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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年5月号
 

沖縄のこころを踏みにじる

一坪反戦地主排除の陳情採択


 3月30日の沖縄県議会で、「沖縄県の外郭団体などあらゆる県の機関から『一坪反戦地主など』を役員から排除することを求める陳情」が自民党など稲嶺与党の保守会派の賛成多数で強行採択された。明白な憲法違反と言うだけでなく、悲惨な沖縄戦の体験をもとに、戦争に反対し、平和を願う反戦地主や大多数の県民の心、沖縄のこころを踏みにじる暴挙です。
 これに対して、連合沖縄、自治労沖縄県本部、沖縄社会大衆党、沖縄県憲法普及協議会、名護へリポート基地に反対する会など沖縄県内の政党、民主団体などから抗議の声があがっている。緊急抗議集会も行われた。沖縄タイムスや琉球新報も社説等で批判の姿勢を鮮明にしている。以下、陳情採択直前の一坪反戦地主会の声明を紹介します。(編集部)

声 明

 沖縄県議会総務企画委員会は、自民、県民の会、新進沖縄の賛成多数で、一坪反戦地主などを県の外郭団体などあらゆる県の機関の役員に就任させないようにとの陳情を採択したうえ、本日30日の最終本会議での採択を強行しようとしている。
 右陳情は、「一坪反戦地主の土地所有は、国の政策を妨害する目的にでたものであるから憲法12条にいう自由及び権利の濫用に当たる。平和祈念資料館監修委員、県公文書館、県教育委員会などは、特に歴史の公正を期する立場から不的確」というものである。
 右陳情は、極めて危険な内容であり、民主主義を根底から否定するものである。
 右陳情は、国の施策に反する行為をしてはならない、国の定める歴史観に反してはならないという、まさに「ファシズム宣言」を沖縄県民に押しつけることを求めるものである。
 思想信条の自由を保障することは、民主主義の基本であり、憲法19条は基本的人権としてその不可侵性を宣言している。
 一坪反戦地主会は、軍用地を、生活と生産の場に取り戻すことを目的とする団体である。
 我々は、米軍基地の存在により沖縄県民の生命、人権が奪われ侵害されることに反対し、米軍基地が、ベトナム戦争、湾岸戦争を始め多くの人民の殺戮基地であることに反対し、性別、職業、年齢を問わず、広範な人々が結集する団体である。
 我々は、戦争につながる一切を拒否する理念を共有するものである。
 旧帝国憲法は、全ての権利が天皇によって許される範囲でしか享受しえないというものであり、国の政策に反対し、国の定める皇国史観に反対すれば治安維持法によって投獄され、反対意見は封じられ、その結果、戦争への道をひた走っていったのである。
 憲法は、過去の歴史の反省にたって、民主主義の基本である思想信条の自由を保障したのである。
 今回の自民、県民の会、新進沖縄による陳情採択は、彼ら自らが民主主義の体裁をすらかなぐり捨てて、己のファシズム宣言を行ったに等しいが、さらに到底許されざる暴挙は、沖縄県議会総務企画委員会、県議会本会議で右陳情を採択することによって、沖縄県民にファシズムを押しつけるという事実である。
 沖縄県は、国の施策に反対するものは県から排除します、国の定める歴史観には反対しません、沖縄戦における沖縄県民の虐殺、集団死の強要についても国が言うことに逆らいませんというのであり、まさにファシズム宣言にほかならない。
 我々は、このような、県民に対する、ファシズム宣言の強要を目的とする議会決議を糾弾するとともに、県民に対して、右決議の持つ危険性を認識し、ともに民主主義と憲法を守るために立ち上がることを訴えるものである。

 2000年3月30日                 一坪反戦地主会