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『日本の進路』地方議員版40号(2008年9月発行)
ワーキング・プアの父子家庭の経済援助を実現しましょう。
昨年の12月の選挙で地方議会議員になったばかりの新人議員です。3月の定例会の予算審議の過程で、あらためて児童扶養手当は母子家庭のみで、父子家庭には支給されないことを再認識しました。一人親家庭であり、収入の条件は母子と同じであるのに、父子には支給しないということは明らかに憲法14条(法の下の平等)違反であり、近時の男女共同参画の流れに反するものです。
児童扶養手当は、生活保護の一歩手前で機能するもので、生活保護でのさまざまな制約がなく、公営住宅の家賃の減額等があれば、一人親家庭の自立を十分に支えることができます。
当局の見解では、男性の方が女性よりも平均収入が多いことを理由に差別は合理的と言います。平均的収入が低い女性でも、当事者の女性が基準額以上ならば受けられなくて当然です。しかし反対に男性は平均的収入が多いからといって、当事者の男性が基準額以下でも受けられないということは明らかに不合理であります。
問題は、児童扶養手当法にあり、早期に児童扶養手当法の改正をしなければなりません。それまでの間、地方自治体は住民の福祉の増進を図ることを基本とするものであり(地方自治法1条の2)、法改正に先行して条例を制定し、ワーキング・プアの父子家庭の経済援助を実現すべきです。なお、大変な予算がいるわけではありません。東京近郊の13万都市の埼玉県朝霞市で推定年間予算約12世帯で約400万円です。
本来地方議会は立法府ですから、父子手当条例の制定ができるはずです。しかし、朝霞市議会でこうした予算を伴う条例を議員提案で制定した例はないようです。また一人会派(通称名「人権の風」)の私には、きわめてハードルが高いものと推察しました。
そこで一人会派でもできる、条例創設請願及び法改正意見書(2名の賛同者は必要ですが)を議会に提案し、本会議で堂々と正論を述べれば採択を得られるはずです。
日本中の地方議会の至るところで、父子手当に関する請願と意見書が採択されれば、外堀は埋まり早期の法律改正が実現すると思います。(ネットで「朝霞基地跡地問題」と検索されるとYahoo!のブログ6月21日に、請願採択の「劇的」写真があります。13対10で可決しました)
この9月の定例会で、一般質問で市長に対し父子手当条例の早期制定を迫るつもりです。市長にその気がないなら、今度こそ議員提出で父子手当条例の制定を目指したいと考えています この様な提案は一人会派もしくは少数会派のみなさんもできるのではないでしょうか、別紙のような条例創設請願(父子手当条例創設)及び法改正意見書(児童扶養手当を父子家庭まで拡大)を参考にしていただけば幸いです。
(筆者追記 9月定例会で市長に6月の定例会で採択された父子手当条例創設の請願について質したところ来年度実施することになりました。)
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(別紙1)
父子手当条例創設請願
件名
父子手当条例創設の件
要旨
父子手当の創設を要望します。
理由
現在、朝霞市において、児童扶養手当は、父親がいない家庭を対象としています。従って、現行法では、父親がいて、母親がいない家庭は、経済的に児童扶養手当と同じ状態でも支給されません。
子どもの健全育成のためには、経済的事情のみを考慮すべきであり、たまたま父がいたり、いなかったり、母がいたり、いなかったり、そうした偶然の事情だけで支給の存否を決めるのは、妥当ではありません。いわゆる性差別と言われても、仕方がないと考えます。
こうした現状から、各自治体において、父子手当条例が制定されております。朝霞市においても、早期に父子手当条例の制定を要望します。
上記のとおり請願します。
平成20年5月26日
朝霞市議会議長 様
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(別紙2)
児童扶養手当を父子家庭まで拡大することを求める意見書
経済的に困難な母子家庭に対しては、児童扶養手当法により児童扶養手当が支給されているが、同法は父子家庭に対しては児童扶養手当の支給対象としていない。
父子家庭の父についても、子供を18歳まで育てている間には、経済的に苦しくなってしまう場合`もあり、母子家庭と父子家庭を区別せず、経済的に困難なひとり親家庭としての経済的支援が必要である。
さらに、国の施策において、母子家庭と父子家庭を区別することなく、公的扶助の対象とすることは、男女共同参画社会の推進に寄与するものである。
よって、児童扶養手当を父子家庭に対しても支給することとする法律改正を、早期に実現するよう強く求める。以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。
平成20年6月20日
埼玉県朝霞市議会議長 陶山憲秀