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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版26号(2005年2月発行)

地域の多様性を生かしたまちづくり

―前田 穣・宮崎県綾町長に聞く―

中山間地のネットワークを


 綾町は人口7876人(2004年8月現在)のいわゆる宮崎県の中山間地に位置する町です。時代の流れの中で広域合併により、地方財政改革がなされていますが、それぞれの町村は多様性を持った、地域社会を形成していくことが大事だと思います。その中でも中山間地は地域資源として自然があり、地方の文化が培われてきています。それぞれの地域の個性・特徴を生かした町村振興をはかることが大事だと思います。中山間地で頑張っている自治体のネットワークが必要だと思っています。
 合併特例法を作り平成17年3月まで合併をやりなさいというやり方は余りにも性急です。数年前に出され全国町村の怒りを買った「西尾私案」では人口1万人以下の町村は合併しなければ自治権を奪うような規模の大きさ、合理化効率論だけで、憲法で保障する自治権まで侵害するような合併促進案が出されました。政府は「合併は自主性を尊重する」といいながら実際は合併特例債などによって「アメとムチ」による合併を推進して来ました。国、県が合併という方向を示すと上下主従の形が残っていて、なかなか真正面から議論が出来ません。これからは、地方分権ということであれば、お互いに役割分担をして、自らの責任において町づくりをすることですから、やはり対等に論議をしていかなければならないと思います。
 昨年は地方交付税が大幅に削減され大変苦労しました。竹下内閣時、古里創生運動が提唱された頃は積極果敢に町作りメニューを作り上げていけば、国は起債を許し、地方交付税で手当してくれました。有機農業、手作り工芸、本物を求める町作り、都市と農村の交流共生、スポーツ交流の里作り等々やりながら産業観光の町作りを積極的にやって来たわけです。今になって地方交付税の使われ方がおかしい、行財政改革で交付税をカットするとか、合併しなければ交付税を削減するなど、今までのやり方と矛盾しています。
 私たちは住民に密着して住民のニーズに応えるために苦しい財政状況の中で精一杯アイデアを出して、政策を講じています。地方交付税は固有の地方の財源として、財政調整機能を果たすということが地方交付税法でうたわれています。
 交付税が昨年みたいな形で削減されると地方は成り立ちませんから全国町村会など地方は抗議行動をおこしたわけです。その結果、16年度分は若干歯止めがかった気がします。私どもは足りない分をいろいろ起債してやっていますから、厳しい状況は変わりませんが、身の丈にあった財政規模でやっていける体制を作っていこうと思っています。
 4月になって「合併」が落ち着く頃「中山間地域の自主・自立を目指す自治体ネットワーク」を九州管内に呼びかけ、お互いに情報交換をし、勉強をしていこうと思っています。
(談 文責編集部)

(注)綾町は平成10年共同通信社が行った「首長が選ぶ元気な自治体西の横綱」に選ばれたり、平成14年「豊かな村作り農林水産大臣賞」受賞。等々町作りの先進町とし多くの受賞があり、全国の注目を集めている。