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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2006年1月号
代表世話人からの新年メッセージ
武者小路 公秀
世界貿易機関(WTO)閣僚会議が開かれている香港から新年のメーッセージを送ります。目下、六〇年安保闘争のときの国会包囲デモを上回るデモが、閣僚会議が開かれている会議センターに通ずる何本かの大通りで完全に通行を停止し、機動隊とのにらみ合いが続いています。国会包囲をはるかに超える規模で、いわば国会に通じる桜田門、赤坂見附、溜池の大通りをすべて制圧しているような凄い規模のデモです。これから脱落してホテルで本稿を認めていますが、テレビを通じて、韓国農民団体に続く多くの市民団体の旗の波のもとでの力強い新自由主義貿易反対、米帝国覇権反対の力強い息吹が伝わってきます。
WTOは、ブッシュの帝国のいわば基盤づくりの、国連をしのぎ、国連に代わる国際機関です。米国の独占のもとにある世界の軍事部門と軍需産業を除く世界の経済・社会・政治・文化・技術・法制度などすべての営みを、米国支配層と多国籍企業との支配を絶対化するために、商品としてしか見ない世界秩序をつくり出そうとしているのです。資本主義が生まれてこの方、商品化が労働はじめ、人間のいろいろな営みを巻き込み、自然を商品とすることで、環境破壊が進みました。また、本来商品交換の手段であった貨幣も商品として投機の対象になり、賭博場金融資本主義が各地に経済危機をうみました。しかし、人間が人間として生活するのに欠かせないものやサービスは「公共財」として、国家が管理することになっていました。いまや、そのような商品化してはいけないものやサービスが取引されています。人々の命に欠かせない水も薬も、平和に暮らすのに欠かせない土地も仕事も商品としてしか扱わないようにする交渉がWTOで進んでいます。
そこで参加国の閣僚の間で、いろいろ取引の対象になっている商品のなかには、人々が定住したり移住する権利も、そして貧困撲滅のための活動も、どのような外国人にどんな権利を認めるかも国の間の商取引の材料になっています。こうして、本来商品にできないはずの人権も、法制度も、そして文明までも商品化して、企業や国家などの投機すじの取引の材料になろうとしています。このような人間が人間として扱われない世界を作ろうとしているブッシュの帝国に対して、なぜ日本ではまったくといってよいほど無神経・無関心であり得るのでしょうか?
このような世界ではまったく生きていくことができない。そういう危機意識からカンクン(メキシコ)で開かれた前回のWTO閣僚会議で自決して死の抗議をした先輩に続く韓国農民運動を中心にして、世界の民衆の怒りを代表しているのが、香港の大集会と大型デモです。少々高望みすぎてはいますが、願わくは、その熱気を日本に伝播させて、日本を米国の所有する商品にしようとしているブッシュ・小泉の悪の枢軸に対抗する広範な国民と「非」国民との大連合を盛り上げていく年にしたいものです。