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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2007年10月号
9月29日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」は、72年復帰後最大の11万6000人の決起によって成功をおさめた。県議会の二度にわたる決議、41全市町村議会の超党派による決議が相次いだことで、「島ぐるみ」の様相を呈するに至った。こうして9月29日の大会は、県内最大の収容能力を持つ宜野湾市海浜公園での開催となった。
事のおこりは、去る3月の高等学校社会科の教科書検定で、沖縄戦における「集団自決」(強制集団死)について「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」という「検定意見」を付けて、日本軍による命令・強制・誘導等の軍命を削除させたことに始まる。晴天の霹靂で、沖縄県史や市町村史を始め、沖縄戦に関する定説や通説、蓄積された沖縄戦研究の成果をも否定する暴挙であった。
沖縄からの相次ぐ抗議と撤回要求に対し、時の伊吹文科相は「政治介入」を口実に面談を拒否した。しかしマスコミ報道ですでに明らかのように、教科書検定審議会では自由主義史観の調査官から課長、局長決裁を経て提出された「検定意見」が一言の論議もなく決定されたというのである。またこの審議会には、沖縄戦の研究者は一人も入っていなかった。これは「タウンミーティング」同様、文科省のヤラセでなくて何であろうか。
沖縄の県民大会決議を受けて、文科省は卑怯にも教科書会社からの「訂正申請」で処理しようとしている。県民大会決議は、まず「検定意見の撤回」であり「記述復活」を求めているのであり、責任転嫁は許されない。今後も同じ過ちを犯す素地を残してはならないからだ。
今回の沖縄戦の記述削除は、氷山の一角である。この機会に、日本政府の沖縄に対する差別的な歴史観を修正させなければならない。併せて、このような有害無益で非生産的な検定制度は廃止すべきである。