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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2005年4月号
下地島空港施設労働組合委員長 福島 正晴
米軍や自衛隊の軍事利用の候補にされている下地島空港のある沖縄県伊良部町議会で、自衛隊誘致が決議されたが、軍事利用に反対する住民が立ち上がり、自衛隊誘致の白紙撤回を勝ち取った。取り組みの中心となった下地島空港施設労働組合の福島正晴委員長に話を聞いた。
下地島空港への自衛隊誘致の声を最初にあげたのは商工会の会頭です。町議会は受理しませんでした。しかし、三月十六日、伊良部町議会(議員十八人)で一部の議員が「下地島空港に自衛隊駐屯を要請する議案の採決を求める緊急動議」をあげ、賛成は九、反対八の賛成多数で自衛隊誘致が強行されました。
宮古郡では昨年十一月に六市町村の行政、議会、住民が一体となって、「下地島空港の軍事利用に反対する郡民大会」を開いたばかりです。一部議員の自衛隊誘致決議は、伊良部町民だけでなく宮古郡民全体の願いを踏みにじるもので、本当にはらわたが煮えくり返る思いでした。町中が大騒ぎになりました。
「自衛隊は誘致するが米軍は断固反対する」などというのが誘致賛成議員の理屈です。しかし、政府が昨年末に決めた「新防衛大綱」では米軍と自衛隊の一体化、基地の共有化をめざしていますから、まったく説得力がありません。
町の職員、製糖工場、JA、私たち空港で働く労働組合など町民有志で実行委員会をつくり、三月二十一日に自衛隊誘致決議に反対する町民集会を千二百人で開きました。集会では、町内すべての字から青年団や中高生、女性らの代表が自衛隊誘致反対を訴えました。そして自衛隊誘致決議の再考や下地島空港の平和利用を約束した「屋良覚書」の順守などを求める決議文を採択しました。
自衛隊誘致を推進する中心議員と交渉して、三月三十日に住民説明会をやることを確認しました。ところが三月二十四日の町議会で、宮古郡の五市町村(平良市、城辺町、下地町、上野村、伊良部町)の合併協議会からの離脱の緊急動議が出されました。そこで再度協議して、(1)合併協議会離脱の緊急動議を取り下げること、(2)今日二十四日に住民説明会を開くこと、(3)説明会に住民の半数以上が集まればその意見を民意として尊重することを確認しました。町の人口は七千人弱ですから三千人以上を集める必要がある。それを確認したのが午後二時ですから説明会のある六時までの間で、私たちのすべての力を集中して説明会への参加を呼びかけました。説明会には三千人をこえる住民が参加しました。
住民説明会には十八人の全議員が参加。誘致賛成議員が「放っておけば米軍が入ってくる。それなら自衛隊がいいんじゃないか」などと発言。住民は「伊良部町に自衛隊はいらない」「町を売り渡すのか」などと激しく追求し、誘致決議の「白紙撤回」を求めました。町長も誘致決議を批判。誘致賛成議員の「公共工事は地元業者優先をお願いしてある」との説明に、建設業協会会長が「ありがた迷惑。建設業協会は反対」と発言。漁協の代表も「自衛隊が来れば漁業にも影響が出るので反対」と発言。最終的に、誘致議員の何人かが「皆さんの意見に従います」と発言し、「白紙撤回」の流れになりました。
そして三月二十五日の町議会で、自衛隊誘致決議の「白紙撤回」と、五市町村での合併推進が確認されました。まさに住民の力で「白紙撤回」を勝ち取りました。「普天間の代替基地に下地島空港」などという報道がされてきましたが、今回の「白紙撤回」で、町民は改めて軍事利用「拒否」の意思を示しました。沖縄県知事、県議会も、政府からそのような要請がきても「断固として断る」と明言しています。万が一、政府が下地島空港の軍事利用を計画しても、今回示された住民の力ではねのけたい。 (文責編集部)