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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2000年5月号
「上越市食料・農業・農村基本条例」制定
自給率目標七割など、みどりの快適都市をめざし条例化
相次ぐ自由化の中で日本農業は崩壊の危機にある。そういう中で新潟県上越市は本年三月議会で「上越市食料・農業・農村基本条例」を制定した。自治体として食料・農業・農村問題を真正面から取り組む上越市の取り組みを紹介する。
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条例前文で、「人口、食料、環境問題が地球的規模で課題となっている今日、私たちは、いま一度、地域の農業を見つめ直し、農業を魅力あるものとして将来の世代に継承していかなければならない。今こそ私たちは、有機栽培を中心とした環境にやさしい循環型の持続的に発展する農業を確立し、地域内での自給を基本とした安全な食料の安定的な供給の下、都市機能と農村のもつ自然環境が調和する『みどりの生活快適都市』にふさわしいまち、いわば農都市の形成を図るため、この条例を制定する」と述べている。
条例の目的として、「食料、農業及び農村のあり方についての基本理念を定め、並びに市、農業者等、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、食料、農業及び農村に関する基本的な施策等を定めることにより、豊かで住みよい、環境の保全に配慮し持続的に発展する地域社会の実現に寄与する」としている。
「地域内での自給を基本とし、全国的な食料自給率の向上及び不測の事態への対応にも貢献することを目標に、安全な食料を安定的に供給することにより、将来にわたって消費者及び生産者の安心を保障する」ことを基本理念としている。
自給率の向上は、地域全体の努力がなければ実現できない。そこで、市、農業者、市民、事業者の責務を明記している。
「市は、基本理念にのっとり、食料、農業及び農村に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない」。また「市は、食料、農業及び農村に関する施策を講ずるときは、国及び県と連携するとともに、国及び県に対して施策の提言を積極的に行う」。
「農業者及び農業に関する団体は、自らが安全な食料の安定的な供給及び農村におけるまちづくりの主体であることを認識し、基本理念の実現に積極的に取り組むように努める」。
「市民は、農都市の形成を目指すまちの住民であることを認識し、日常生活において地域で生産された食料を中心として消費するように努める」。
「事業者は、農都市の形成を目指すまちにおいて事業活動を行っていることを認識し、食料を使用するときは、地域で生産された食料を中心として使用するように努める」。
上越市のカロリーベースの自給率は九九%と高い。しかし、米が二一八%、ナスが一九三%あり、米やナスなどを差し引いた場合、五一%が現実という。「基本計画」の中で食料自給率の目標を「市内のおける農産物の自給率をおおむね七割以上とする」「可能な限り品目別の目標値を定める」と明確化した。
農業に関する施策では、「循環型で持続的に発展する農業を確立するため、有機栽培農法の推進、輪作体系の確立、環境の保全に貢献する作物の栽培の推進その他農業の自然循環機能の維持増進に必要な施策を講ずるものとする。農業による環境への負荷の低減を図るため、農薬の使用縮減の推進」。また、農業経営の安定として、「農産物の価格の著しい変動等が認定農業者、新たに就農しようとする者等の農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずる」としている。
市民の声を政策に反映させるために、農業者、消費者、事業者、行政機関の職員、学識経験者などで構成する審議会を設置。食料、農業、農村に関する重要事項について調査審議したり、市長に提言することができるとされている。