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月刊『日本の進路』1999年10月号
5年前の1994年10月14日の午後、米軍艦載機A6ジェット機が、高度150メートルを時速800キロで低空飛行中に高知県山間部にある早明浦ダムの湖面に墜落し、パイロット2名が死亡しました。
米軍機は日本全国の7ルートで危険な超低空飛行訓練を行っていると言われています。5年前の墜落事故は、和歌山県南部から徳島の南を通り、吉野川筋を上り、四国山脈を越えて愛媛県に抜け、岩国基地に向かうオレンジルートで起こりました。
早明浦ダムそのものは高知県の土佐町にありますが、その湖面の一部は大川村にあります。墜落したのは大川村のダムの湖面です。墜落場所から500メートルの所に保育園、さらに500メートルの所に役場、対岸には小学校、中学校があります。時速800キロで飛んでいる米軍機にとってこの距離は瞬時です。大惨事になる可能性がありました。
早明浦ダムは、四国三郎と呼ばれる暴れ川である吉野川の上流にあります。電力や治水目的もありますが、水の少ない香川県への生活用水になっています。まさに香川県民にとっては命の水瓶です。もし、米軍機がダムにぶつかれば下流の町の被害だけでなく、香川県民の命に関わるという、ある意味では深刻な問題でもあります。
にもかかわらず、詳しい事故報告は米軍からも日本政府からもいまだにありません。あれから5年たっても、米軍機による低空飛行訓練は続いています。今年の1月20日には、空中給油をやっていた米軍機が接触事故を起こし、土佐湾に墜落しました。また、翌日の1月21日には、岩手県の釜石市の山中に低空飛行訓練中の米軍機が墜落しました。
早明浦ダムの下流に本山町があります。その町の職員が低空飛行訓練の回数を調査しています。調査といってもなかなか難しいようです。相手はジェット機、山間部ですから音がして外に出ても機影がみえない場合もあります。静かな山間部の町や村に突然、爆音がする。飛行ルートの人たちは、いつ落ちるか分からないという不安をもっています。
私たちは早明浦ダム墜落事故の2年後の96年から、毎年10月に低空飛行訓練を中止をもとめる集会を行っています。大川村は人口600人くらいの村で、10日前後は村民運動会が開かれますので、村の行事と重ならないように、10月14日に近い日曜日を選んでやっています。
今年は、10月3日に、「米軍機墜落5周年、超低空飛行訓練中止を求める四国集会」を開きました。大川村の早明浦ダム湖近くの広場に、約五百名が集まりました。集会は実行委員会主催で、県内だけでなく四国各県からも参加がありました。米軍機の飛行を監視している「リムピース」の田村順玄(岩国市議)に特別報告をやってもらいました。
低空飛行訓練は、朝鮮半島などの有事に備えた戦争訓練です。米軍はダムや鉄塔、発電所などを訓練の攻撃目標にしています。まったくとんでもない話です。
今年の春の県議会で、橋本知事が高知港に入港する艦船に対する非核証明条例を提案しましたが、多数派である自民党が外務省の圧力を受けて委員会で審議未了に持ち込みました。やはり県民、市民の大衆運動が背景になければと感じています。
国民の反対を押し切って、自自公体制は、周辺事態法など憲法違反の戦争協力を強いる危険な法律を強行採決しました。今後は、憲法違反の戦争協力法に反対し、危険な法律を発動させない運動を展開したい。あわせて、政府には超低空飛行訓練の即時中止を求める運動を継続します。
(文責編集部)