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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年9月号
 

韓国内で高まる米軍基地撤去の声


南北首脳会談の実現を受けて自主的な統一への機運が高まる中、韓国内では米軍による事件・事故が相次ぎ、在韓米軍に反対する闘いが広がっている。文責編集部



米軍機、故障で爆弾投下

 五月八日、ソウル近郊の梅香里にある米空軍射撃場で、故障した米軍機が機体重量軽減のために五百ポンド爆弾六発を一度に投下する事件が起きた。これにより住民七人が負傷したほか、家屋百七十戸、乳牛流産四十二件などの被害が発生した。同射撃場では誤爆などにより、この五十年間で十二人が死亡しており、住民は反対運動を続けてきた。事件を受けて「梅香里米空軍爆撃演習住民対策委員会」は米軍に強く抗議、学生や市民団体も韓国各地から駆けつけ、抗議行動を強めた。
 六月一日、韓米合同調査団が「事件による被害はない」と発表し住民が強く反発。住民被害対策委員会や学生など百人が射撃場正門と鉄条網横で籠城(ろうじょう)した。
 六月二日、梅香里近くのノン島射撃場で射撃訓練が再開され、怒った住民が鉄条網をはぎ取り射撃場内に突入、射撃予告旗を引き下ろした。
 六月六日、射撃場正門で住民や学生、民主労総など二千人が抗議集会を開き、人間の鎖を行った。
 六月二十一日、大学生六人が、射撃訓練中の米軍射撃場内に進入、警察に連行された。
 六月三十日、労組、市民団体、宗教者などが「梅香里米軍爆撃場閉鎖汎国民対策委員会」を結成。
 七月十六日、同委員会と住民百五十人が沖縄の嘉手納包囲行動と連帯して集会とデモを行い、六人が不当に逮捕された。
 八月十八日、在韓米軍は梅香里射撃場の閉鎖計画を発表した。

相次ぐ米軍による環境被害

 七月十四日、在韓米軍は「ソウル市中心部にある龍山基地内の下水道から、二月九日、ホルムアルデヒド(ホルマリン)七十五・七リットルを未処理のまま廃棄した」との事実を発表した。ホルムアルデヒドは発ガン性が指摘されている有毒物質であり、「一千万首都圏市民が飲み水に使用している漢江に毒を放流するとは韓国国民を愚弄している」と怒りが高まっている。
 七月二十二日、糾弾大会が開かれ、環境問題の視点からも米軍基地撤去の声が広がっている。
 七月二十二日、平澤米空軍基地で航空油約十四・七キロリットルが燃料貯蔵タンクから基地外に流出した。
 八月十二日、森林庁は米軍が四月にミョンソン山で行った射撃訓練により山火事が発生したとして、約九千六百万ウォンの損害賠償を請求した。政府機関が米軍に山火事被害賠償請求は初めて。地位協定の適用など、成り行きが注目されている。
 
高まる地位協定見直し要求

 米軍による事件が繰り返される中、在韓米軍基地の存在と米軍の特権を認める韓米地位協定(SOFA)の全面見直し、改定を求める国民の声は高まった。
 SOFAでは米兵・家族などの米軍関係者が、犯罪を犯しても拘束されない「特権」が与えられている。昨年の米軍犯罪五百六十二件の内、韓国側が裁判権を行使したのは二十件のみ。SOFAは「世界一不平等な地位協定」といわれている。
 国民の反米感情の高まりを受けて七月十九日、金大統領は米国紙のインタビューでSOFAが差別的であると指摘、速やかな改正を求めた。
 八月二日、韓国政府の要請で約四年ぶりに韓米地位協定改定協議が開かれた。韓国政府は@容疑者の起訴前の身柄引き渡し、A米軍施設内での環境汚染を防止するための環境条項の制定、B米軍施設内に持ち込まれる農産物等の韓国側による検疫、C米軍施設内で働く韓国人労働者の権益強化について改定を迫った。
 容疑者の韓国側への引き渡し時期については起訴時点に前倒しする方針が示されたものの、その他の結論は先延ばしされた。「国民感情を無視した米国の傲慢な態度だ」という反発の声があがっている。