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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年9月号
静かな夜と空を返せ!
石原知事の軍民共用化反対!
横田基地飛行差し止め訴訟団団長 浅野太三
横田基地の現状
横田基地は、五市一町(福生市、昭島市、羽村市、立川市、武蔵村山市、瑞穂町)にまたがる米空軍基地です。
昭和十五年に日本軍の立川飛行場の補助飛行場としてつくられた多摩飛行場が、現在の横田基地の前身です。終戦後に米軍が接収しましたが、その当時の基地の面積は現在の三分の一程度でした。横田基地の名前の由来は現在の武蔵村山市の地名からきています。米軍の占領下で、国が農民から土地を強制的に買い上げて基地が拡張されはじめました。北側への拡張によって、東京都の上水道用地も接収され、今でも導水管が滑走路の真下を通っています。
朝鮮戦争では、朝鮮半島への爆撃の出撃拠点として使われました。一九五五年、米軍の立川基地拡張に反対して闘われたのが砂川闘争です。当時の総評をはじめ地域が一丸となって大きな運動が展開されました。米軍は反対運動で拡張ができない立川基地に代わって、横田基地をさらに拡張し、滑走路の長さは約三千三百メートルになりました。拡張に伴って五日市から新宿に抜ける五日市街道は基地で分断され閉鎖されました。現在の五日市街道は基地を南に迂回しています。
横田基地はベトナム戦争の後半頃から輸送・中継基地として強化されました。基地内には在日米軍司令部と第五空軍司令部があります。アジア太平洋地域の中で、横田は輸送・中継基地、三沢と嘉手納が攻撃基地という役割になっているようです。
残念ながら横田基地の拡張については、地元で大きな反対運動が起きませんでした。当時の瑞穂町は、多摩川からも入間川からも遠い高台で水がなく農業生産の条件が非常に悪かった。農業にも住宅にも条件が悪いので、基地拡張の土地買収にあまり抵抗なく応じてしまったという背景がありました。また、現在のように人口が多くなく、基地に反対する人は「国賊」扱いをされるような保守的な土地柄だったことも原因となっていると思います。一九七二年、美濃部知事が都の上水道用地の明け渡し訴訟を起こしましたが、七九年鈴木都政になって訴訟は取り下げられました。
現在の五市一町の自治体の対応も、横田基地返還というより、基地交付金を可能な限り引き出そうという姿勢が強くあります。
横田訴訟飛行差し止め訴訟
神奈川県の厚木基地と同じだと思いますが、横田基地でも米空母艦載機による離発着訓練が行われています。最近でも、昨年十月、今年二月、四月に数日間ずつ着陸訓練が強行されています。人口が密集した市街地にある横田基地での訓練によって、周辺住民は昼夜関係ない航空機の爆音に悩まされ続け、さらにいつ発生するかわからない事故に不安な毎日を送っています。低空飛行をしますのでその爆音はすさまじいものがあります。とりわけ、滑走路の北側の瑞穂町と南側の昭島市は爆音被害がひどい地域です。
これまで何度か爆音訴訟が起こされましたが、飛行差し止めは却下、訴訟から結審までの損害賠償は一定程度認めるという内容の判決でした。そして、裁判が終わったら爆音が繰り返されます。将来の爆音被害に対する補償はありません。基地がなくならない限り地元住民の「静かな夜と空を返せ」という願いは実現されないと痛感しました。また、共産党の弁護団が中心の訴訟だったため、過去の賠償が認められた段階で終わって、あとは選挙でという風に流されました。
そういう経過がありましたので、思想信条や政治的な立場をこえた幅広い住民の立場で訴訟を起こそう、飛行差し止めや将来の補償についても含めた内容の訴訟にしようということになりました。そして、一九九四年十二月に八王子地裁に横田基地飛行差し止め訴訟を起こしました。
訴訟を起こすとき、やや見切り発車をしたことが原因ですが、原告訴訟団と弁護団の意志疎通が悪かったためギクシャクした時期もありました。そういう混乱を機に、訴訟団の役員を改選するなど努力して、現在の体制になったのは一年半くらい前からです。
いずれにしても、飛行差し止め訴訟は原告本人尋問が終わり、地裁での闘いも大詰めを迎えています。また二次訴訟も始まりました。訴訟団にとってもいよいよ正念場です。
石原知事の軍民共用化の動き
石原氏は昨年の都知事選で「横田基地返還」を掲げました。彼の主張は、横田基地があまり使われていない、基地は返還させたい、民間との共同使用も考えたい、というものです。石原知事は一部専門家、経済団体、周辺自治体で「横田基地の民間利用を考える会」をつくり、昨年十一月と今年五月に会議を開き、民間利用を推進しています。
まだ明確ではありませんが、石原知事は、成田空港との間での路線を考えているようです。つまり、山梨の人や三多摩地域の人たちが海外旅行に行きやすくなるというのがうたい文句です。民間飛行場に使えれば地元に大きな経済効果があると宣伝しています。こうした石原知事の「横田基地軍民共用化」は爆音の苦しむ地元住民や自治体の声をまったく無視するもので許せません。
「軍民共同使用」に対して、爆音被害のひどい瑞穂町と昭島市では反対の声が上がりました。とくに瑞穂町では、議会も町長も軍民共用化に反対しています。役場には「軍民共用化反対」の看板が掲げています。
第三回横田・大空まつり
九月十日に横田基地の南端近くのみほり広場で、「静かな夜と空を返せ!」「軍民共用化反対!」をかかげ、「第三回横田・大空まつり」を開催します。
横田・大空まつりは、九八年からはじめて今年三回目です。今年のまつりでは、地域住民全員の願いである「静かな夜と空を返せ!」という要求と共に、被害と危険を増大させる「軍民共用化反対!」をスローガンにしています。
訴訟団、支援のみなさん、地域住民の皆さんがともに集い、交流し、楽しめる場にしたいと準備しています。今年は広範な国民連合・東京の方にも実行委員会に加わっていただきました。各団体に模擬店を出店してもらったり、舞台では沖縄のエイサーなど歌や踊り、訴えなどを準備しています。ぜひ多くのみなさんの参加をお願いします。
(文責編集部)
静かな夜と空と返せ!軍民共用化反対!
第3回横田・大空まつり
日時 9月10日(日)11時〜15時
場所 みほり広場
(横田基地南端。JR青梅線拝島駅・西武拝島線
西武立川駅からそれぞれ徒歩約15分)
参加協力券 500円