台湾有事一覧

緊張激化させる敵基地攻撃能力保有

沖縄県民は平和外交を強く求める

全国の自治体で呼応した努力が必要だ

 

 台湾有事が声高に叫ばれ、日米政府が中国敵視のミサイル軍拡と軍事演習を強める中で沖縄県民の「再び戦場か」との危機感は急速に高まっている。中国敵視でなく、平和友好の外交を求める動きが広がっている。玉城デニー知事も呼応している。戦争の危機は南西諸島だけでなく日本全国の課題である。この沖縄県民の危機感を共有し県民の闘いを支持し、全国で闘いを発展させることが求められている。 続きを読む


日中国交正常化50周年記念シンポジウム

日本の進むべき道を議論 台湾有事を回避せよ

 

 

 

日中国交正常化50周年記念シンポジウムが2022年12月23日、参議院議員会館でZoom併用で開催された。主催は同シンポジウム実行委員会で、東アジアの平和と発展を実現するために日本が進むべき方向について、活発な議論が行われた。

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安保3文書閣議決定の撤回を求める 柳澤 協二

「安保3文書」の危うい論理

国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二

 

 

 「戦後安保戦略の大転換」の要である「反撃能力」に関する論理の危うさを、すでに何度も指摘してきた。昨年末に「国家安全保障戦略」など3つの文書(以下、「3文書」という)が閣議決定された。私の年齢になると、読んで賢くなる期待を持てない文書を読むのは時間の無駄だという思いはあるが、なぜこんな発想が出てくるのか、その背景を知りたくて、3文書を読んでみた。以下は、その粗々の感想である。

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台湾有事を避ける道

日本に足りないものは「反撃力」ではなく、
戦争回避の戦略

国際地政学研究所理事長(元内閣官房副長官補) 柳澤 協二

 

 

 

「敵基地攻撃で抑止」という不可解

 ロシアのウクライナ侵攻を受けて、日本では、反撃力(敵基地攻撃能力)をはじめとする防衛力の抜本的強化と、日米同盟強化の議論が盛んである。これらはいずれも、抑止力・対処力の強化として語られている。それだけの力を持てば戦争を抑止すると同時に、戦争になっても負けない、という論理である。

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ペロシ米下院議長訪台

日中国交正常化50周年に考える平和と労働組合の役割

ものづくり産業労働組合JAM会長 安河内 賢弘

 

 

 1991年、ナンシー・ペロシ氏は天安門広場で、「中国の民主主義のために亡くなった者たちへ」と刺繡された横断幕を掲げた。およそ30年後の2022年8月3日、下院議長のナンシー・ペロシ氏は蔡英文総統と会談し、自身の訪台は米国が台湾を見捨てないことを明確に示すものだと伝えた。

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日米首脳会談 台湾有事策動反対

沖縄を再び戦場にさせてはならない

 

自主・平和・民主のための広範な国民連合

 

 岸田首相とバイデン米大統領は5月23日の首脳会談で、「中国をめぐる諸課題への対応」を検討し、「日米同盟の抑止力・対処力を早急に強化」を確認した。

 米国は、ウクライナ戦争に軍事資源を集中し対中国に手が回らない。その分、日本が前面に立った「対中国軍事同盟」の強化であり、アジア版NATOだとも言われる。日本は、「敵基地攻撃能力」で、自衛隊発足以来の「専守防衛」原則を公然と投げ捨てる。英国BBCは国際放送で「日本は平和主義を放棄」と報道した。韓国でのサプライチェーンなど経済のみの「約束」とは大違いだ。当然にも、中国などアジア近隣諸国は、日本が軍拡競争に乗り出したと身構える。沖縄では、「再び戦場にするな」の危機感が高まっている。日本を守る「平和戦略」、アジア共生の外交重視こそ政治の責任である。「専守防衛」の原則を堅持しなくてはいけない。

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台湾有事を避けるために

日本の外交・安保はどうあるべきか 
安心供与の外交こそ大事

新外交イニシアティブ(ND)代表・弁護士 猿田 佐世

 

 

 

 

ウクライナ紛争からの教訓

 2月24日にロシアがウクライナに侵攻し、世界は騒然としました。凄惨な被害を受け続けるウクライナの情勢を見て、元来9条護憲を掲げていた方々の中には、これまでの信念が揺らぎ、軍事力拡大が必要なのではないか、と考えを変えた方がいるとも耳にしています。私も、攻撃開始後1週間ほど、今後の自分の考えをどのように伝えるべきか、大きく影響を受けた日本社会の中で悩みました。

 大国が戦争を決意したら「抑止力」とかなんとか言っていても戦争になるんだ、そういう決意をさせない環境づくりが大事なのだと改めて実感しました。戦争が始まってしまったら取り返しはつかず、戦争を始めさせないことが重要です。

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日本を戦場にする米国「台湾有事」戦略

日中平和友好条約こそ基本

参議院議員 伊波 洋一

 

 

 

戦争あおる南西諸島の軍事化

 私はオール沖縄の参議院議員として外交防衛委員会で、南西諸島の軍事化の問題を重視して取り組んでまいりました。

 今、私たちの国はたいへん危険な方向に向かっています。10年の中国漁船と海上保安庁の巡視艇の衝突事故を契機に12年に尖閣諸島が国有化され、日中関係がたいへん厳しい状況になっていく中で、「南西諸島の軍事化」が米国から日本に求められたと思っています。現在は、日本が自らの国益や本来の主権を見失って、アメリカの意のままに翻弄される状況です。

 今年1月7日に開催された日米の外務・防衛閣僚2+2協議では共同通信が報じた自衛隊と米海兵隊の台湾有事の共同作戦計画原案をさらに進展させる南西諸島の自衛隊基地の日米共同使用や「日米共同作戦」策定の合意となりました。5月5日には岸防衛大臣がワシントンでオースティン米国防長官と会談し、日本の防衛力の抜本的強化と双方の戦略を緊密な協議を通じて擦り合わせていくことを確認しました。まさに戦争への道をまっしぐらに進む状況になっています。

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[シンポジウム 台湾有事を避けるために]   事務局長

シンポジウムを終えて

 

広範な国民連合事務局長 山本 正治 

 ロシアはウクライナ全土に軍事侵攻した。アメリカによる世界支配秩序の時代は終わり、「多極化」の世界が公然と現れた。「ウクライナは明日の東アジア」「台湾有事、日本有事」「核共有」までもが語られる。こうした中でのシンポジウムとなった。
 各氏のご発言は当然にもこの問題からだった。ウクライナの国家主権と領土の一体性への乱暴な侵害・破壊、殺戮行為は許されず、即刻の停戦とロシア軍の撤退を求めるとともに、東アジアでの戦争を避ける、台湾有事にしてはならないことは共通の認識だった。

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[シンポジウム 台湾有事を避けるために]会場からの発言 新垣 邦男

「台湾有事」「中国脅威」  
  地方と乖離した国会の異常さ

衆議院議員 新垣 邦男さん

 

 衆議院議員の新垣です。今日は本当に勉強させていただきました。私は昨年の総選挙で初めて当選し、国会に来ました。
 国会に来て非常にびっくりしたことは、なぜか、国会の中では台湾有事や対中国の安全保障では沖縄が非常に重要な場所だという発言がたびたびあるんですね。ちょっと待ってください、そうなると先ほど伊波先生が言われたように、沖縄は戦争に巻き込まれるんですかと問い返したい。
 沖縄はずっと米軍の事件や事故に悩まされている。しかし、戦争になるという認識はこれまではほとんどありませんでした。なんでそんな議論が活発になっているのか不思議でしょうがありません。先ほどのご発言からも石破先生は沖縄について認識されていると思うんです。石破先生に一つ質問をしたいんです。

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[シンポジウム 台湾有事を避けるために]会場からの発言  林 吉永

軍事的合理性とは敵を殺し破壊し、作戦を遂行すること

 

自衛官OB、元空将補 林 吉永さん

 

 

 一つ申し上げたいのは、軍人・自衛官は軍事的要請の遂行を追求します。学際的にいくら戦争を論じても、現場では敵を殺すこと、破壊することに懸命になるんです。そうしないと自分がやられ国・国民を守れません。

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[シンポジウム 台湾有事を避けるために] 会場からの発言  伊波 洋一

平和友好条約を基礎に日中敵対を避ける

 

参議院議員 伊波 洋一

 

 沖縄選出の参議院議員、「沖縄の風」の伊波洋一です。
 台湾有事は日本の有事であるというのは、台湾防衛のために南西諸島を戦場とするためだろうと思っています。
 今、ウクライナでは隣国への避難民がこれまでに250万人を超えたと言われています。市民が戦火を逃れるのは当然のことで、国連は400万人の避難民を想定しています。ロシアの侵攻後に、地続きの他地域や国外に自動車などの交通手段で避難しているわけです。

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[シンポジウム 台湾有事を避けるために] 羽場 久美子

ウクライナ停戦のためには背景を見る必要がある
 NATOの拡大と武器援助がロシアの恐怖に 

 

 

青山学院大学名誉教授 羽場 久美子

 

羽場久美子先生は本誌に、「NATOとロシアのはざまで引き裂かれるウクライナ」を掲載しています。重複部分は割愛しました。

 私は、中東欧の近現代国際政治、第一次世界大戦それから第二次世界大戦、そして冷戦、さらにはEUやNATO拡大を専門にしています。ロシアのウクライナ侵攻について、あまりメディアで言われていない三つのことについて今日は話させていただきます。

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[シンポジウム 台湾有事を避けるために] 石破 茂

激変の世界、大変な時代に生きている
  安全保障をどう確保するかが問われる 

 

衆議院議員(元自民党幹事長) 石破 茂

 

 

 議員になってもう37年目です。右からは左と言われ、左からは右と言われる。実に不思議な立ち位置にありますが、絶対的な立ち位置は変わっていない。言っていることは変わっていないんです。

戦後は終わり民主主義も危うくなった

 平成の時代はおそらく、三つのものが本質的に変わった、そういう時代だったと考えます。一つは間違いなく「戦後」が終わったということだと思います。昭和20年に少年兵として従軍された方も今は90歳になられる。田中角栄先生は従軍された経験がおありでしたが、ご存命中に、「あの戦争に行ったやつがこの日本の中心にいる間は大丈夫だ」とおっしゃっておられた。「だけど、そういうやつがいなくなった時が困るんだ、だからよく勉強してもらわなければいかんのだ」ということをよく言っておられた。その戦後が終わった。

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