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月刊『日本の進路』2003年8月号
低温、日照不足
一九九三年の大冷害の再来か
全国的に低温・日照不足が続いている。七月の平均気温は例年より北日本で二〜二・五度、西日本でも二度前後低い。日照時間は、東北地方の太平洋側で平年の三〇〜四〇%、関東でも四〇〜五〇%、西日本でも八〇%前後の日照不足である。
特に低温と日照不足が深刻なのは東北太平洋側の青森、岩手、宮城、福島。六月下旬から一カ月以上も冷たく湿った東よりの風(やませ)の影響で、低温・日照不足が続いている。
「十年前の大冷害のときの気象に似てきた」「このままだと九三年の二の舞になるのではないか」「青森県の一部で作況指数ゼロを記録した九三年の大冷害の再来」など不安の声が広がっている。
九三年の大冷害で作況指数が三七まで落ち込んだ宮城県は、農作物異常気象対策連絡会議を設置した。低温で同会議を設置するのは、大冷害に見舞われた九三年以来。他の東北各県も対策会議を設置し対策に乗り出した。
稲は花粉細胞が形成される減数分裂期を迎えているが、低温により花粉の形成が阻害される障害不ねんのおそれがある。「水稲は、今が最も低温に弱い。最低気温が十七度以下になると、障害不ねんが心配だ」「かりにこれから日照がよくなっても、平年より収穫量が減るのは間違いない」といわれている。
また、七月三十日現在、十九都府県でいもち病の警報や注意報が出されている。いもち病は、カビの一種の菌がイネの葉や穂を枯らす病気。冷害の年に多く、日照不足、多湿で発病しやすくなる。下の葉から発病、徐々に上の葉に移る。穂が感染する穂いもちになると大幅に減収となる。これから出穂期を迎えるが穂いもちの被害が懸念される。
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低温や日照不足は、稲以外の農作物にも影響を与えている。ナスやキュウリ、ピーマン、トマトなど野菜は着果不良や生育の遅れが出ている。メロンなど果物は低温・日照不足で糖度が上がらない。また、これから本格的な出荷を迎える梨は小玉化の不安が広がっている。
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さらに、七月十八〜二十一日に九州地方を襲った豪雨は農家を直撃。水田など農地、農業施設、農作物への被害が出ている。
七月二十六日に宮城県北部を襲った地震(震度六が三回)も、家屋、田畑、用水路、ビニールハウスなど農家に大きな被害をもたらした。出荷時期を迎えたトマトが落下したり、ネギやトウモロコシが倒れるなどの農作物にも被害が出ている。農家は「低温と地震でダブルパンチだ」となげく。
一方、沖縄では猛暑、雨量不足が続き、乳牛や豚など家畜に被害が出ている。とくに乳牛は熱射病で廃用処分された牛が例年の倍にのぼっている。