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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2006年9月号
『沖縄をどう教えるか』編集委員会世話人 石川 元平
『沖縄をどう教えるか』編集の話があったのは、戦後六十年を迎える一年前のことであった。私たちがこの話に応じたのは、学校現場教師も戦争を知らない世代になっていること、教科書の記述も後退を重ね、大切な沖縄戦や戦後の沖縄分断という歴史的事実が削除されていく方向にすすんでいること、現在までつづく沖縄の苦悩の歴史が伝わる内容になっていないこと、そしていま、憲法と教育基本法の改悪が政治日程にのぼり、民主教育・平和教育が危機に瀕していること、一方では修学旅行などで沖縄体験学習に来沖する学校が年々増えていること、などの事情を考慮して、『沖縄をどう教えるか』の本を出版することにしたものである。
「本」を出すにあたって、編集委員会では次の〈基本方針〉を確認した。
(1)中学生・高校生でも理解できる よう工夫しながら、全国の教師を 対象に平和学習・総合学習・沖縄 旅行などの学習に役立つ本にする。
(2)現在の沖縄から見 た子どもの興味関心 からスタートし、沖 縄の苦悩の歴史から 現実に迫って、事象 の深層まで包括した ような内容の本をめ ざす。
(3)沖縄から見る歴史 ・平和・軍事基地・ 差別・人権・抵抗運動などが、日 本全体の本質に迫る問題であるこ と。沖縄問題を被害・加害の二つ の視点からとらえること。
(4)「見開き」の二ページ一項目の 完結型で、親しみやすいビジュア ルな内容にしていく。
「本」の内容は、まず〈第一章〉で「沖縄の六つの顔」を取り上げた。〈第四章〉では、これまで沖縄における教育実践や、県民の視点で不十分であった「沖縄から見た加害の目」にメスを入れようと試みた。また、現在進行中の「在日米軍再編」問題も取り上げた。いまの大人世代の選択が、次世代の生き方をも左右しかねないからである。最終章の〈第六章〉では、「沖縄から世界へ」、国境を越えて非武装・非戦の平和思想に触れることにした。
『沖縄をどう教えるか』は、まずは知らなければ教えることはできない。知るためには正しく学ぶ必要がある。この本はそのために、教師のための副読本的期待をこめて、世に送るものです。もちろん生徒・学生や父母をはじめ、広く一般市民にもお勧めしたい。
執筆陣は、戦後沖縄の歴史的な運動に係わった方々を中心に、本土からの在住者で差別や人権問題など、沖縄問題の本質を追究しつづけている方々を含め、各分野で活躍しているメンバーを揃えることができた。
「過去は現在と未来への道標」といわれる。過去を学び、現在を知り、子ども・青年の未来を拓いていくために、この本が広く利用され、役立つことを期待したい。
28人の著者と沖縄の民衆運動が作り上げた副読本 |