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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2006年8月号

国策の横暴/引き裂かれる民意/主権者はだれ?/主権在民はどこへ

『米軍再編・岩国の選択』

2006・岩国住民投票の記録映画が完成! 全国で上映運動を!


 2006年3月12日山口県岩国市は米海軍厚木基地から横須賀を母港とする「空母艦載機の移駐」を一方的に押し付けようとする政府のやり方に対し、受入の是非を問う「住民投票」を実施しました。これは米軍再編に関る住民投票では全国で初めてのケースになりました。
 1996年米軍基地の沖合移設工事が始まり、市民は"これでやっと騒音問題が改善される"と大歓迎したのでした。基地との共存はお上の決めたことだから仕方がないが、ジェット戦闘機による騒音は耐えられない。市民にとって沖合移設は長い間の悲願だったのです。しかも総事業費は2400億円の超大型公共工事、異を唱える理由はどこにもありませんでした。
 それから10年が経ち、悲願だった沖合移設工事が「防衛庁とゼネコンによる官製談合」によって進められてきたこと、更に米軍再編による「基地機能の拡大強化」であったことを市民は思い知らされたのです。
住民投票(投票率58%)の結果は受入反対が圧倒的多数(87%)を占めました。市民は地元の意見を無視する形で米軍再編を強行しようとする政府の姿勢にノーを突きつけたのです。
 では「住民投票」で湧き上った民意はどこへ向かうのか。それが問題の核心でもあります。住民投票を発議・実施した井原勝介市長は投票後の3月19日、周辺8町村との合併成立と同時に失職、4月23日の新市長選挙で再び信を問われましたが多くの支持を得て再選されました。
 これまで基地問題にあえて触れようとしなかった人たちの意識が徐々に、しかし確実に変わりつつあります。政府の強行姿勢は皮肉にも、いつでも政府の言うことに従い、おとなしいと思われていた岩国の住民感情に火をつけてしまったのです。
 映画「米軍再編・岩国の選択」に記録された岩国市民の主権在民を問うひたむきな活動は感動的である。
 これから住民投票という直接民主主義の方法を体験し、主権者意識を自覚した岩国市民が、日米軍事同盟という国策との共存を再び強いられながら地方自治の在り方について何を考え、どのような地域社会を模索していくか。岩国の苦渋と苦難は沖縄、厚木、座間、そして米軍再編による軍事機能の強化負担を強いられている全国関係自治体の苦難であり、決して他人事ではない。今ほど主権在民が国策に脅かされている時代はない。今ほど主権者としての自覚と行動が問われている時はない。米軍再編は極めて我々自身の足元にある重要課題なのである。
●撮影・監督は「ゆんたんざ沖縄」「しがらきから吹いてくる風」「水からの速達」「梅香里(メヒャンニ)」「朋の時間〜母たちの季節」「ぬちどぅ魂の声」「水俣わが故郷」などの作品で知られる西山正啓。他に「未来世を生きる〜沖縄戦とチビチリガマ」「ベトナムに生まれて〜枯葉剤を浴びた村から」「大量廃棄社会に未来はあるか」などのテレビ作品がある。福岡県在住福岡教育大学「共生社会論」講師。
【上映の問合せ】092・942・7406(ファックス兼/西山) 
Eメール n-aitaro@nifty.com