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『日本の進路』地方議員版40号(2008年9月発行)
沖縄県議会議員 当銘勝雄
1 在日米軍専用施設の75%が存在する沖縄
戦後沖縄県民の命と暮らしを無視して、ブルドウザーと銃剣で造られたのが沖縄の米軍基地である。
県民の一致した主張は、段階的な整理縮小であるが、遅々として進まない、県土面積全国の0.6%の地域に米軍専用施設が75%も存在する常識では考えられない異常さが続いている。
米軍基地から派生する事件、事故は後を絶たず、米軍は教育プログラムを実施して対応しているが、なんら解決が出来ないのが実態である。私たちは基地の存在は事件事故がつきもので、それらを無くすのには基地撤去が最も有効で有ると考えている。
2 環境破壊と汚染を続ける米軍基地
米軍基地での演習によって、山火事や森林破壊、海域へのウラン弾実弾演習による汚染、基地周辺の井戸や河川への油の流出、PCB汚染で何年たっても使用出来ない返還跡地など、環境破壊は限りがない。米軍は接収した土地はどのように使ってもよいと考えているようである。
3 米軍基地の存在は産業振興を阻害
沖縄県民の所得は全国平均の約70%、失業率は全国の約2倍の7%台で推移している。沖縄が祖国復帰をした際、長年の米軍支配と莫大な米軍基地の重圧によって、本土との格差が大きく、格差是正のため沖縄振興特別措置法の制定と沖縄振興開発計画が策定され、遅れている沖縄の産業経済の振興策が講じられた。しかし復帰後10年スパーンの4次計画が終ろうとする現在、全国との格差は縮まらない。沖縄振興特別措置法で道路、港湾、土地改良事業など基盤整備に対する補助率の優遇措置が講じられ。全国的にはそれぞれ別のメニーで実施されたとか沖縄県の経済の自立のための基礎的な仕組みが欠如しているという指摘もあるが、米軍基地の重圧で産業経済の振興発展が阻害されていることが大きいと思っている。これだけの米軍基地が存在する事情からすれば、沖縄県はどこの県よりも特別措置により、県民所得は全国一豊かになるはずである。何故戦後60年も全国最下位か疑問である。
4 沖縄への基地の再編強化
米軍基地は沖縄県民の命と人権、産業の発展と暮らしに多大な影響を与えている。
政府は沖縄県民の基地の負担軽減はかると言明しながら現実は別の方向に動いている。昨年の世界的規模の米軍再編に際しても、当初総理も県外への再配置を含めて検討すると発表し沖縄県民は大きな期待をもったが、実際には沖縄への再配置が主体であった。
その代表的なものが普天間飛行場の移設問題である。当時のラムズフェルド国防長官も最も危険な飛行場と認識して、返還合意に至った。しかし政府の基地政策は沖縄への基地封じ込めを第一義と考えており、海上埋め立てによる辺野古沖への日米合意を取り付けてしまった。辺野古沖は藻場や珊瑚のある海で、世界的に貴重種のジュゴンが生息し、多くの県民や環境保護団体の反対運動が広がり、容認派の知事も2期8年の任期中何ら進展させることが出来なかった。業を煮やした日米政府は米軍再編で、辺野古沖を断念するハメになった。しかしジュゴンの海がダメなら沿岸部へと再び辺野古への移設が進められている。政府は当初県外移設も含めて検討するとしながら一切検討しておらず沖縄ありきで進められた。
一方において、ヘリパットの再配備や嘉手納飛行場の強化も進められている。アメとムチの米軍再編促進法なる地方自治をないがしろする悪法まで制定する日本政府の周到さである。
5 米軍基地問題のこれからの戦い
2008年6月の県議会議員選挙において、与野党が逆転をした。今回の選挙は全国的な自公政治に対する国民的批判(年金、道路特定財源、後期高齢者医療制度)に加え沖縄県においては辺野古への新基地建設が大きな争点になった。6月定例会において野党多数による「辺野古への新基地建設反対の意見書」を可決し、日米政府に要請行動を展開したが、日本政府は県議会に於ける全会一致でないことをいいことに県民代表の要請団の対応を疎かにしている。私たちは県議会での与野党逆転は県民意志が明確に示されたとものとして引き続き運動を展開していく必要がある。
また不平等条約と言われる「日米地位協定」は余りにも米軍基地維持のための片務協定になっている。県民の尊厳や人権を踏みにじる事件が続発し、県民総意として、地位協定の抜本的改訂を政府に求めているが政府は運用改善の一点張りである。最近、地位協定締結の際、アメリカ軍有利の密約あったとする報道がされた。今、抜本改定となるとこの密約があからさまにされることから運用改善にこだわっているとされる。これは沖縄の米軍基地だけの問題でなく総ての米軍基地のあり方が問われてくる問題である。
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名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書
日米両政府は、1995年の10・21県民大会に代表される県民の米軍基地の整理・縮小・撤去等の声と行動により1996年4月、普天間飛行場の返還を発表した。
しかし、これは県内への移設条件つきであり、しかも箇所や工法が紆余曲折を経て今日、辺野古沿岸域でのV字型の新基地建設計画へと立ち至っている。
ところで、本県は国土面積のわずか0.6%にすぎない狭隘な県土面積に全国の米軍専用施設の約75%が集中しており、これら米軍基地は県土面積の 10.2%、特に人口、産業が集中する沖縄本島においては、実に18.4%を占める異常な状況下にある。
このような中、県民は普天間飛行場の名護市辺野古での新基地建設には、基地の過重な負担と固定化につながることから一貫して反対してきた。
同様に、地元名護市民も1997年12月に行われた市民投票において辺野古新基地建設に反対するという意思を明確に示した。
また、名護市辺野古海域は沖縄県が「自然環境の保全に関する指針」で「評価ランク1」に分類しているように、国の天然記念物であり国際保護獣のジュゴンを初めとする希少生物をはぐくむ貴重な海域であり、新たなサンゴ群落が見つかるという世界にも類を見ない美しい海域であることから、新たな基地の固定化と、新基地建設工事に伴う環境汚染や大規模な埋め立てによる環境破壊につながる辺野古新基地建設には断固反対し、世界に誇れる自然環境を後世に残し引き継ぐことこそが我々沖縄県民の責務である。
よって、本県議会は、名護市辺野古への新基地建設を早急に断念されるよう強く要請する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年7月18日
沖 縄 県 議 会
内閣総理大臣/ 外務大臣/防衛大臣/ 沖縄及び北方対策担当大臣 あて