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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2003年3月号
川崎市内で、通信機関系の部品の切削加工の会社をやっています。従業員は現在、四十七人です。
三十年近く前に四人で会社をはじめました。私は副社長でしたが、バブル崩壊後の平成四年に先代社長が亡くなり、それ以降社長としてやってきました。先代社長の連帯保証人になっていた私が借金を引き継ぎましたが、五年間は資金繰りで一番厳しい時期でした。中小企業の社長の苦労の半分以上は金融機関との関係、資金繰りだということを痛感しました。
借金はありましたが平成七年頃から十年までは黒字になりました。それから少し落ちて、いまは第二工場の人を十数人増やしましたから、売り上げは落ちていないけど三月決算でどうなるかというところです。
われわれのような製造業の中小企業は、設備投資を絶えずやらなければ顧客の要求に応えられません。新しい機械を買うにしてもリースにしても、かなりの資金が必要になります。国の中小企業融資制度を使うには保証人が二人必要で、保証人になってもらう交渉は本当に大変です。
中小企業をつぶすな
いま大企業は海外に移転したり、調子が悪くなれば何千人、何万人という大規模なリストラを平気でやっています。国もそれを認めているし、奨励しています。企業倒産の増加も含めて大量の失業者がハローワークに押し寄せています。政府の統計だけでも三百五十万人。国の統計に入っていない失業者を入れれば四百万人を超えると思います。そのうちリストラによる失業者は百五十万人くらいはいるでしょう。全企業の九九・七%を占め、従業員の約八割を雇用しているのは中小零細企業です。その中小企業がつぶれれば失業問題はさらに深刻になります。
また日本の製造業、モノづくりを支えてきた京浜工業地帯(東京の大田区、神奈川の川崎や横浜)が深刻な危機にあります。モノづくりの技術をもった中小企業がつぶれれば、将来の日本経済はどうなるのかという危機感をもっています。
そういうわれわれの思いと、行政側の認識は相当に離れています。川崎市に中小企業に役立つ金融支援などを求めても、「霞ヶ関から言われているから、どうしようもない」という返事です。はっきりいって中小企業の実態、苦しさを理解していない。私は「真剣さが足りない。自分たちさえよければそれでいいのか」と怒鳴ったことがあります。子や孫の時代に川崎市はどうなっているのか、日本経済は大丈夫なのか、と言いたい。
安いからといってモノづくりを中国に頼っていていいのか。また不良債権処理などといって中小企業をつぶしてしまったら、将来の日本はどうなるのかと言いたい。モノづくりのノウハウや経験をもっている中小企業がつぶれれば、将来の日本で、いざモノづくりを再開しようとしても不可能です。
経営が苦しいからといって簡単につぶすわけにはいきません。四十七人の従業員、家族を含めれば百人以上の生活がかかっています。そういう思いをもちながら、全国の中小企業の社長は必死で頑張っています。つぶせば経営者に残るのは借金だけです。一方、大企業は苦しくなると債権放棄(借金棒引き)です。
われわれ中小企業の資金繰りの相手は信用金庫や信用組合です。規模にもよりますが、私のところは売上は六億円前後です。ところが、信用金庫の融資額の上限は五億円です。信金から「条件変更をして下さい」といわれますが、条件変更をしたら金が欲しくても、もうそれ以上借りられないんです。土地などの価格が下落し、担保割れになっているのを承知で、新たな担保がなければ貸せないという。貸し渋りが激しくなって、昨年あたりから中小零細企業がバタバタと倒産しています。
昨年、川崎市に中小企業に役立つ金融対策を求めて交渉しました。市は「五百万円の融資制度がある」という。しかし、五百万円の融資で助かるのはせいぜい四、五人の零細企業です。その零細企業がいざ借りようとしてもいろいろハードルがあって容易ではないのが現状です。
小渕内閣の時の無担保五千万円融資は実際に助かりました。だからわれわれも生きてこられた。しかし、別枠だからということであの融資を受けましたが、実際は違います。別枠というなら運転資金として借りられるはずですが実際はそうではない。毎月百万ずつ返済してだいぶ減ったので、減った分くらい貸せないかと話しましたが、前の借金があるから貸せないという。
モノづくりも含めて将来の日本経済を考えている大企業の経営者はほとんどいないと思います。中小企業はオーナー社長ですが、大手は雇われ社長ですから目前の業績が大事となる。とくにいまの資本主義では株主の利益が最優先されます。日本の経済がどうなるかとか、そこで働く従業員の生活がどうなるかは関係ない。少し業績が悪くなれば外資だろうが売ってしまう時代になっています。小泉内閣の不良債権処理が進めば中小企業はさらにつぶされ、大手も外資に乗っ取られるのではないかと思います。
声を上げ行動を起こそう
だから誰かが行動を起こさなければ何も変わりません。過激だといわれようが、何千人、何万人が国会議事堂を包囲して騒ぐような行動を起こさなければ政治の流れは変わらないのではないかと思います。アメリカやイギリスが準備するイラク攻撃に反対してヨーロッパやアメリカでは何十万、何百万という人たちが行動に立ち上がっている。ああいうことを日本人はやらなくなった。六〇年安保、七〇年安保の熱気はどこにいったのか。労働組合だって骨抜きにされて騒がなくなりました。
昨年、何度か川崎市と交渉したのですが、なかなか進まない。そこで三月四日に行動を起こそうと計画しています。何もしなければ子や孫の時代に日本の国がつぶれてしまう。苦しんでいる人たちがつぶされる前に力を合わせて行動を起こすべきだと思います。昨年九月に東京日本橋の行動がありましたが、われわれも行動を起こしたい。(文責編集部)
地域経済危機突破 川崎行動
―中小・零細企業を見殺しにするな―
【私たちの訴え】
(1)金融機関の貸し渋り・貸しはがし、やみくもな債権処理をや めさせること。
(2)金融機関による条件変更後のペナルティをやめさせること。
(3)地元地方銀行、信用金庫、信用組合をつぶすな。
(4)計画的な振興策で商店街を活性化させ、地域経済を建て直す こと。
(5)営業に致命的な打撃を与える規制策には政治が救済すること。
(6)いずれ必要となる公共事業をただちに実施し、地元業者に発 注すること。
(7)一日も早い景気対策を講じて失業をへらすこと。
【日時】3月4日(火)午後3時より危機突破大会
【場所】神奈川・川崎駅前ルフロン・日航ホテル前
【内容】日本橋老舗からの特別報告/業界など各界挨拶/来賓挨拶
※危機突破大会後、繁華街をへて市役所前までデモ行進