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代表世話人メッセージ

ブッシュ去る申年になることを念じて

武者小路公秀


 二〇〇四年は申(さる)年、米国大統領選挙の年です。まず、ブッシュ去る申年になることを念願します。しかし、この選挙について選挙権を持っていないわれわれも、せめても日本でブッシュの再選を望んでいる政治勢力に去ってもらう申年にすることができます。
 その前に、なによりもまず、米英両国のイラク侵略軍がイラクから去る申年にする必要があります。アフガニスタンからも去る申年にするべきです。しかし、「猿もさるもの」といわれているように、去るものはほかのところにチャッカリ入っていきます。いつか、中国を狙って朝鮮半島にはいってくる公算はきわめて高い。
 もちろん、ブッシュが去り、小泉が去っても、その負の遺産は残ります。国連を無視して反テロ戦争を進めている米国も、タンパ市(米国)にあるアフガニスタン・イラク両作戦の連合国の中央指揮センターに自衛隊代表を送って戦争協力を進めている日本も、この戦争と、これに伴う覇権国家テロリズムの強化、さらにこれに反発する反覇権テロリズムの強化のイタチゴッコはにわかにやむものではありません。われわれは、この申年にちなんで、「去らぬ」ものを「去る」ものに変えるいわば「変猿法」を編み出す必要があります。
 かつてアントニオ・グラムシは、イタリー・ファシズムに対して「塹壕戦」を組むべきことを主張しました。「塹壕戦」は、電撃戦に対抗するために敵の砲火のとどかない深い塹壕を掘りすすめ、根気強く味方のネットワークを張り巡らせる戦法でした(日本語では「陣地戦」と翻訳されていて以上の意味が脱落しています)。この戦法は、第一次世界大戦のときには有効でしたが、ヒットラーの電撃戦に敗れています。
 今でてきている覇権戦略は、敵の行動を監視して先制攻撃する情報戦としての反テロ戦争です。この監視網に包まれて身動きができなくなっているわれわれは、逆にこの電撃戦を監視して、その先を読みながら、ゲリラ的な反テロ市民世論のネットワークによる新しい形のサイバー「塹壕戦」を組む大胆な戦略構想を必要としています。
 平和主義者として、大変物騒な提案ですが、情報戦は諜報戦ですから、相手から学びつつ、反覇権のヘゲモニーを構築していく必要があります。去るべきものを去らせるためには、猿知恵でも学び取るひとの知恵をおおいに蓄える必要があります。申年のはじめの不真面目で深刻な一言をお許しください。