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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』1999年1月号
代表世話人年頭メッセージ
きな臭い新年を迎えて
伏見康治
この稿を草し始めた12月17日の昼、テレビは米英軍のイラク爆撃の始ったことを伝えている。国連の査察団が肝心のところをイラク側が見せないため引き上げてしまったことによるものと思われる。以前の湾岸戦争の場合ほど、他の国々が乗り気でないが、気になる。クリントンのスキャンダルが、いよいよ議会で問題にされそうな時期に重なっているため、何かすっきりしないものが感じられる。
日本人は完全に平和ボケしていて、平和を守るために何をなすべきかについても何も考えていないように見えるのも困ったものである。それだからこそ北朝鮮がロケットの実験をすると、にわかに国防、国防と叫び出し、それに便乗して日本の情報収集衛星保有と対戦域ミサイル防衛(TMD)を研究開発することが、内閣できまってしまった。ミサイルに対抗するミサイルがどんなむずかしい技術であるかは、豊田利幸さんが長い間説いてきた通りで、成功まで何年かかるかわからず、その間に北朝鮮の情勢がすっかり変ってしまうことは明らかであろう。
日本人は北朝鮮に対して、戦後ずっと白眼視してきた。中国や南朝鮮つまり韓国には不十分ながら過去の罪悪について陳謝してきた。北朝鮮に対しては何もしないで白眼視し続けてきた。半世紀の長きにわたって。わが国には北朝鮮系とみられる方々が何十万も住んでおられて、日本海を行き来しておられる。われわれは毎日顔をつき合せているのである。それなのに、半世紀も挨拶もしてこなかったのはどういうことなのであろう。かっての宗主国(と言ったら叱られるのだろうか)が、運命で分かれてしまった南北の民に対して話し合いのいとぐちでも附けて上げるべきと思うのだが。
アメリカの軍関係者は、明らかにイラクと北朝鮮を同じような「ならずもの国家」と考えて、同じように処置する積もりであったに違いない。カーターが出てきて危いところで融和政策に転じたのだが、いつまた強行策に転ずるのか予断を許さない。日本は、少なくとも北朝鮮に対して、アメリカの鼻いきをうかがうのではなく、自らの判断で融和策を講じて行くべきである。半世紀前に犯した罪を償うためにも半島の平和に対して積極的に働きかけるべきである。