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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年7月号
嘉手納包囲行動に連帯し、
厚木基地撤去をめざす集会
厚木基地爆音防止期成同盟委員長 鈴木 保
日本政府は、普天間飛行場の移設先として名護東海岸を決めたが、具体的な場所、規模、工法など何も決まっていない。さらに、日本がアジアの中で信頼される国になろうとすれば、アメリカにぶら下がる態度を改め、日本の外交をきちんと固めなければなりません。朝鮮では歴史的な南北首脳会談が実現したのに、沖縄の基地問題は変更がない。これでは沖縄の人たちが納得するはずがありません。
日本周辺のアジア諸国は日本の軍事大国化になることを非常に警戒しています。歴史的な南北朝鮮首脳会談の実現もあり、アジアの中で日本はどう生きていくのか重要な問題です。ところが、こうした問題や基地問題は選挙で議論にならなかった。与党も野党も議論しない。政策論争ではなくて、依然として「おらが村意識」で選挙が行われている。
沖縄の人たちは沖縄サミットに合わせて、七月二十日に基地のない平和な沖縄を訴えるため嘉手納基地包囲行動を決めた。これに対して、本土のわれわれがどうするか。これまでのアリバイづくりのような集会ではなく、外国の基地はいらない、厚木基地はいらないという幅広い運動が必要です。そこで七月二十日の「沖縄の嘉手納基地包囲行動に連帯し、厚木基地撤去をめざす神奈川集会」を準備しています。
厚木基地の周辺には一九八〇年頃から、労働組合や市民団体で「厚木基地撤去、核兵器の廃絶をめざす県北地区共闘会議」というのがありました。この組織は労働団体、当時の社会党、われわれのような市民団体も入っていた。この共闘会議で、厚木基地の問題やキャンプ座間の問題などを取り組んできました。ところが厚木基地は自衛隊が対潜哨戒機P3C導入など強化されてきた。一方、われわれの側は地区労が地域連合になったり、社会党が社民党になったりで運動が弱体化してきた。そこで、六月二十九日に「米原子力空母反対・基地のない神奈川をめざす県央共闘会議」を二十四団体、約三万二千人で結成。この県央共闘会議と、神奈川平和運動センター、県民のいのちとくらしを守る共同行動委員会の三団体が集会の主催です。
この集会は、主旨に賛同してくれるなら誰でも参加してほしい。これまで労働組合が中心になってやってきたことは重要なことです。さらに発展させて、基地はいらない、日本を軍事大国化させない、アメリカと一緒になって戦争準備をするなんてとんでもないという声を集めて、幅広くいろんな人たちが参加できる集会にしたいと準備しています。これまでの垣根を取っ払って、広く神奈川県民に、さらに東京や千葉や埼玉からも参加して欲しい。
一九八八年七月二十四日に二万八千人で厚木基地包囲行動を実現しました。場所によっては二重、三重に包囲した。その前年の八七年に沖縄で嘉手納基地包囲が行われた。八八年一月に、神奈川から四名派遣して、沖縄の経験を学んだ。半年前から準備をして厚木包囲行動を成功させた。今回は包囲という願望はありましたが準備期間が足りなくて残念ながら包囲行動は断念しました。
七月二十日の集会は、十二時半から一時間半くらいはイベントを計画しています。沖縄の民謡など五団体に協力してもらいます。焼きそばなど屋台は生活協同組合など協力をお願いしています。平和フォーラム(フォーラム平和・人権・環境)の中央に、東京や千葉、埼玉からの参加協力をお願いする予定です。また様々な市民団体にも、できるだけ声をかけて参加してもらう。集会後は二方向に分かれて厚木基地へのデモ行進をします。
厚木基地被害の状況
厚木基地の開放にあわせ、米艦載機等の展示・曲技飛行が七月一日、二日に計画されています。この航空ショーは、住民の反対を押し切り毎年強行されています。爆音被害はもとより昨年九月は、周辺の小、中学校で行われた運動会行事の一時中断など、極めて許しがたい被害を与えてきました。予行訓練の六月三十日と七月一日は学校の期末試験と重なります。われわれは六月二十三日に「厚木基地での展示・曲技飛行等の即時中止を求める申し入れ」を防衛庁、防衛施設庁、外務省、厚木基地司令官、在日米海軍司令官に出しました。六月二十九日に厚木基地のゲート前で抗議集会をやります。
厚木基地での米艦載機夜間発着訓練(NLP)は相変わらず続いています。私たちはNLPの全面的硫黄島移転等を再三要請してきました。「硫黄島が天候不順等で訓練計画が不足した場合に限り、厚木基地で実施」という約束を踏みにじって行われています。昨年十月、本年二月のNLP強行実施や終日絶えることのない飛行訓練、編隊飛行は依然として激烈極まる爆音を周辺住民に浴びせ、容赦なく住民の生活を破壊し続けています。
また、厚木基地に隣接する民間産廃会社(エンバイロテック)の排煙ダイオキシン問題をめぐる問題もあります。コーエン米国防長官が来日するということで、三月十五日早朝、瓦防衛庁長官が視察に来た。数日後には、清水環境庁長官が相次いで厚木基地を訪れました。瓦長官は、現地に来て煙突を百メートルにするなどという対策を発表した。ダイオキシン問題の改善を否定しませんが、厚木基地の違法爆音問題は日米政府高官が誰も現地視察に来ないで四十年間も放置しておきながら、米軍住宅の家族が要求したダイオキシン問題では、瓦防衛庁長官、コーエン米国防長官が急遽視察に来た。住民無視の不公平行政で怒りを感じます。
爆音だけでなく、墜落事故もありました。一九七七年九月には横浜市緑区に米軍ジェット機が墜落し、住民が犠牲になりました。一九六四年九月には大和市の鉄工所に米軍機が墜落、五人が犠牲になりました。
日本は中国や朝鮮をはじめとしてアジアで戦前、戦中にあれだけのことをした。ところが、歴史認識がでたらめで「南京大虐殺はなかった」などということを閣僚が平気で発言する。侵略戦争に対する謝罪や補償はきちんと実行し、正しい歴史認識は継承して、二度と日本がそういう過ちをしないようにする必要があります。ところが日本国憲法の九条を変えようとしている。問題なのは、憲法で書かれている基本的人権や社会保障などが実施されていないために国民が苦しんでいる。必要なのは憲法を内容を末端まで実施することが必要です。さらに「教育は国の問題として」という発言が出ていますが、「君が代・日の丸」問題の次は国定教科書をつくって国民に押し付けるという流れです。こういう政府のやり方を若い人たちにきちんと理解してもらう必要がある。
七月二十日、沖縄への思い、厚木基地撤去の思いをもって、多くの皆さんが集会に参加していただきたいと思っています。 (文責編集部)
沖縄の嘉手納基地包囲に連帯し、厚木基地撤去をめざす神奈川集会
7月20日(海の日)
12:30 沖縄・アジアの踊り、出店
14:00 集会
15:00 デモ行進
大和市引地台公園
・相鉄・小田急大和駅(徒歩15分)
(大和駅より15分ごとに臨時バス)
・小田急桜ヶ丘駅(徒歩10分)