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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』1999年3月号
若狭湾地帯の原発問題
福井県議会議員 芝田真次
福井県の西南、若狭湾沿岸には、昭和40年代から原発が集中化し、沸騰水型軽水炉、加圧水型軽水炉、新型転換炉『ふげん』、高速増殖炉『もんじゅ』等、15基も立地されている。当初は、国が絶対安全といい、住民の大きな反対もなく、大阪万博の時にはこれを送電し、華やかな話題をよんだ。
ところが原発は絶対安全ではなかった。事故や故障がしばしば起こり、住民の不安は高まり、昨年は原発反対県民会議による反対署名が、有権者60万人の福井県で22万人も集まった。スリーマイル島の事故、チェルノブイリの大事故、国内では『もんじゅ』のナトリウム火災大事故であった。
高速増殖炉『もんじゅ』は、軽水炉の放射性廃棄物の再処理で取り出したプルトニウムをもやすものであるが、プルトニウムは核爆弾そのものにもなる。これを平和利用とするというのであるが、プルトニウムは猛毒、ナトリウムは火災を起こす。『もんじゅ』は極めて危険な原発で、先進諸国はすべて撤退した。それが敦賀で火災大事故を発生させたのである。軽水炉から出る使用済燃料再処理を、英・仏で行い、日本へ持ち帰り使用するのであるが、『もんじゅ』事故により、核燃料サイクルは破たんし、プルトニウムの行き先がなくなった。
今、これをMOX燃料(ウランとプルトニウムを混合した燃料)として、軽水炉で使うことを計画している、このプルサーマル計画もまた危険である。しかも、そこから出た放射性廃棄物の処理策も確立していない。若狭湾地帯では使用済燃料を原発敷地内で保管しているが、貯蔵施設が不足し、施設の増強をはかりつつある。県内の貯蔵プールは管理容量7253体分であるが、すでにいま、4850体貯蔵されており、保管余裕の体数は2403体で、使用済燃料の行き場がなくなっている。国は当初、これは施設外に持ち出し貯蔵し、再処理すると言っていたが、行き場がない、稼働したら廃棄物が出るに決まっているのに、国はこれの対策をせず、住民は約束違反だと怒りをぶちまけている。国は2001年までには保管場所をつくるといっているが、預かるところはできていない。県内の原発敷地内にたまる一方であり、ゆゆしき問題である。
また、原発の耐用年数は当初の説明では20年であった。その後30年となり、あと1年で30年になるため、突然、60年間は大丈夫と言い出した。通産、エネルギー庁の御都合主義を許せない。
核燃料輸送容器の性能データ改ざん問題もあり、科学技術の粋といいながら、ここ数年間だけでも事故や故障が108件も発生している。事故時の住民参加の原発防災訓練もいまだにない。事故時の医療や生活保障への対応も住民は承知していない。老朽化した廃炉の研究や、廃炉時の廃棄物処理場もどうなるのかわからない。
新防衛ガイドライン、周辺事態への対応どころか、集中化している若狭湾の原発が攻撃されたら住民は被爆し、関西地方への電力はストップし、産業、経済、輸送、生活は機能マヒする。福井県は原発の集中化に反対し、平和に徹しなければ救われない。原発の縮小をはかり、省エネや新エネルギーの研究開発に国はもっと本気で対処しなければ、国民生活を守ることはできないはずである。