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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年11月号
コメ・農業潰しに黙っていられない秋田県委員会 坂本 進一郎
今、米価暴落は凄まじく、農民は青息吐息で、この暴落の前に立ちすくんだままでいる。昨年は米不足だったのに、なぜこんなに暴落したのか。二つの原因がある。
一つは米を投機品にして、米卸業者が昨年の米不足を利用して、買いまくったが、思ったようにそれが売れずに在庫となったからである。その意味では、神聖な食べ物である米を単なる物として、金もうけに走った卸売業者も悪い(今の食糧法はそれを助長しているのだからしかたない面もあるが)。それはそれとして、今卸売業者は二百万トン以上も在庫を抱えているという。これは、昨年国が抱えていた数字で、その国は、今たったの六十万トンの在庫を持つだけになった。昨年の民間業者の流通在庫が六十万トンだから、政府の代わりに民間が在庫を持つという、逆転現象が起きたといえる。
しかし、その結果民間業者が、昨年米の在庫を消化しきれずに、新米を買いたくとも、買えなくなったために米価が暴落したのである。
第二の理由は、それなら国は民間業者から米を買い戻してやればいいのに逆のことを行った。実は昨年七月戦後長い間、米の元締めをしてきた食糧庁を消滅(廃止)し、米流通は市場原理に任せることにした。つまり、農民は自由勝手に販売活動をやれということで、その象徴が「売れる米作り」で、産地間競争をあおり、自らも「米改革」を隠れ蓑にして、米の需要や価格の安定に対する、政府の責任を放棄したのである。政府の放出米は何と百万トンにもなったから驚きである。その中には、最初はバイオマスの材料にするといっていた平成八年(一九九七年)産や平成九年(一九九八年)産の超古米まである。国の役割は国民の生命と財産を守ることにあるが、これでは、逆に国民の健康を害することを勧めているようなものだ。しかも、食味の悪い超古米が消費者の米離れに拍車をかけているのである。また米価暴落で農民のリストラすら行おうとしているようにしか思えない。こうして、四月まで安定していた米価は、政府米の放出で暴落しだした。それなのに、四月以降も一万トンずつ放出し、米の暴落に拍車をかけた。今、政府米の「回転」備蓄は、上述のように六十万トン、しかもそのほとんどは七〜八年前の超古米で、この米を主食用からはじくなら、今年の作柄から見てたちまち米不足になるであろう。
再度言う。もしここで政府が百万トンの市場隔離したら、米価はたちまち回復するであろう。にもかかわらず、民間業者が動きをとれないのを見て、在庫一掃の機会とばかり、米を放出するのは市場原理を無視し、逆に市場原理を混乱させるだけであり、これは「需要及び価格」を安定させるという食糧法第一条に違反する犯罪行為である。記者会見で石原葵・農水省事務次官(前食糧庁長官)は「自給調整のための備蓄はやらない」とさえ言明している。そうまでして、米価暴落に平然としているのは、農民のリストラを行おうとしているとしか思えません。竹中イズムの弱肉強食による棄民政策以外の何ものでもない。こうなったのは日本はクルマ(トヨタ社)を売る見返りとして、農産物市場を明け渡しているからである。
今、農民は先行きの見通しもたたず、もうこんな農業、否!もうこんなでたらめな農水省はいらないと言っています。今年も前述のように、たいした作柄は期待できないのがわかってきました。もし来年米不足だったら、米パニックになるであろう。農水省は何をしているのかと、怒りというより、われわれは、もうあきれ顔だ。
農水省よ、しっかりせよ!
(二〇〇四年十月十一日)