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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年7月号

大阪で講演
「米国の世界支配、日本のとるべき選択」

帝国アメリカの終えんの始まり


 六月二十一日、大阪人権センターにおいて、講演会「米国の世界支配、日本のとるべき選択」が開催されました。広範な国民連合・大阪の主催。講師は、山口大学教授の纐纈厚(こうけつ・あつし)氏にお願いしました。
 纐纈氏はまず、イラク戦争について「『帝国の試運転としてのイラク戦争』であり、次は北朝鮮、イラン、シリア、サウジアラビアだ」「世界第二位の埋蔵量を誇るイラクの石油採掘益をフランスやロシアなどに握らせないことが目的だった」と指摘した。また「同時にサウジアラビア王政に対して『民主化』という名のどう喝を強めている」「米国は中東地域の『イスラエル化』をめざしているが、反米感情が高まっており、中東全域で『パレスチナ化』が進む」と指摘した。
 続いてブッシュドクトリンについては「ブッシュ政権のまわりにいるネオコン(新保守主義)が『米国の国益にそぐわない国や集団は先制攻撃する』というブッシュドクトリンを打ち出した。これは国際法や、十七世紀以来の主権尊重、内政不干渉、民族自決の三原則を否定するもの」と批判した。「米国は核兵器だけでなく、軍事技術革命で手にした新兵器など圧倒的な軍事力を背景に『二十一世紀はアメリカの世紀だ』と豪語している」と述べた。
 あわせて「米国一国主義にフランスやロシアなどはイラク戦争で抵抗し、サミットでは分裂の動きが明確になった。帝国ローマから帝国日本の歴史が示すように、帝国アメリカの登場は帝国アメリカの終えんの始まりである。世界中で反米、反グローバリゼーションの動きが高まっており、帝国アメリカの終えんに拍車をかけるだろう」とアメリカ世界支配を鋭く批判した。
 朝鮮半島問題については、「メディアによって『北朝鮮脅威論』が作り上げられているが北朝鮮は脅威ではない。制空権も制海権も握れない北朝鮮が、日本に侵攻する政治的意図は皆無だ。逆に三十八度線には四万人の在韓米軍が張りつき、五万七千人の在日米軍が展開している。米軍岩国基地では北朝鮮攻撃を想定した低空訓練が常時行われている。しかも日本では朝鮮有事の有事法制ができあがり、米国は日本と韓国と一緒になって北朝鮮にどう喝をかけている。これこそ東アジアの脅威となっている」「韓国の人たちは『アメリカや日本が北を侵攻するなら絶対に許さない。北への侵攻は韓国を侵攻することと同じだ。第二次朝鮮戦争は絶対に起こしてはならない』と呼びかけている」と指摘。
 さらに有事法制については、「『北朝鮮の脅威』を口実にした有事法制は、日常的に国民を動員、管理、統制することで一元支配し、戦争の日常化をねらっている」と批判。
 纐纈氏は最後に「戦後私たちは冷戦というアメリカ主導の差別構造にのっかってしか平和を語ってこなかったのではないか。日米安保も、保守体制も、有事体制も同時に解体する視点が必要ではないか」「アメリカの世界戦略に従う『日本の国益』とは、労働者、人民に対する抑圧である。世界の人々と連携して米国の世界支配に反対する必要がある」と呼びかけた。
 講演後、会場からの質疑も行われた。イラク戦争や有事法制という激動する内外情勢を理解する上で有意義な講演会となった。(広範な国民連合・大阪)