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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年8月号
「大量破壊兵器」はどこへ?
七月二十六日未明、イラク特措法が強行採決された。これにより、今秋にも陸上自衛隊がイラクに派遣されようとしている。しかし、小泉首相が米英のイラク攻撃を支持した根拠とした「大量破壊兵器」はいまだ見つかっておらず、大義なき攻撃、大義なき戦争であったことはすでに明白である。米国連邦議会では、議員三十人がブッシュ政権に対し、同政権がこれまで繰り返し発表してきた「イラクが大量破壊兵器を保有・開発していたとする諜報」について、その証拠を明らかにすることを求めている。
また、ニューヨーク在住の作家、マーク・エングラーは、tompaine.comに次のように書いている。
「ニューヨーク・ポスト紙にコラムを持つ保守派論客ダニエル・パイプスは、『戦争の根本的な理由は、大量破壊兵器の存在などではなかった…イラク国内のいまわしい抑圧でもなかったし、近隣諸国へのサダムの脅威でもなかった』と書く。…パイプスの論点は、サダム・フセインは多年にわたり兵器査察チームとイタチごっこを繰り返してきたので、その抹殺はアメリカの権利だったというものである。サダムが武器を持っていようがいまいが、なんの問題があろうか? 反抗的な態度を示すだけでも、アメリカ支配を貫徹するネオコンサーバティブ(新保守主義派)の目論見と衝突する悪行の前例になってしまうのだ。」
(タカ派論客たちの本音 http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/140)
「イラク=戦闘地域」への派遣
イラク特措法では、「自衛隊の活動は非戦闘地域に限定する」とされている。しかし、イラクではゲリラ戦が行われ、全土が戦闘地域であることは米軍司令官も認めていることであり、戦闘地域への派遣に他ならない。
七月十六日のBBCインタラクティブによると、「米中央軍司令官は米軍への攻撃に典型的なゲリラ作戦の特徴があることを認めた。…中央軍司令官ジョン・アビザイド将軍は就任最初の記者会見で次のように述べた。『これはゲリラ戦法と呼ぶのが厳密な軍事用語として正しい…どう表現しようと戦争には違いない』…『戦闘状態なのだから、我々にも相手側にも死者が出る』とアビザイド将軍は説明する。」
(米国はゲリラ戦に直面 http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/143)
このような「イラク=戦闘地域」へ自衛隊を派遣すれば、自衛隊員が攻撃目標とされ、多くの犠牲者が出るのは間違いない。ところが法案成立に先立つ二十三日の党首討論で小泉首相は、「(非戦闘地域がどこなのか)わたしに聞かれたって分かるわけがない」と答弁。なんという無責任さであろうか。このような下で派遣され、若い自衛隊員の尊い生命を失うとしたら、憤りを禁じ得ない。
湾岸戦争を超えた!
戦死者246人
自衛隊が派遣された場合、支援することになる米軍・米兵はどんな状況におかれているのだろうか。
五月二日の終結宣言以後、七月二十八日までに百七人の米兵が命を落としている。三月二十日の開戦以降で見ると二百四十六人が戦死しており、これは一九九一年の湾岸戦争での戦死者、百四十七人を大幅に超えている。また、米国と共に軍隊を派遣している英軍も、七月二十八日までに四十四人が戦死した。
今もイラクでは戦闘が続き、米英兵、イラク国民の両方に被害が拡大している。
イギリスのイブニング・スタンダード紙が、バクダッドの米兵にインタビューしたところ、米兵による民間人の無差別殺害、負傷した敵側戦闘員の見殺し・殺害などの事実が明らかになった。
米兵は言う。
「軍服を着ていない人間を撃つことにジレンマなんてなかった。俺は、ためらいなく引き金を引いたよ。…軍服を着ていようがいまいが、敵だったんだ」
「戦闘は、八時間も続き、奴らは、あらゆる所から、あらゆる方向から、一日中たえまなく襲ってきた。奴らは、みんな平服だった」
「俺達は、威嚇射撃したが、奴らは止まらない。だから、殺したんだ。威嚇射撃は、奴らの頭上や道路にした。俺達が民間人を殺したって非難するが、民間人なんていったって、奴らは戦闘員だったんだ。そして、今でもそうなんだ」
「夜になると、殺した奴らのことを考える。どうしても頭を離れないんだ。どれもこれもだ。忘れることなんてできない。」「舌の上にわいたうじ、頭が切断されて地面にころがっている赤ん坊、頭が半分吹き飛ばされて大きく眼と口を開いた男達。毎日、毎晩、目の前に現れる。あの臭い、燃えている胴体。三月二十日から四月七日まで、バクダッドにいたる全ルートで、焼け焦げた死体以外、なにもなかった」
(邪魔な奴は撃ち殺すしかない 占領軍兵士の実態 http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/111)
僕らを今すぐ撤兵させて!
このような状況下で、米兵たちはイラク占領に疑問を持ち、一日も早い帰国を心から望んでいる。
バグダッドにいる米兵の父親が、米ナッシュビル・テネシーアン紙のオンライン掲示板に書き込んだ、息子からの手紙を紹介する。
「僕らを今すぐここから撤兵させてほしい! イラク人の心をしずめるには、彼らの国から引き揚げ、彼らの望むやり方で秩序を回復させるしかないんです…僕らがここにいるのは、大統領に行けと命令されたからです。でも今回、大統領が自国兵士への暴力を招くような馬鹿げた発言をしたことで、僕らは大統領と大統領の判断力を尊重できなくなってしまったのです。僕らは、そもそもここへやって来るべきではなかったのだということを理解しはじめています。わかってください父さん、僕の気持ちはもう完全に前とは変ってしまいました。大統領が金持ちには減税をし、軍人家族には何もしてくれなかったという事実は、骨身に沁みます。敵を打ち負かすことに、これまでは誇りと満足を覚えたものですが、今はそのことに悔恨と恥ずかしさしかありません」
(ある兵士の父親より http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/133)
※平和に関するニュース、評論などを抄訳、紹介している平和をめざす翻訳家連合の速報(http://www.egroups.co.jp/group/TUP-Bulletin)から引用しました。(文責・編集部)