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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版32号(2006年9月発行)

【北朝鮮のミサイル発射問題に思う】

武力で平和はつくれない

石川県金沢市議 森 一敏


 私は、ちょうど朝鮮民主主義人民共和国がテポドンを発射した直後の7月8日から12日まで、金沢市早朝ソフトボール連盟が続けている韓国全州市へのソフトボール交流訪問団に選手として参加しました。
 マスコミが「ミサイル攻撃」の不安を煽り、自民党の有力政治家が経済制裁やあろうことか「敵基地先制攻撃容認」までをも軽薄に言い立てるのを尻目に、現地の添乗員の女性は、ユーモアを交えて次のように言ってのけました。「ミサイル発射については、韓国一般市民は、全然気にしていません。その種のことはよくあったことですから。それよりソウルは、ピョンテクの農民たちが米軍拡張に反対して闘っているのに連帯するデモがよく行われて交通渋滞に拍車がかかっています。それに今、FTA閣僚会議が開催されているので、会場周辺で大雨にもかかわらず連日抗議デモがかけられています。渋滞に巻き込まれたら諦めてくださいね」。なるほど、深夜もソウル中心街には、機動隊員が街角に立ち、隊員が眠っている輸送車が何十台も駐車している光景が見られました。
 このギャップ! 市民社会における市民としての「地に着いた視座」。それは、被害者意識と何となくの不安が煽られている日本の人々に最も要求されているものでしょう。日本の植民地支配と、日米安保体制に起因する南北分断とその固定に苦しみ抜いてきた韓国。無責任に舞い上がり、威勢のいい言葉に酔う日本の政治屋やそれに歓呼を送る人々に、他でもない韓国民衆が、皮肉を込めながら不安の眼差しを向けているように感じました。制裁を求める日本が国際社会からいかに孤立無援な状態になってしまっているか、国連決議の経過の中でも、それが白日の下にさらけ出されてしまいました。
 他国民を殺し続け、軍事力で脅かし続けてきた米国国民が、「テロ」や武力攻撃におびえるという笑えない姿が、日本にも急速に広がってきました。日本にある米軍基地(石川県にも米軍訓練移転に揺れる航空自衛隊小松基地が存在)、周辺海域をうろついているアメリカ艦船に搭載された夥しい数のミサイル類、テポドン発射直前にも展開されていた日米韓共同軍事訓練が、朝鮮民主主義人民共和国や中国を威圧し続けてきたという現実を無視しては、冷静な判断はできません。
 「拉致被害者を救う会石川」は、市内にある朝鮮会館の市税一部減免を取り消すよう、金沢市に対して監査請求、申し入れを執拗に繰り返しています。「テポドン発射」直後にも、再度申し入れています。市の姿勢は、公共施設として一部減免の堅持であり、監査委員会もそれを認証しています。その姿勢を私は評価しています。平壌宣言の履行、朝鮮民主主義人民共和国との国交回復、戦後補償の履行を軸にした関係改善の誠実な努力がなければ、拉致問題も解決はできないでしょう。対米従属とアジア軽視こそ「のど元のトゲ」なのです。金沢市は2003年に韓国全州市と8番目の姉妹都市提携に調印しました。その韓国が太陽政策の下、平和的な南北統一に懸命な努力を払っています。朝鮮半島全体の平和と安定のために、日韓平和関係の発展に自治体外交を通じて貢献することが、世界都市を標榜する金沢の使命です。