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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2007年1月号
代表世話人からの新年メッセージ
武者小路 公秀
安倍首相は「美しい日本」を作ろうとしている。そしてそのために愛国心の教育をするという話だ。もし、日本に定住している朝鮮人・中国人・フィリッピン人・ブラジル人・ペルー人などそれぞれの愛国心を呼び覚ますような愛国心の教育を本気で実施し、これに被差別部落民の「アイデンティティ教育」、沖縄の人々やアイヌ民族の民族教育も合わせて、立体的な日本列島に住む諸民族の民族アイデンティティの「平和共存」教育を進めるのはよいことである。
そのなかで、日本民族のアイデンティティについても教育し、これをもとにして互いのよい点の相互尊重と悪い点の相互確認の歴史教育ができれば、日本はきっと多文化共生の「美しい日本」になるであろう。しかし、もし、日本人だけに日本のよいことばかり吹き込んで教育したら、次世代の日本人は、今よりさらに世界の嫌われ者となり、「醜い日本人」になってしまうに違いない。
昨年、国連の人種主義に関する特別報告者、ドゥドゥ・ディエンさんが「日本における人種主義」についての報告書で、被差別部落、アイヌ民族、在日コリアン、いわゆるニューカマー移住外国人などがいかに隠れた差別に悩まされているかについて報告した。この報告書は、今日の日本から「美しさ」を奪っている人種差別が、グローバル化する植民地主義のなかの日本の国家エゴと密接に結びついていることを指摘した。
彼は、日本政府の日本中心主義について反省を求めるとともに、日本市民が日本列島に均質な日本人だけが住んでいるとしている日本市民の意識改革を呼びかけている。
しかし、日本政府は同報告者の勧告に耳をかたむけるかわりに、これに背反する教育基本法の改悪を実行してしまった。しかも、さらに日本の植民地主義侵略で、周辺諸国民が平和に生きる権利を奪ったことの反省に基づく憲法の改悪も引き続き実行しようとして、せっかく「美しい世界」を目指していた日本を再軍事化し、今また米国のグローバル植民地主義戦争である「反テロ」戦争に協力しようとしている。
そうすることを止めて、日本国内外での外国人の平和的生存権を尊重する日本人、憲法を守る「美しい日本人」で憲法の平和的生存権と軍事力の放棄を世界に押し広げて「美しい世界」を作るべきである。2007年は、安倍首相の自己中心的な「美しい日本」をつくる「醜い日本人」になることをキッパリやめて、「美しい世界」をつくる「美しい日本人」になることを選択する年にしたい。