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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年5月号
厚木爆音被害は四十年も放置、米軍の産廃問題には即対策
米軍優先の政府に抗議し、防衛庁前で座り込み
四月十三日、防衛庁前で厚木基地爆音防止期成同盟、第三次厚木爆音訴訟団、神奈川平和運動センター等による抗議・要請行動が三百人の参加で行われた。
主催者挨拶で、神奈川平和運動センター代表の宇野峰雪氏は「厚木基地の地元住民は、四十年にわたって爆音にさらされてきた。住民が三度にわたって訴訟を起こしてきましたが、防衛庁は『限度をこえる騒音はない』と主張を繰り返してきました。一次、二次とも裁判所は飛行差し止めを認めなかったが、騒音の違法性と損害賠償は認めた。三次訴訟でも防衛庁は違法ではないと言い張っている。その一方で、基地に隣接する産廃施設からのダイオキシン問題をアメリカから指摘されると、即座に百メートル煙突にするとか、代替の住宅提供を約束した。日本国民が四十年も被害を受けている爆音問題には何もしないのに、アメリカから言われれば即刻、対策をする。あまりにも国民を馬鹿にした話ではないか。怒りをもって今日、こうして集まった」と訴えた。
厚木基地爆音防止期成同盟の鈴木保委員長は、「『アメリカは厚木基地から出ていけ!』『NLPはやめろ!』と私たちは四十年間闘ってきました。七三年には横須賀が空母ミッドウェイの母港にされ、原子力空母の母港化へ準備も進んでいる。そうなったら厚木の爆音はさらに深刻になる。防衛施設庁、外務省との交渉にわれわれの要求をぶつけて、前進を勝ち取りたい」と挨拶。
フォーラム平和・人権・環境の佐藤康英事務局長は、「厚木基地は世界に例のないほど住宅密集地にある基地だ。全国的な運動の連携を進める」と述べた。
東京平和運動センターの森本事務局長は、「四十年以上も爆音にさらされ地域住民の生活と権利と命を脅かされてきたのに、何一つ対策をしなかった政府や防衛庁が、米国防長官がダイオキシン問題で騒いだらとたんにへらへらする。日本中いたるところで基地被害が起こっているのに、アメリカに対して抗議一つせず容認しているのが政府と防衛庁である。怒り心頭です。東京も共に頑張りたい」と力強く訴えた。
交渉団は、@爆音被害の実態調査のために外務大臣、防衛庁長官、施設庁長官の現地視察を求める、ANLP(夜間離発着訓練)はすべて硫黄島で実施せよ、B厚木基地開放・曲芸飛行は廃止せよ、C百メートル煙突によるダイオキシン対策は周辺に被害を拡散するので再考せよ、という四点の要求をもって、防衛庁と外務省に向かった。その間、厚木の現地報告が行われた。
「三月二十一日に沖縄の嘉手納基地周辺の住民五千五百四十四名の人たちが、飛行差し止めと損害賠償を求める訴訟を起こしました。私も参加してきました。厚木だけでなく、嘉手納や横田も爆音が激しくなっているそうです。米軍はわれわれの要求に耳を貸そうとしていません。昨年の九月には小中学校の運動会を爆音で滅茶苦茶にしました。その怒りがおさまらないうちに、十月にはNLPの強行実施をしました。夜間だけでなく昼間も飛ぶ。私たちはこの暴挙に対して、たき火をたきながら抗議をしました。中学校や高校の入試の時期である二月十五日から十七日まで、再びNLPを強行。十七日の入試の日には四百四十回も爆音を記録しました。二月全体で四千二百回をこえた。こんなことが許されていいのか。そんな時、コーエン米国防長官が産廃施設のダイオキシン問題で厚木にやってきた。それに対して政府は二十三億円もの資金を投入して問題解決を図ると約束した。ダイオキシン問題は解決しなければならない。しかし、四十年以上にわたって爆音の解決を求める地元住民を無視してきた政府が、米軍が来るとただちに問題の解決を図る。しかも、百メートルの煙突を立てるという対策では、被害を周辺に拡散するだけです。余りにも片手落ちな日本の行政に対して、黙っているわけにはいかない。基地周辺住民、われわれ日本国民の要求にも誠意をもって応えろ、と本日の行動になった。基地被害は全国各地にある。神奈川の相模原補給廠から搬出されたPCB廃棄物が、カナダやアメリカで陸揚げを断られ再び日本に帰ってくる。米軍には手厚く、国民は無視する日本の政治に抗議し、共に闘おう」と報告がされた。
フォーラム平和・人権・環境の市村氏から環境庁との交渉が報告された。市村氏は「四十年間にわたる厚木基地の爆音被害は公害である。環境庁がダイオキシン問題だけでなく、爆音被害についても環境調査を実施することを要求したが、環境庁は及び腰であった。また、米軍基地から出された有害なPCBが再び横浜港に戻ってくる問題についても追及した」と報告。
社民党東京都連都民運動局長の河野氏は「厚木基地の爆音をめぐる政府や防衛庁の態度は許せない。昨年のガイドライン関連法、そして有事立法の法制化の動き、さらには石原知事の差別発言。朝鮮半島で和平の動きが進展している中で歴史に逆行する動きである。日本に米軍基地はいらない。沖縄から、神奈川から、全国から米軍基地を撤去させよう。横田基地を抱える私たちも闘う」と連帯の挨拶。
全水道の代表は、「政府と防衛庁の態度に怒りを禁じ得ない。しかもダイオキシン問題の具体的対策が百メートルの煙突だという。周辺にダイオキシンをばらまくわけで、二重の意味で許せない。政府は住民の声を無視し続け、訴訟を起こせば『個人の被害より国の利益が優先する』と無視してきた。その政府が、アメリカの要求には即刻応える。アメリカや政府のいう安全保障とは、誰のための安全保障か。日本国民の安全、命が無視される安全保障とは何なのか問われるべきです。『思いやり予算』の問題も含めて、全水道は今後も沖縄や神奈川のみなさんと連帯して闘う」と挨拶。
防衛庁に向けて、「防衛庁は基地周辺住民の声を聞け!」「米軍にかたよった環境政策はやめろ!」「NLPはやめろ!」「PCBの搬入は許さないぞ!」「米軍は日本から出ていけ!」と抗議のシュプレヒコールが響いた。