2000年5月27日広範な国民連合・東京第七回総会特別決議
石原都知事による「三国人」発言などの
撤回と謝罪を求める特別決議
石原東京都知事は4月9日、陸上自衛隊練馬駐屯地の創隊記念式典で、「不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している」とし、災害時の騒擾事件を想定して、自衛隊に治安の維持も「大きな目的として遂行していただきたい」と挨拶した。この時、「国家の軍隊、国家にとっての軍隊の意義というものを、価値というものを国民に都民にしっかりと示して頂きたい」などとも述べている。
石原発言は、在日外国人、とりわけ中国人や韓国・朝鮮人に対する民族差別に貫かれている。彼らを不法入国者=潜在的犯罪者とみなして、民族排外主義をあおるものである。私たちはこの発言から、関東大震災直後に朝鮮人が来襲するという流言蜚語により多数の在日朝鮮人・中国人およびわが国の社会主義者、無政府主義者が虐殺された歴史を想起せざるをえない。
石原発言は、多くのアジア諸国とりわけ中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国の強い反発を招いた。知事がこのように中華人民共和国や朝鮮民主主義人民共和国を敵視する見方をあおることは、アジアの平和と共生を願う多くの都民ひいては国民の不利益につながり、アジア諸国民の友好と平和を脅かすものである。
石原都知事はこの間の一連の発言で、わが国がアジアの大国として振る舞えるようになることを希求し、自衛隊を「国家の軍隊」として認めさせるために九条を中心とする憲法改悪の世論を盛り上げようとしている。この軍事力信仰は危険であり、かつ時代の進歩に逆行する考えである。
私たちは、わが国の「満蒙は日本の生命線」などという誤ったアジア侵略と植民地支配の歴史を率直に謝罪し、二度と繰り返さないと決意するがゆえに、歴史的事実に目をふさいだ石原都知事のきわめてゆがんだ歴史観を認めるわけにはいかないし、事実に基づく正しい歴史認識を確立することなしに、わが国がアジアに信頼されることも、自主的で平和と民主主義に立つ国の進路を求めることも不可能であると考える。
私たちは石原都知事の一連の発言に強く抗議するとともに、知事がこれらの発言を撤回して謝罪することを要求する。
右、決議する。
2000年5月27日
自主・平和・民主のための広範な国民連合・東京
第七回総会参加者一同