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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2005年1月号
安全保障政策の基本方針である防衛大綱が改定された。小泉首相は安保防衛懇談会(座長・荒木東電顧問、座長代理・張トヨタ社長)に財界の要求にそった報告を出させ、それを要約した新防衛大綱を閣議決定した。同時に、中期防衛力整備計画を決定し、武器輸出三原則を緩和した。
新大綱はどう改定されたのか。旧大綱との違いを見てみよう。
第一に、国際情勢では、テロを新たな脅威と言い、中国への警戒を明記した。特に、中東から東アジアにいたる地域(米軍再編で重視している「不安定の弧」)の安定はわが国にとって極めて重要と述べた。
第二に、安保戦略の目標に、国際的安全保障環境の改善をかかげた。この改善とは、海外の騒乱で在外邦人・企業の安全が脅かされたり、資源・エネルギーの供給が途絶したりしないようにすること(懇談会報告)である。「商船の後に軍艦が続く」という言葉が想起される。
第三に、防衛努力では、国際平和協力活動(海外派兵)を重視し、基盤的防衛力(独立国としての必要最小限の基盤的な防衛力)から多機能弾力的防衛力(様々な脅威への即応対処能力、情報収集能力、日米同盟を機能させる能力、海外派兵の能力など)へ転換した。
第四に、戦略目標で日米の共通性を高め、米軍再編に呼応して役割分担や在日米軍などで戦略対話を行い、ミサイル防衛に協力し、日米安保体制を強化することを明記した。
第五に、防衛力の役割では、本格的な侵略に備えた装備・要員を縮減し、ミサイル防衛体制の確立、中国を警戒した島嶼部への対応、海外派兵のための訓練・部隊の待機・輸送能力強化、海外派兵を自衛隊の主任務へ格上げすることを明記した。懇談会報告は、海外派兵での治安維持活動や武器使用つまり公然たる武力行使も求めている。
このように、新防衛大綱は、米軍戦略との一体化、中国敵視、財界の望む軍事大国化へ、日本の安全保障政策を大転換した。国民各層は力をあわせ、これに反対して闘おう。