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月刊『日本の進路』2004年2月号
佐賀商工共済破産―県は被害者の全面救済を
佐賀商工共済組合被害者の会世話人 江崎比呂志
佐賀商工共済組合は組合員に対する共済事業や事業資金の貸付などを主な事業とする共済組合です。佐賀県の認可団体であり、歴代の理事長が国会議員ということもあり、組合員は安心して積み立てていました。組合員は約七千人です。
その佐賀商工共済が昨年三月時点で五十八億六千万円の赤字を出し、八月末に破産しました。被害者は、零細企業や自営業者などが大部分です。店の運転資金として、また老後の蓄えとして貯めてきました。佐賀市にも相次いで大型店が進出。私の住む鳥栖にも店舗面積が二万平米以上の大型店(アウトレット)ができます。大変な状況なのに、コツコツ貯めたお金が吹っ飛びました。
破産して分かったのですが、陣内孝雄・参議院議員の理事長(一九九一〜九六年)時代から粉飾決算が行われていました。専務理事には県庁の商工部長が天下りを繰り返していた。バブル崩壊で株価が下落して赤字になったが、赤字が組合員に分かると集金できなくなると判断した担当者が粉飾決算を続けた。水田唯市・佐賀県議は一九九六年の理事長就任当時からその事実を知っていた。以後、リスクの高いアルゼンチン債の運用失敗、最終的には五十八億六千万円の負債で破産しました。
組合員・県民を保護するために強大な監督権限がある佐賀県が、一九九六年には共済組合の粉飾決算の実態を知りながら、何もせず放置した。その時点で監督責任を果たしていれば、こんな被害は出なかったはずです。いわば、泥棒が盗みを繰り返すのを知りながら警官が見逃した。時代劇の「山城屋、おぬしも悪よの」という悪代官と一緒です。
粉飾決算をやっていた役員たちは二年前に積立金をおろしていた。そして従業員には「集金してこい」と命令していた。許しがたい。また役員の不正融資があったのではないか。例えば水田理事長の弟が経営していた神埼産業が同時期に倒産(昨年八月、負債五十億円)しました。本人は否定していますが噂はたえません。
九月末に「被害者の会」をつくり、県に質問状をもって行きました。古川県知事は、「佐賀商工共済の問題は『民対民の問題だ』」と発言。怒りがこみあげてきた。
総選挙の立候補者に救済問題で質問状を出したが、自民党の二人は回答しなかった。歴代の自民党役員がかかわった大事件なのに被害者を救済しようという態度が見えない。
十月から「全面救済を求める署名」を開始しました。内容は「被害者約五千人という規模からして裁判による救済は現実的でない。監督責任を怠たり重大な責任がある佐賀県が、被害者の組合に対する掛け金・貸金の返還請求権を、額面で買い取って救済せよ」というものです。
十二月には水田唯市理事長や陣内孝雄元理事長ら幹部を背任と詐欺容疑で告訴しました。
十二月の債権者集会で破産管財人は、「過去二十五年にわたって粉飾決算があった」としながら「県と理事に対する損害賠償請求を断念する」と発言し、組合員に戻ってくるお金は二割程度と報告した。なぜ粉飾決算した組合幹部や県の責任を追及しないのか。本当に腹が立ちます。組合破産後、息子の大学入学資金を失った母親、老後の生活費を失ったおばあちゃん、従業員二人を解雇し一人で店を切り盛りして倒れた女性…。悪いことをした幹部や県は責任を問われず、まじめに金を積み立ててきた人がばかを見る。そんな世の中であっていいのか。
全面救済を求める署名は昨年十二月で三万九千人分集まりました。さらに続けます。一日も早い全面救済を実現したい。皆さんのご協力をお願いしたい。 (文責編集部)