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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年5月号
小泉首相靖国神社参拝違憲九州・山口訴訟団長 郡島恒昭
感動の判決だった。私ども小泉首相靖国神社参拝違憲九州・山口訴訟団二百十一人の原告が提訴した訴訟に対し、四月七日、福岡地裁の亀川清長裁判長が、予想通りの損害賠償請求棄却を告げるとブーイング。「静かに」と言って、判決骨子を読み上げる。「社会通念に従って客観的に判断すると、憲法二十条三項によって禁止されている宗教的活動に当たり、同条項に反する」に「よし」の声とパラパラ拍手、よく聞こえなかった模様。
小泉首相が就任し、自公連立が成立して以来、戦争国家の道を突き進み、イラクに自衛隊を派遣して戦争中になり、死者が出れば靖国神社に英霊として祀る可能性がある状況だけに「実質勝訴」は大きかった。中曽根訴訟の福岡高裁判決は「公式参拝を継続すれば違憲の疑い」だったが、今回は明白に「参拝は違憲」と踏み切り、しかも「当裁判所は、本件参拝の違憲性を判断することを自らの責務と考え」と司法の役割を主張した。
中曽根訴訟に続き団長としてかかわり、前回の経験を生かして徹底して実証主義を貫いた。裁判官は証拠に出した本などはほとんど読んでいないことを知っていたので、本は最小限にして西日本新聞や朝日新聞などのスクラップを二百二点提出した。これが判決に大きく影響したと自負している。例えば、被告小泉が、二〇〇一年八月十三日に第一回参拝をした直後の十六日の毎日新聞に「靖国神社の十五日の参拝は十二万五千人(昨年は五万五千人、神社発表)に達し、閉門時間を午後八時まで一時間延長しなければならないほどのにぎわいをみせた」とあったのを判決に採用し「本件参拝によって神道の教義を広める宗教施設である靖国神社を援助、助長、促進するような効果をもたらした」と判示し、被告小泉の禁止された宗教的活動の証拠とした。また普通は弁護士(この訴訟担当は七人)が書く準備書面の四分の一以上は私が担当した。
この訴訟の目的が違憲判断だったので控訴せず確定したが、残念だったのは、信教の自由、宗教的人格権、平和的生存権などが認められなかったことである。
このように首相の靖国神社参拝は違憲、しかもこの判断を「司法の責務」という画期的な判決が出たにもかかわらず、被告小泉は「なぜ憲法違反か分からない」「今後も参拝を続ける」とか、訴訟の答弁書では「一個の自然人として参拝」と言っていたのに今になって「私的な参拝」など、司法の判断を無視する態度を取り続けている。行政の最高の首相が司法の判断に従わないと三権分立は吹っ飛び、民主主義は崩壊する。憲法九十九条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とある。小泉のような憲法破壊の確信犯は禁固十年ぐらいの刑罰を科してもよいのではなかろうか。「なぜ憲法違反か分からない」と言うのは、人を殺して「なぜ殺人が悪いのか分からない」と言うのと同じである。許すことができない。イラクで自衛隊員が死ぬことを待っているような小泉の靖国神社参拝を止めさせよう。