│国民連合とは│月刊「日本の進路」│地方議員版│討論の広場│集会案内│出版物案内│トップ│
自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年5月号
「南京大虐殺否定」など歴史のわい曲は許さない
広範な国民連合・大阪代表世話人 浅田 義信
「南京大虐殺が日本に問いかけるもの―『ピースおおさか』の姿勢をただす―」集会が、四月八日、大阪国際平和センター(通称「ピースおおさか」)の講堂で開催されました。
この集会は、「戦争資料の偏向展示を正す会」と名のる団体が、一月二十三日に「二十世紀最大の嘘『南京大虐殺』の徹底検証」なる集会を同会場で催したことに抗議し、@南京大虐殺の真実を明らかにする、Aピースおおさかの真のありようを考える、の二つをテーマに開かれたものでした。
ピースおおさか市民ネット、大阪平和市民会議、広範な国民連合・大阪など、大阪府下で活動する三十六の平和・市民運動体による集会実行委員会が主催。広く大阪府民、市民に呼びかけました。
当日、会場には三百名をこす人々が詰めかけ、補助席を設けるほどの熱気あふれるものとなりました。
集会は、南京大虐殺に関わる日本軍兵士の証言を中心とした新しいビデオ「消えた四七七七人―南京大虐殺の真相を追って―」の上映で開会。生々しい証言と現場検証の映像は、冒頭から虐殺の事実を明示し強い印象を与えるものでした。
集会実行委員会を代表して、岩井貞雄ピースおおさか市民ネット代表が挨拶し、「南京大虐殺を否定する集会が開かれようとしていることを知ってから、大阪府、大阪市に対し、会場として許可しないこと、許可決定後はそれを取り消すことを求めて抗議したが、当局は聞く耳を持たず、一・二三反動集会は開かれた。口では平和と人権の擁護を云々しながら、歴史の改ざんと人権無視に手を貸す当局の姿勢に強い憤りを覚える」と述べました。
「南京大虐殺の真実」をテーマに講演を行った吉田裕さん(一橋大学教授、南京事件調査研究会)は、「南京事件の存在は当時から誰も知らなかった。だから事件そのものがなかった、とする南京大虐殺否定論者がいるが本当にそう言えるのか。それは当時の日本政府や軍部の報道統制の存在を無視した強弁である。南京事件の情報は確実に軍の内部に広がっていたし、それを知っていた一般国民もいた。その例証はいくつも挙げることができる。現在、日本政府の正式見解も南京大虐殺を事実として認めており、逆に南京大虐殺はなかったという資料はない」と述べました。
一・二三反動集会に対する日中双方の抗議の様子をまとめたビデオ「南京の怒り」の上映に続いて、侵華日軍南京大屠殺遇難同胞記念館の朱成山館長が特別報告を行い「一・二三反動集会は南京市民の頭上に大きな爆弾が落とされたようなもの。南京市民だけでなく中国人民の心は深く傷つけられた。右翼は現代的日本鬼子だ」と中国における各地、各層の怒りの声を伝えました。
最後は「ピースおおさかの姿勢をただす」に焦点を絞って、それぞれの方々の意見発表がありました。小山仁示さん(ピースおおさか運営協力懇談会座長)、空野佳弘さん(弁護士)、伊賀孝子さん(大阪戦災傷害者・遺族会)、松岡環さん(南京六〇カ年全国連絡会事務局長)、山中喜代子さん(大阪府会議員)、中国人留学生(メッセージ代読)、いずれもピースおおさかが真の平和発信センターとして発展することを願う立場からの考察と問題提起の意義深い発言でした。
会場の熱気が右翼の街宣車を退散させたのか、開会時聞こえていたスピーカーの雑音もいつしか消えた中、「歴史のわい曲を許さず、加害の真実を糾明し、反動攻勢をはねのける運動をさらに強めよう」という決議を採択して閉会しました。それにしても、連帯と結集の重要さを改めて考えさせられた集会でした。
この集会に先立つ四月五日、大阪府知事に対して広範な国民連合・大阪は、ピースおおさか問題と日中友好に関わって「歴史事実を明確にし、日中両国の平和・友好関係の発展を求める」申し入れを行いました。