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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2005年11月号

横田基地フィールドワーク

「軍民共有化」は住民無視

広範な国民連合・東京事務局長  菅谷 琢磨


横田基地は都政の問題

 米軍再編の日米協議が進展する中、横田基地内にミサイル防衛(MD)構想などの中枢を担う「日米共同統合作戦センター」の新設が計画されています。こうした状況の下、十月八日、広範な国民連合・東京は横田基地フィールドワークを行いました。
 石原知事のいう横田基地の「軍民共用化」は、民間機を横田に就航させることで、三多摩や山梨の人たちが海外旅行に行きやすくなるというのがうたい文句です。また、民間飛行場に使えれば地元に大きな経済効果があると宣伝しています。しかし、横田基地周辺の人々が必ず横田を利用するとは限りません。羽田空港に対抗するには一日あたり相当数の便数が必要です。かりに民間機の就航が実現し、九十回の離発着となれば騒音被害は更に深刻化するばかりです。石原知事の「横田基地軍民共用化」は爆音に苦しむ地元住民の声をまったく無視するものです。

東京・三多摩は「基地県」

 横田基地は、東京・三多摩地域の五市一町にまたがる広大な敷地(東京ドーム一五七個分)を持つ上、更に関東・甲信越に広がる広大な「横田空域」をもっています。民間機はこの横田空域の隙間を飛ばなければならないため常にニアミスの危険と隣り合わせです。神奈川県は沖縄に次ぐ全国第二の「基地県」といわれ、基地問題は「平和運動」の枠を超えた生活課題の様相を帯びています。東京においては二十三区に米軍基地がないため、生活課題とは別次元の運動になりがちです。しかし、三多摩では横田・立川・府中といった基地が存在し、騒音、落下被害が今も後をたたないため、生活に身近な課題として人々に認識されています。
 
至る所に「軍民共用化反対」の看板

 参加者を乗せたマイクロバスは、三十分ほどで横田基地北側に位置する瑞穂町(東京都西多摩郡)につきました。横田基地周辺の自治体はその位置によって大きく基地問題への取り組み、軍民共用化への態度が違います。瑞穂町は滑走路北側に位置し、もろに爆音被害を受けるため、町をあげての運動となっています。町役場には「軍民共用化反対」の大きな看板が掲げられ、五百本に及ぶ立看板が町の至る所に設置されています。
 瑞穂町の「スカイホール(町営の施設)」展望台から横田基地が一望できます。ここで、「横田基地飛行差し止め訴訟団」の団長、浅野太三さんから、瑞穂町での最近の取り組みについてお話いただきました。
 「瑞穂町は三万八千人の小さな町ですが、基地反対の灯を消すわけにはいかない。近隣の市との合併を望む人たちもいるが、その人たちは軍民共有化による(根拠のない)経済効果に望みをかけています。町の一部から始まった運動を全町に広げ町長にも本腰を入れさせたい」と今後の展望を語ってくれました。
 全国の皆さんは、東京というとビジネスマンが闊歩する六本木ヒルズのようなところばかりと想像されるでしょうが、横田基地の周辺は全国のどこにでもあるような「地方都市」です。特に瑞穂町は保守的政治風土も多分に残っている「田舎町」で、唯一の鉄道は単線です。その町で国や東京都の計画に反対することは、この基地反対の運動が生活レベルの運動であることを物語っています。
 案内役をお願いした横田基地飛行差し止め訴訟団の福本事務局長には大変お世話になりました。