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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年4月号
大阪/宮崎
自衛隊はイラクから撤退を
大阪で小池清彦・元防衛庁訓練局長が講演
三月一日、大阪市内で「防衛庁OBによる海外派兵反対の訴え―講演会 小池清彦・元防衛庁教育訓練局長・新潟県加茂市長」を行いました。
主催は広範な国民連合・大阪、協賛団体として政党や労働組合など十四団体と六十一名が賛同人として、協力をしてくださいました。
当日は、マスコミで事前の報道もあり、二百名の会場が立ち見が出るほどに盛況でした。遠く、岡山県や京都府北部からかけつけてくれた参加者もおり、この課題での関心の高さと、「小池さんの話を聞きたい」との思いを強く感じました。
講演会は、最初に主催者を代表して、吉田伸・代表世話人が挨拶。続いて小池さんの講演、最後に集会アピールを決議して散会しました。
小池さんの講演の中身は大変示唆に富んでおりました。「日本は憲法九条を守り、専守防衛に徹するべきだ」との主張は、参加者の共感をおおいに呼ぶものでした。元防衛庁の幹部からも、海外派兵に反対する声が強くあることを改めて確認できたことは、今後の運動の励みになるものでした。
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以下、講演要旨です。
小泉政権になってから日本はとんでもない方向に変わろうとしている。不況時にやってはならない超緊縮財政政策や不良債権処理を強行し経済を混乱させた。小泉首相は「景気は回復しつつある」というが、地方経済は深刻だ。
その上、地方交付税など削減で地方を切り捨てている。加茂市ではすでに三億二千万円が削減され、来年度の予算で交付税一二%削減によってさらに三億五千万円削減される。市町村の予算の大部分は義務的経費であり、多くの市町村は市民サービスを維持するため基金を取り崩すしかない。誤った経済政策、弱肉強食の政策で貧富の格差は拡大し、地域的にも格差が拡大している。また市町村合併は、国から地方へのお金を減らすことが目的であり、反対している。例えば、新潟県央東部六市町村が仮に合併すると、国からのお金が二百億円から百億円に減らされ、地域は壊滅する。市民を犠牲し企業家精神をもつ市長が「立派な市長」と評価されているが、これは全体主義、ファシズムだ。
全体主義をさらに進めるのがイラクへの海外派兵だ。イラクは非正規軍によるゲリラ戦の戦場になっている。政府は、「国対国の戦争だけが戦闘行為」というが、戦闘行為の実際は非正規軍によるゲリラ戦が多い。スペインに侵略したナポレオン、ベトナムでの米軍、アフガンでの旧ソ連軍もゲリラ戦で敗れた。また、「正当防衛」「自衛のため」という理屈も通用しない。ゲリラ戦の戦場に自衛隊が武器をもって行くことは明らかな海外派兵であり、憲法九条に違反する。一刻も早く自衛隊を呼び戻す必要がある。元防衛事務次官の箕輪登先生が「憲法違反、自衛隊法違反」と提訴された。この訴訟の意義は大きい。
新入自衛隊員の激励会があったが、私は挨拶させてもらえなかった。派兵賛成の来賓がイラク派兵を称賛する発言ばかり続き、日本は大きな曲がり角にきていると実感した。
小泉首相は「人道復興支援のため」というが、イラク特措法にはもう一つ「安全確保支援活動」とある。これは米国が行うイラクでの戦争を支援することだ。
イラク国民からすれば自衛隊は「招かれざる客」で自衛隊員に犠牲が出る危険がある。そうなれば、自衛隊入隊者が減り徴兵制になる。森内閣の教育改革国民会議の中間答申では「奉仕活動」が明記されている。これは昔の勤労動員につながるもので、武器を持たない徴兵制。徴兵制は国民投票は必要なく、国会の多数決で決めることが可能だ。
自衛隊の使命は「国の独立と平和を守る」こと。イラク派兵は憲法違反、入隊契約違反であり、人権侵害でもある。
石破防衛庁官は「派遣しないと石油がもらえない」というが、イラクも含めアラブ諸国は親日的であり、派兵によって反日感情が高まる。
米国から「ブーツ・オブ・ザ・グラウンド」(イラクに派兵せよ)といわれたが、日本は逆に反論すべきだ。米国は日本に二発の原爆を落として謝罪もしていない。日米安保も平和憲法が前提だった。片務的な日米安保は日本だけに利益があるといわれるが、米国の利益の方が大きい。全国に米軍基地があったから米国はソ連との冷戦に勝利した。米国の言いなりにならず、反論してこそ真の日米友好ではないか。
平和憲法があったからこそ、日本は朝鮮戦争にもベトナム戦争にも派兵せず、血を流さずに済んだ。「派遣しないと世界から批判される」という理屈はおかしい。派遣している国は少数だ。例えば中国は派兵していないが世界から軽蔑されていない。「国連決議があれば派兵すべき」という理屈も危険だ。平和憲法は国の宝であり、改正すべきでない。米国の圧力から自衛隊員の命を守り、祖国防衛に徹することこそ、日本の武士道だ。(大阪事務局)
第五回総会 広範な住民連合(宮崎)
平和・民主・共生という三つの柱を掲げて発足した住民連合も五年目を迎え、役員の改選期にも当たり、会の開催方法などを考え直してみようということになりました。平和・民主・共生の三部会制をとり、各々主催の学習会を重ねてきましたが、どうしても内部の学習にとどまる傾向が強く、求心力をそがれてきた反省から、月一回定例日を決めて、一貫したテーマで討議を中心に進めていくことになりました。一方では広報誌を充実させ、対外的に発進する料とするため、編集委員会を新たに設置し、問題提起や資料を検討し掲載していきます。またその中で小グループの研究会の成果等も発表できればと思います。
今回、三月六日の総会で、田島正友代表が、勇退され、中村瀞副代表を代表として選び、新たに顔ぶれも交えて、改憲の危機にあるこの時機、社会の大きな転換点を迎えているという共通認識のもと、「護憲」を中心課題に据えて、少しでも多くの人々と交流を深めていくことが確認されました。広報誌『だんぷう』の名の通り、宮崎の暖かい風に乗って、談論風発を願っての五年目の船出です。