米中激突の東アジア、問われる日本の進路一覧

米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-11 [最終]

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

日本が協力しなければ、戦争は起こらない

羽場 久美子

 ありがとうございます。
 皆さんのご報告、とくに伊波さん、それから柳澤さんのお話に全面的に共感します。また地方自治体の方々のお話も非常に共感いたしました。
 本日言いたかったことは、「新冷戦」はすでに始まりつつあること、その際、日本は最前線で近隣国に対し守りを固める立場に置かれているということ、アメリカが、日本や台湾やオーストラリアと結びつつ、中国の封じ込めを考えていること、その中で、中国の専制主義批判や、人権批判、台湾有事の防衛があるということです。逆ではない。つまり中国が軍事化するから、日本も周辺国も軍事的に備えなければならない、というのではない、ということです。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-10

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

自治体として住民の命をどう守るか

柳澤 協二

 

 

 はい、ここでも2点、言いますけど、一つは自治体として、遠慮せずに言えば、あまり「憲法に違反する」とか「対米依存からの脱却」というところでなく、自治体として住民の命をどう守るんだという問題意識で発言すべきではないかということを言いたい。
 さっきも言いましたが、基地からの出撃に対してノーと言うべきであるという意見書を出すべきだということ、そこを私はちゃんと議論していく必要があるだろうと思います。そのなかで住民と問題意識を共有していく。そして、宮古の場合でも、自衛隊のミサイル置いて、いざというときそこが戦場になるわけですが、全島避難の計画なんて、ないわけですよね。それは住民の命を守る立場からいって大問題なわけで、そういう議論を通じて、問題意識を住民と共有するいい時期だと思います。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-9

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

 

日中共同声明と平和友好条約は基礎

 

伊波 洋一

 

 台湾有事での戦争というのは日本が関与しなければ、アメリカはできないということができると思います。だから、集団的自衛権として日本が台湾有事に関与しないことを、大事にしないといけないと思います。
 先ほどの沖縄の島々からのロケット砲の発射や、中距離ミサイルを日本に展開させ、そこから発射することは、日米安保条約の事前協議の対象なので、日本が了解したことになり、その時点で中国と敵対することになります。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-8

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

地域にも不可欠な中国との経済関係

 

筑紫野市議会議員(福岡県) 上村 和男

 先だって、「日経新聞」に「トヨタが大幅に黒字」という記事がありました。その理由の一つは、中国への自動車輸出が伸びているということが理由として挙げられていました。
 福岡県はトヨタ、日産、ダイハツの工場が立地しています。ですから、かつて九州は「シリコン・アイランド」と言われたんですが、最近は「カー・アイランド」というふうに言われています。それくらい地域経済のなかで自動車の占める割合は大きいのです。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-7

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

アジアの共生を進める

金沢市議会議員(石川県)  森 一敏

 金沢大学の教育学系の学生たちと討論する機会がありました。金沢市では育鵬社の歴史教科書を採択、再採択しており、この問題について議論したら、ある学生から、「韓国のように反日の教科書を編集して使用させている国は他にもあるのか」という問いが私に投げかけられました。
 これが一般的な現在の学生の認識かどうかは分かりませんけど、金沢市の教科書採択の動向などが影響を与えている可能性があるのかなと思っています。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-6

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

自治体の立場で何ができるか考える

柳澤 協二

 はい。とりあえず2点だけ申し上げますと、まずは私も台湾問題にどういう答えを出すべきなのかといろいろ悩んでいるんですね。
 とりあえずは、「『一つの中国』の合意に戻れ」と政府レベルでアメリカに対しても言うこと、それはあり得るとは思うんだけど、緊急避難的にね。しかし、「一つの中国」ということを台湾の人たちが望んでいるのかという、もっと本質的な問題もあるわけです。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-5

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

日米地位協定の抜本改定の闘い

神奈川県議会議員 日下 景子

 はい。皆さん、こんにちは。神奈川県議の日下景子です。
 今日は、日米地位協定の抜本改定と、「思いやり」予算の廃止などを求めた知事要請の報告をします。
 7月13日に国民連合・神奈川の皆さん、そして、その他4団体十数人で要請書を出しました。これは今年でもう5回目になります。基地対策課の部長等が出てきます。毎年、渉外知事会というのが8月初めにあるので、7月の終わりくらいということで毎年出しているところです。沖縄に次ぐ「第二の基地県」ということで、黒岩知事が渉外知事会の会長をずっと務めています。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-4

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

宮古、八重山地方の状況

沖縄県議会議員 國仲 昌二

 今日の先生方のお話を聞いてですね、台湾有事、あるいは米中対立ですね、非常に危機感を強くしています。
 逆に言えば、こうした問題について、日本全体の認識がまだまだちょっと甘いのではないかとも感じています。
 先ほどから話にありますように、台湾有事が起きますと、宮古、八重山は必ず巻き込まれるという危機感を持っています。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-3

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

南西諸島での自衛隊基地強化の実態

西之表市議会議員(鹿児島県) 長野 広美

 はい。ありがとうございます。
 皆さん、こんにちは。西之表市議会議員の長野と言います。
 まず、馬毛島の現状を少しご報告いたします。
 今、私たちが戦々恐々としているのは、日本のどこにもない、もしかしたら世界のどこにもない軍事施設が馬毛島にできるのではないかという思いです。
 馬毛島は鹿児島県のおへそにあたる部分にあります。小さな島ですけど、航路、空路の中心に位置します。そして、私たちが暮らす西之表市から西に10キロしか離れていません。実は大隅半島からも30キロしか離れていない位置にあります。面積は約8千平方キロメートル、南北に2・5キロ、東西に2キロ程度の島です。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-2

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

中国での人権や自由への弾圧を
どう考えるか?

羽場久美子

 ありがとうございます。
 重要なご指摘ありがとうございました。中国の「人権侵害」への批判はしていくべきだと思いますし、経済の問題だけで日中関係を考えるわけにいかない、というのもそのとおりだと思います。ただそれを、中国は専制主義だから民主化しなければならない、軍拡しているからこちらも対抗しなければならない、というのは違うのではないかと思います。 続きを読む


米中激突の東アジア、問われる日本の進路 2-1

 第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

沖縄での米軍基地と県民生活の実態

うるま市議会議員(沖縄県)国吉 亮

 はい。よろしくお願いします。
 沖縄県うるま市は、地図で説明するとちょうど沖縄県の真ん中にあたります。
 今日は沖縄県うるま市の基地の現状ということで6点報告したいと思います。
 まず1番目です。
 うるま市では、今年6月10日に、米軍基地キャンプ・コートニーからPFOSという有害成分を含む汚染水が流失しました。このPFOSという成分は人体に悪影響を引き起こし発がんの可能性があり、奇形児が生まれたりする大変恐ろしい物質です。 続きを読む


台湾有事で、日本を戦場にする政府に反対しよう

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

参議院議員・沖縄選挙区 伊波 洋一

 

 私は、「台湾有事で日本を戦場にする政府に反対しよう」というテーマでお話しします。
 日本政府はこの数年、南西諸島での戦争に向けた準備をどんどん進めています。そして、訓練を北海道から九州・沖縄まで広げ、全国どの自衛隊基地も南西諸島での戦争を意識しています。この島嶼防衛イラストが「防衛白書」に掲げられています。自衛隊はアメリカに毎年行って米海兵隊と戦闘訓練をしています。その目的は南西諸島での戦争をするためです。このことを私たちはしっかりと認識しないといけないと思います。 続きを読む


台湾をめぐる米中対立と日本

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

何が心配か?

国際地政学研究所理事長・自衛隊を活かす会代表 柳澤 協二

 

 よろしくお願いします。
 この3月から急遽高まってきたのは台湾問題なんですね。米中対立の焦点が台湾を軸に繰り広げられています。3月の日米の防衛・外交の閣僚による「2プラス2」では台湾有事における協力が議論され、これを受けた4月の日米首脳会談でも焦点となり、菅首相とバイデン大統領による共同声明でも52年ぶりに台湾への言及があったということですね。 続きを読む


東アジアは「新冷戦」の舞台となるか?

第17回全国地方議員交流研修会 ■ PART2 パネルディスカッション

バイデン政権の新しい東アジア戦略

青山学院大学名誉教授・神奈川大学教授 羽場 久美子

 

 今年はあの広島・長崎の原爆投下から76周年目にあたります。
 私の父は広島で少年のときに被爆し、そして奇跡的に命を永らえ、2000年に癌で亡くなりました。毎年巡ってくる終戦の日、そして原爆投下の日というのは常に、いかにそれを繰り返さないかということが問われていると思います。昨日の長崎では「最後の原爆投下になるように」という言葉も出ました。
 キナ臭い情勢が続くなか、いかに近隣諸国と手を結んで、平和と繁栄を維持していくかという観点から国際政治を学んできました。 続きを読む