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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年7月号
「三位一体改革」の初年度とされた今年度予算で全国の地方自治体では地方交付税と臨時財政対策債が前年比で二兆八五八九億円、約一二%カット、義務教育費の一部一般財源化に伴う国庫補助負担金の削減などが「小泉改革」として強行された。
その結果、各地方自治体では予算編成ができず基金の取り崩しでやっとしのいだ自治体が続出した。また、地方公務員の定員削減や賃金カットが行われ自治体労働者は厳しい状況に直面している。
さらに、財政諮問会議から出された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四(骨太方針二〇〇四)」が、六月四日閣議決定された。その内容は「民間との効率性比較による」徹底した合理化案で自治体労働者の労働条件と存在基盤を脅かすものである。
こうした小泉政権の「地方切り捨て」が進むなか、六月十五日、東京日比谷野外音楽堂で自治労主催の「地方財政確立・自治体改革推進自治労総決起集会」が開催され四千二百人が参加した。
決起集会は、かつてなく緊張感が漂っていた。集会には同じく「地方切り捨て」に直面している地方三団体(全国知事会、全国市長会、全国町村会)からも連帯のメッセージが寄せられた。
「小泉改革」は市場原理万能主義
主催者の人見一夫・自治労委員長は「市場原理万能主義で失業者は増大し、毎年三万人以上が自殺している」「三位一体改革では税源移譲は不十分なまま国庫補助負担金や地方交付税削減のみが優先された」「いま全国の自治体では合併、独立行政法人、改革特区、規制改革、民間参入、アウトソーシング(外部委託)の動きが進んでおり、日本の公共サービスが大きな危機を迎えている」と三位一体改革を批判した。そして「骨太方針二〇〇四では、公務員の賃下げにつながる地域給の導入が提起されており、とうてい納得できるものではなく断固闘う」「地方財政の確立と地域活性化をめざして全国で運動を展開しよう」と訴えた。
来賓の挨拶で笹森清・連合会長は「小泉政権の弱肉強食が進んでいる。さらに竹中平蔵・経済財政政策担当大臣、経済財政諮問会議の本間正明委員、総合規制改革の宮内義彦委員長(オリックス会長)の三人は、強いものはより強く、弱いものは切り捨てる方策を推進している。その結果、日本の二極分化が進み、ホームレスの方があふれる日本になった。絶対に許すわけにはいかない」「弱いものを痛めつけるのが小泉内閣の構造改革だ」と小泉改革の推進者らを名指しで批判した。
公労協の丸山建藏副議長(国公総連委員長)も「小泉構造改革で地方と中央の格差が拡大し二分化した。骨太方針で来年度の予算を編成すればさらに格差は拡大し、富めるものはほんの一部になる」「公務員労働者の賃金は三年連続のマイナス、そのうえ地域給という賃下げ攻撃が強まっている。公務員労働者の生活条件を守ることは全ての国民の生活と権利を守ることと直結していることを自覚し、団結を強めて闘おう」と連帯の挨拶を述べた。
各界が連携した県民共闘会議を
基調報告を植本眞砂子・自治労書記長が行った。植本氏は、「『三位一体改革』という突然の交付税削減で、二〇〇四年度予算は多くの自治体で予算の組み直しを余儀なくされた。七百を超える自治体で人件費のカット、賃金切り下げなどの提案がされた」と厳しい実態を報告。また「『骨太方針二〇〇四』は、規制改革と競争を推進し効率化のみを進めるもので断じて認められない」「市場万能主義の小泉改革か、それとも国民の立場に立ったナショナルミニマムとセーフティネットの確立かが問われている」と小泉改革を厳しく批判。そして「本日の集会を起点に、それぞれの地域で地方財政の自立改革と地域活性化を促進する県民共闘会議の取り組みを進めていきたい。長野や北海道での取り組みを全国に広げていこう」と訴えた。
北海道、長野、福岡の代表から決意表明が行われた。
北海道代表の蘭越町職の淀谷多恵子氏は、「道内の市町村は自主財源が大変乏しく地方税収入はわずか一一%、歳入のうち地方交付税が四二%を占め、全国平均値の二倍以上となっている。そんな中で地方交付税と臨時財政対策債の一二%カットで危機的な状況になり、市町村合併に追い込まれている」「国の財政再建を地方にツケ回しする三位一体改革に北海道の自治体労働者の怒りは頂点に達しています。目標の百四十人の二倍の約二百六十名が参加した」と怒りの発言。そして「『地方切り捨て許すな―地方財政確立道民会議』を発足し、五月十九日にシンポジウムを開催した。このシンポジウムには商工会議所連合会がパネリストとして出席し北海道や市長会、町村会が後援した。また、地方財政確立道民会議が道内各地で、六月議会において地方財政確立に向けた意見書採択や地方交付税カットに反対する市町村長の意見申し立て要請行動を行い、地方財政確立を求める署名運動を展開している」と闘いの報告と決意を述べた。
自治労長野県本部の松浦元雄・書記次長は、「二〇〇四年度の三位一体改革の影響額は、県がマイナス二百八十七億円、市町村がマイナス三百七十九億円と未曾有の危機に直面している。このままでは自治体財政は破たんし、住民生活が破壊され、地域社会が衰退する。そこで地方六団体をはじめ、県経営者協会や商工団体など経済団体などに呼びかけて、県民会議の設置を進めている。三位一体改革の及ぼす悪影響を広く県民に訴える世論形成など県民運動を展開したい」と闘う決意を述べた。
最後に、「地方切り捨てを許さず、市場万能主義の小泉改革に断固反対し、地方財政の深刻な危機を突破するために全力で取り組む」という集会宣言を確認し、国会に向けてデモ行進を行った。
「小泉改革」によって未曾有の地方財政危機が進む中でこれを打開するための旧来の枠を超えた広範な連携が進んでいる。