。



東京都知事
  石原 慎太郎 殿
  
       申  入  書

 東京都は九月三日に『ビッグレスキュー東京2000〜首都を救え〜』と称する総合防災訓練の実施を予定しており、都知事が八月十八日の記者会見で「日本史上最大の防災訓練」と述べたように、この日のために昨年の約十三倍に上る自衛隊員七千百人、車両千九十両、航空機八十二機、艦船五隻を動員するという。これは地方自治体主催の防災訓練としては他に例を見ない未曾有の規模である。
 私たちは以下の理由から、今回の訓練を「防災」の名を借りた「自衛隊の治安出動訓練」であるとみなさざるをえない。

 (一)石原都知事は、一九九九年八月号『VOICE』誌上で、今回の防災訓練の目的を「北朝鮮とか中国に対するある意味での威圧」「相手は災害でも、ここでやるのは市街戦ですよ」と公言した。
 (一)石原都知事は四月九日、陸上自衛隊練馬駐屯地の創隊記念式典で、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」とし、災害時の騒擾事件を想定して、治安の維持も「大きな目的として遂行していただきたい」と挨拶した。この時、「国家の軍隊、国家にとっての軍隊の意義というものを、価値というものを国民に都民にしっかりと示して頂きたい」などとも述べている。
 この石原都知事の発言は、在日外国人、とりわけ中国人や韓国・朝鮮人に対する民族差別に貫かれている。彼らを不法入国者=潜在的犯罪者とみなして、民族排外主義をあおるものである。
 石原都知事の一連の発言は、多くのアジア諸国とりわけ中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国の強い反発を招いた。知事がこれらの国々を敵視する見方をあおることは、アジアの平和と共生を願う多くの都民ひいては国民の不利益につながり、アジア諸国の友好と平和を脅かすものである。
 国際都市東京の知事・石原氏の一連の発言とその具体化のひとつである今回の「防災訓練」は、南北朝鮮首脳会談の歴史的成功や日朝国交正常化交渉再開など北東アジアの平和の流れに逆行するものである。また、石原都知事自身の誤った歴史認識は、都民のアジア蔑視をあおり、二十一世紀に向け日本がアジアをはじめとする国々と友好的につきあうことを妨げるものである。日本がアジアの一員として平和に共生することを願う私たちは、これらのことを断じて許すことはできない。
したがって、東京都が予定している訓練内容を変更し、地方自治体にふさわしい防災訓練に改めるよう申し入れる。

  二〇〇〇年八月三十一日
                            自主・平和・民主のための
      広範な国民連合・東京世話人一同