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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2005年1月号
十月三十日、広範な国民連合・東京は「ウォルマートの日本進出と米国防総省の世界戦略」と題する、京都大学経済学部・本山美彦教授の講演会を開催した。
これまで経済の視点から対米従属を追及するのが不十分だったと総括し、本山先生をお招きした。日本進出に乗り出しているウォルマートは、世界最大の小売業で、労働組合を認めず、ペンタゴンと提携している。だから、労働者や商店の方々に先生の話を聞いてほしいと考えた。
先生は、ペンタゴンがウォルマートと提携して、来年一月から、納入業者に納入品梱包箱へのICタグ装着を義務づけたと指摘した。イラク戦争で兵站物資が砂漠に放置されるなど、米軍の流通システムに重大な欠陥があるからだ。製品にICタグをつければ、いつ、どこで、どれだけ販売されたか、瞬時にわかる。ある国際会議で、密かに入場者の名札にICタグがつけられていた。人間の管理・監視にまで広がっている。
ICタグに情報を書き込む方式には、日本の坂村方式とペンタゴンが採用している米国方式があるが、経産省は米国方式を世界標準にしようとしている。かつて、坂村氏が開発したパソコンの基本ソフト、トロンが、米国と経産省の圧力で排除され、ウインドウズが標準になった。その二の舞である。本山先生は米国の圧力に従順な官僚や学者を怒りを込めて弾劾した。インターネットで講演会を知った学生も参加し、活発な質疑応答が行われた。
国民連合・東京は講演会の内容をパンフレットにする計画である。
十月三十日、平和運動を牽引する七氏の呼びかけで、伊波洋一・宜野湾市長を横浜市に招き、「米軍再編と沖縄・神奈川―沖縄のたたかいを全国に―」が開かれた。
伊波市長は、「五年で普天間返還の選挙公約を実現するため、米軍再編が動き始める中、日米両政府に働きかけを続けてきた。その最中に米軍ヘリ墜落事故がおこった。行政も加わった市民大会に三万人が集まった。基地返還に全力で取り組む。神奈川でも広範な市民の怒りを結集する運動が必要だ」と訴えた。
パネルディスカッションでは、加藤泉・平和運動センター事務局長をコーディネーターに、伊波市長、田巻一彦氏、鈴木保氏、原口洋子氏が報告と問題提起を行った。会場から金子豊貴男氏が第一軍団司令部座間移転問題、筧りえ子氏が原子力空母の横須賀母港化問題を報告した。集会後、首藤信彦・衆院議員も加わり、横浜駅前で基地問題を訴えた。
神奈川には厚木、座間、横須賀、池子などの基地がある。第一軍団司令部座間移転問題が迫っている。沖縄のように県民ぐるみで何万人もの運動を実現する必要があると、改めて痛感した。
広範な国民連合・大阪は十月三十日、第十二回総会を開いた。
第一部では、野中一二三・京都府園部町長が講演を行い、介護や子育てなど独自の「町づくり」を紹介し、国の地方切り捨てを批判した。また、「世界中に紛争の種をまき、武器で儲けている」「京都議定書を反故にした」と米国を批判し、米国追随の政治を変え、アジアと友好関係を築くことを訴えた。
特別アピールを行った石川元平・宜野湾市基地対策協議会委員は米軍ヘリ墜落事故にふれ、「危険なストロンチウムを運んでいた可能性があり、米軍は現場を封鎖した」と批判した。普天間基地撤去を求める県民世論が高まり、米軍再編が迫っている今こそ、全国的な闘いが必要と訴えた。
第二部では、社民党、新社会党、労働組合、地方議員、平和団体などの方々から連帯の挨拶をいただいた。会場から市町村合併反対の闘いや学生の報告があり、府民生活犠牲の改革政治と闘おうと熱心な議論が行われ、役員を選出し、議案と「沖縄県民に連帯するアピール」を採択した。
今総会では、改革政治で犠牲を強いられる市町村、医師会、建設業界、労働組合等に呼びかけ、連携の基礎をある程度築くことができた。
広範な国民連合・三重は十月三十一日、近鉄四日市駅前広場で沖縄米軍ヘリ墜落事故に対する抗議の宣伝活動を行いました。広場に米軍ヘリ墜落の「写真パネル」を展示し、通る人々にチラシを配り、ハンドマイクで説明しました。特に若者や女性が立ち止まって「写真パネル」に見入り、「事故があったのは知っていたが、こんなにひどいとは知らなかった」と話しかけてくれました。
十月二十三、二十四日、佐賀大学医学部「むつごうろう祭」で、「沖縄米軍ヘリ墜落事故写真展」が開催された。同祭実行委員会スタッフが学術企画の一環として取り組み、国民連合佐賀も協力した。同大の学生や受験生、家族、地域住民が、沖縄国際大学で起きた米軍ヘリ墜落直後の凄まじい光景、沖縄県民のおかれている危険な現実に見入り、「こんな危険な事故だったのかと驚いた」「日本政府はアメリカにもっとものをいうべきだ」などと、アンケートにこたえていた。また学術企画全体のアンケートでも、「良かった企画」の一番に選ばれ、社会性のある企画として学内外から歓迎された。
高知で十一月六日、イラクで拘束された安田純平さんの講演会を開いた。組織をもたない一市民でも取り組みやすいと思い、たった一人で始めた。香田さんのことでイラクに関心が高まっていたこともあり、三百五十人が参加してくれた。百五十人はチケットを持たず、当日参加費を払った人だった。大成功となった。
最初、数名の人に相談したが、願望にすぎないと、相手にしてもらえなかった。一人でやるしかない、やってみようと思い、安田さんに電話した。快く引き受けてくれて、日時が決まった。会場を予約し、再び協力を呼びかけてみた。「本当に来るのか」。がぜん力が入り、六人の世話人会が立ち上がった。
即、チラシ、ポスター、ホームページに取りかかった。メーリングリストの活用、チケットの依頼、街頭でのチラシ配布。何十年ぶり、学生運動以来だという人もいる。生き生きとして楽しんでいる。私はパソコンも扱えず、実務的なこともだめ。それがかえって幸いした。私は人からの紹介で出向き、新聞の投書欄や文芸界の人々など見知らぬ人に手紙を書き、政党、議員、マスコミ、どこにでも足を運んだ。会場へ来てくれたのは文字通り一般市民だった。取材の記者は「一般市民のこれほどの参加はすごい」と驚いた。テレビや新聞も好意的だった。
この二カ月の活動でたくさん学んだ。(1)一人でも道筋をつけて動き出せば、一緒に立ち上がり協力してくれる人々がたくさんいる。(2)小さな会でも代表者は大変だ。(3)アンケートでほとんどの人が知人から聞いたと答えた。人から人へ顔を合わせて関わっていくことが大切だ。(4)実体験をした人の話は率直な感動を呼び、人を納得させる。(5)一つの活動に終わらず、引きつづき人とのつながりを広げていくことができる。
十一月二十三日、大阪城野外音楽堂で「基地はいらん、戦争はあかん 11・23関西のつどい」が開催された。イラクの平和を求め、日本の現状を憂う市民、千六百人が参加した。広範な国民連合・大阪も実行委員会に加わり、集会成功の一翼を担った。
加来洋八郎・おおさかユニオンネット代表の挨拶の後、沖縄選出の糸数慶子・参院議員が「沖縄県内の基地タライ回しに抗議し、キャンプ座間への司令部移転に反対しよう」と訴えた。安次富浩・名護ヘリ基地反対協議会代表は「座して黙せば、さらに大きな犠牲を強いられる。大阪から抗議の声をあげよう」と呼びかけた。韓国の平澤米軍基地反対運動キム・ドギル氏は、基地拡張に反対する果敢な農民の闘いを報告し、「韓日が団結して闘おう」と訴えた。
集会後のピースウォークでは、沿道に「基地はいらん、戦争はあかん」の声が響いた。
広範な国民連合・愛媛は十一月十三日、第八回総会を開いた。
京都大学の本山美彦教授が「行き詰まる米世界戦略と追随売国政治―イラク侵略『復興』の経済的背景を暴く」と題して講演を行った。
本山氏は、安保防衛懇談会報告、新防衛大綱が、四年前のアーミテージ報告にそった売国的なものだと批判した。次いで、イラク戦争がハリバートンやベクトル社など米国巨大企業に下請けされていることを、新著『民営化される戦争』にそって説明された。また、政府の円売り・ドル買いが円高防止のためなどというのは真っ赤なウソであり、政府が手にしたドルで米国債を買い、アメリカのイラク戦費に当てられていると話された。さらに、日本のオリジナルな技術がアメリカにつぶされている実態も話された。広範な国民連合は、日本の国民戦線組織として期待している、とも述べられた。
参加者は、アメリカのやり方に驚き、勉強になったと、感想を語ってくれた。
国民連合・愛媛は、連続して米軍ヘリ墜落事故抗議の写真展に取り組んだ。十月末に松山市で愛媛・沖縄ゆいまーると共催した。その写真展を見た愛媛大学の学生サークルが十一月に、学生祭でのヘリ事故を考える講演会の会場に展示した。十二月には、新居浜市で新居浜原水禁と共催した。
参観者は、三十人、五十人、百六十人と多くはなかったが、「写真展をみて強い憤りを感じた」「一日も早く米軍に出ていってもらいたい」「若い人たちにもっと見てほしい」と感想を寄せてくれた。新居浜では市教育委員会も後援し、市の職員、議員さん、近くの主婦が見に来てくれた。
米軍基地問題は日本の進路を左右する重大な問題なので、今後も県下各地で取り組みたい。
十一月二十三日、横浜市で広範な国民連合・神奈川の第十回総会が開催された(写真左上)。今回は「議論する総会」で、「アメリカ追随の政治を転換させるため、いかにして広範な県民各層、各界の連合を促進し、力強い県民運動を実現するか」をテーマにした。
政党、平和運動センター、朝鮮総連などの来賓挨拶、県医師会長や各自治体などの祝電紹介、議案提案の後、総会テーマで討論に入った。
口火を切ったのは厚木基地爆音防止期成同盟の鈴木保委員長。「状況を動かすには五桁(万人規模)の行動が必要だ」。そのために、ねばり強く闘い、大胆に市民に働きかけ、中心となる労働組合が職場の日常活動に取り組むことを訴えた。
続いて、社会保障改悪を進める経済財政諮問会議の動き、失業・低賃金問題、労働運動の大切さ、地方自治の危機、市町村合併反対の勝利報告、中田横浜市長による住民犠牲の改革、米陸軍第一軍団司令部座間移転を阻止する県民運動、失業者ネットの報告…。時間切れで発言できない方も出た。最後に竹田代表がまとめたが、二次会でも討論が続いた。
参加者は「国民連合らしい議論だった」と感想を述べた。これまでは、目前の課題に追われて、現実に基地を撤去し政治を転換できる力強い県民運動をどうつくるかの議論が少なかったのではないだろうか。県民各層の連合促進をもっと意識的に追求することの重要さ、国民連合の役割を改めて痛感した総会だった。
十一月四日〜六日にイリス長崎ギャラリーで、十二月四〜五日に大村市労働会館で、「沖縄米軍ヘリ墜落事故抗議写真展」を開催しました。墜落直後の火災状況、民家への被害、地元市民の抗議集会。約六十点の生々しい写真や記事に約百三十名の市民が見入りました。
参観者の意見や感想の一部を紹介します。
◆こわかった!私がその下にいたらと思うと…。小泉さんもっと真剣に考えてください。浮かれた事ばかりにお金をつかうな!(二十歳代女性)
◆赤ちゃんを抱いた新聞記事を読みました。もし、このお母さんが妹さんと電話していなかったらどうなったか…。過去にもたくさんの事故があり、死亡された方もいるのですね。(三十歳代女性)
◆この写真を見てただ事ではないと思いました。沖縄の基地問題は日本の大問題であることを国民みんなが自覚しないと、日本はアメリカに吸収されてしまうのでは…。(五十歳代女性)
◆本土と沖縄、どちらも日本です。アメリカの強制的な振る舞いにすごく腹がたちます。私は原爆被爆者です。日本が住み良い国になるように頑張ってください。(男性)
米軍を撤退させる闘いは、今後一層重要になります。
十二月十八〜十九日、京都の大学に通う日本人と在日韓国・朝鮮人の学生たちが、日本と朝鮮半島の友好を考えるイベントを開いた。主催は日朝友好京都学生の会。この企画は、日本人と在日韓国・朝鮮人が植民地支配の歴史を一緒に学び、歴史認識の溝を埋め、真の友好関係を築こうという想いで作られた。
十八日は、「歴史認識」と日朝関係史をテーマに中塚明氏(奈良女子大学名誉教授)と朴鐘鳴氏(錦繍文庫顧問・関西学院大学講師)の講演会。また、実話をもとにして在日無年金障害者の半生を描いた演劇「声なき声」を日朝両学生で演じた。その後の討論会や親睦会でも活発な議論が続いた。
十九日は、朝鮮民主主義人民共和国で製作・公開された映画を上映。人道支援を行っているHANK―NET代表等から、マスコミが伝えない朝鮮民主主義人民共和国の素朴な生活や現状が伝えられた。
百名を超える学生が参加した。日朝友好京都学生の会代表で立命館大理工学部四回生、在日三世の鄭仁大(チォン・インデ)さんは、「取り組んで本当によかった。一口に友好といっても簡単ではないが、日本の植民地支配など、日本人が知らない歴史を伝えていきたい。拉致問題は徹底的に究明すべきだが、日本も戦後補償を果たすべきだ。お互いを非難するだけの今の閉塞状況を打開したい」と語った。
十二月七日、上田埼玉県知事による高橋史朗氏の県教育委員任命が明らかになり、公平、公正を欠く人事だと県民から批判が起こりました。高橋氏は、「新しい歴史教科書をつくる会」副会長であり、扶桑社「新しい歴史教科書」の監修者です。この人事が明らかになって副会長は辞任しましたが、特定の教科書を作った中心的人物が教科書選定の立場に立つのは、利害が絡む異常な人事です。
二十日の県議会最終日、この暴挙を阻止するため「任命阻止ネット」が中心になり、浦和駅頭での情宣、ビラ配り、駅から県庁へのデモ、知事秘書との交渉、議会傍聴に二百人が参加しました(写真右下)。広範な国民連合・埼玉も奥田芳郎代表が抗議文を知事に渡し、一連の行動に参加しました。
県議会の本会議は、議員のヤジや傍聴席からの声がとどろき騒然となりました。人事案は慣例によって質疑、討論は省略し、起立多数であっという間の可決でした。自民六十五、無所属二、地方主権の会八が賛成し、公明十、民主四、共産四が反対、退場一でした。意見書や人事案件が明確な反対を押し切って賛成多数で行われるのは、県議会でも過去に例のないことでした。
二〇〇五年に「新しい歴史教科書」を採用させようとする動きが組織的に行われています。全国のみなさんと連携し、教育基本法改悪や反動的教科書採用の反対運動を強めなければと、決意を新たにしました。