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自主・平和・民主のための広範な国民連合
『日本の進路』地方議員版23号(2004年5月発行)

三位一体の改革と地方自治

地方交付税等の削減、私のまちでは…

北海道函館市/北海道滝川市/青森県七戸町/秋田県
福島県鏡石町/宮城県富谷町/埼玉県新座市/三重県鈴鹿市
岡山県赤坂町/香川県高松市/高知市/鹿児島県枕崎市


 「日本の進路」地方議員版編集部は13自治体の地方議員に今年度の予算で政府の進める「三位一体の改革」の影響についてお伺いした。下記表の「対前年削減総額」は地方交付税を含む国からの補助金など総額で前年度より削減された総額である。全国の自治体でいかに深刻な事態に直面しているかがわかる。(文責 編集部)

北海道函館市 (市議会議員・石井満)
一般会計額(2004年度)当初予算 1231億4100万円
対前年削減総額  15億3078.5万円(対一般会計比 1.2%)
対応策や影響 基金の取り崩し、住民サービスの低下、役所の合理化
意見他
1、国の財政再建のしわ寄せが、地方自治体の財政運営を出来なくしている。
2、地方への財源移譲なくして、地方の改革は難しい、国の財政再建は困難である。
3、少なくとも、現在まで交付されていた、各国庫補助金や地方交付税を全額地方におろすべき。地方は知恵を出しより社会資本の充実することが出来る。最大妥協しても、地方の工夫で節減できる10%以下の削減とし何の事業でも使える(地方の必要とする事業に)金をおろすべき。
4、北海道の道南地方は、3町1村(戸井町、恵山町、南本部町、椴法華村)と函館市が平成16年 12月1日付けで合併することが決まったのも、町村の財政運営が「三位一体の改革」(?)とやらで運営できなくなったからであり、国の責任は重大である。



北海道滝川市 (市議会議員・渡辺精郎)
一般会計額(2004年度)当初予算   226億2700万円
対前年削減総額       2億1743万円(対一般会計比1.0%)
対応策や影響 
  基金の取り崩し、住民サービスの低下、手数料など公共料金の値上げ
意見他
 国の財政危機を地方に押しつけるものである。
 特に「平成の大合併」の結果が、決して地方財政が豊かになるものではなく、国民(住民)を騙すことになるであろう。
 結局は新しい合併市も財政難に陥ることは確実であろう。



青森県七戸町 (町会議員・川村三十三)
一般会計額(2004年度)当初予算 52億2300万円
対前年削減総額  3億2009万円(対一般会計比 6.1%)
対応策や影響
  基金の取り崩し1億2941万円、住民サービスの低下、公共料金の値上げ
意見他
・計画なき財政改革は、地方財政に深刻な影響を与えている。突如として出される削減額、何をど うするのか目安のなさが目立ってならない。
・財政難から町村合併が進められているが、特例法期限までの合併はムリと思われる。合併の目的 は財政難にかこつけた、中央集権の強化にあることが明白だが、現在の議会の情勢は、合併特例 債に目が向いて、本質から遠のいている感が強い。
・過疎地の町村合併を進めても人口の増加、財政の増大が見込めない。全国規模の財政確立体制を 造るべきだと思う。



秋田県 (県議会議員・京野公子)
一般会計額(2004年度)当初予算 7050億8700万円
対前年削減総額      283億9884万円(対一般会計比4.0%)
対応策や影響 基金の取り崩し、役所の合理化、単独投資事業の大幅削減 
意見他
 省庁には切り捨てやすい地方の末端組織の統廃合、税源委譲は尚り減額283億円に対し、譲与税、特例交付金の名目で増加額がわずかに34億9400万円(本県の場合)にとどまり、全く、実体を伴わない、名目だけの改革である。と感じます。抜本的な、国に関わる行政コスト、政策コストは棚上げにし、地方にのみ合理化やコスト削減を押し付けています。合併後も、地方財政の好転は望めないと考えます。



福島県鏡石町 (町会議員・円谷寛)
一般会計額(2004年度)当初予算   41億7000万円
対前年削減総額       9億7840万円(対一般会計比 2.3%)
対応策や影響 基金の取り崩し3億2252万円、敬老会記念品代の廃止、健康診断受信料の引き上げ、 課の廃止(3課)、その他議員の費用弁償の廃止、町長職など特別職の給与5%カット(*一昨年から昨年へは地方交付税が2億5千万円 国庫支出金が1200万円減された。)
意見他
  当町の場合は一般的な自治機能が十分に果たされていないと思っています。放漫財政とそれをチェックできない議会の現状は政府の強圧的な合併推進や財政合理化(交付税削減等)すら批判する資格があるのかどうか疑わしいところです。
  ともあれ、当町の自治体としての存立基盤は急速に失われつつあると思っています。国の最近の政策はそれを急激に推進していることはまちがいありません。



宮城県富谷町 (町会議員・菅原伝)
一般会計額(2004年度)当初予算   87億2600万円
対前年削減総額       約2億円(対一般会計比 2.3%)
対応策や影響 基金の取り崩し、住民サービスの低下、役所の合理化(財政調整基金 4億円取り崩し、福祉タクシー券支給年齢の引き上げ、敬老祝金の一部カット 給食調理員削減(民間委託)、 アルバイト職員の削減などになって現れている)
意見他
 住民と自治体へのあらゆる面でのしわ寄せであり、地方分権とも相入れない。平成の大合併も政府自らの失政を何一つ総括せず末端行政まで中央集権化するものである。合併をより政治的に見るべきと考える。



埼玉県新座市 (市議会議員・星川一恵)
一般会計額(2004年度)当初予算   384億2300万円
対前年削減総額       7億5120万円(対一般会計比 2.0%)
対応策や影響 地域基金廃止2億8000万円、事業の先送り


三重県鈴鹿市 (市議会議員・板倉 操)
一般会計額(2004年度)当初予算   571億3500万円
対前年削減総額       38億円(対一般会計比 6.7%)
対応策や影響 基金の取り崩し、住民サービスの低下
意見他
 小泉改革が地方切り捨ての政治を断行していることが尚一層明らかになった16年度です。我市も三位一体改革の直撃をうけています。3月議会では当市の16年度予算が三位一体改革の影響をどのように受けているかについて一般質問しました。全国市長会の要望書のとおりの内容です。また三位一体改革の直撃を受ける中で、平成の大合併のまやかしも明らかになったと思います。合併してもしなくても地方は苦しくなる一方だということが見えてきたからです。単独市を選んだ当市ですが、最近では「やっぱり合併しておけば…」という声も徐々に聞こえなくなりつつあります。



岡山県赤坂町 (町議会議員・原田素代)
一般会計額(2004年度)当初予算   26億6717万円
対前年削減総額       1億3472万円(対一般会計比 5.1%)
対応策や影響
 8億円あった(13年度)財政調整基金を3億円とり崩し、5億円となった。その他各種団体への補助金が削減された。
意見他
 合併10年後には、支出が歳入を上回る見通しがすでに出されています。
このままでいけば、今回無理して合併しても、10年もたず、次は「道州制」を準備しています。腹が立ってしようがないです。「政治を変える」を問題にしないと、このまま、自民党のあり地獄に落ちていく「あり」のようになるしかありません。
 


香川県高松市 (市議会議員・三好義光)
一般会計額(2004年度)当初予算   1147億9400万円
対前年削減総額       16億992万円(対一般会計比 1.4%)
対応策や影響 
 平成15年度基金取り崩し9824993000円 平成16年度見込み520000000円 10月よりゴミの有料化が実施される。可燃ゴミ、破砕ゴミが有料となる。方法はゴミ袋購入料金が 10L-10円,20L-20円、30L-30円、40L-40円。
意見他
 本市でも周辺町との合併に向けて、現在5町と合併協議会を実施しています。合併しなくては地方交付税が削減されということで、ビジョンがないまま合併が進められています。来年3月期限までに合併する予定。



高知県高知市 (市議会議員・浜田拓)
一般会計額(2004年度)当初予算   1380億万円
対前年削減総額       41億7742万円(対一般会計比 3.0%)
対応策や影響
 27億6596万円基金の取り崩し 財政調整基金3億5千万円 減債基金5億円 土地開発基金11億円その他 
意見他
 羊頭狗肉と上意下達の狙い明白になったと思う。
 「五年前、地方分権一括法が制定され、国と自治体は上下主従の関係から対等協力の関係になった。さりとて、税金の七割を国が吸い上げ、補助金でもって、仕事の七割を自治体に担わせる、そのシステムが放置されている。これを改め、地方が財政面で自立できるだけの 『税財源の移譲』が必要である。」(3月市議会定例会での発言より)



鹿児島県枕崎市 (市議会議員・今角 求)
一般会計額(2004年度)当初予算   106億3710万円
対前年削減総額       1億5130万円(対一般会計比 1.4%)
対応策や影響 
 財政調整基金の繰り入れ 土地開発基金と市庁舎建設基金等の繰り入れで赤字予算を避けた。 現業部門の民間委託化(学校用務食、学校給食調理、老人ホーム寮)
意見他
 三位一体改革は自主財源の乏しい自治体にとって、現状では財政破壊をもたらすものにしかなっていないし、地方には課税客体が無いために義務的な費用まで用意できない。
平成の大合併は地方交付税を大幅削減するだけのことしか出てこないし自治体はこれから大々的にサービスを低下・廃止していくことにしかならない。
地方分権一括法は現状では地方の自立を促していない。反対方向へ動いている。