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自主・平和・民主のための広範な国民連合
月刊『日本の進路』2004年4月号

派兵でなく平和的支援を

新聞労連中央執行委員長 明珍美紀


 小泉首相は、ブッシュ政権の「ブーツ・オン・ザ・グランド」(イラクに陸上自衛隊を)という要請で自衛隊をイラクへ派兵しました。
 日本には憲法第九条があり、国際紛争での武力行使や交戦は認めていません。自衛隊の任務は専守防衛です。米英軍が占領し戦闘状態のイラクに、無反動砲などの重装備で自衛隊を派兵することは納得できません。イラクへの援助は非軍事で行うべきです。
 「復興支援が目的」というなら、まず占領軍が撤退して、平和的な枠組みを作って、イラクの人々が主たる担い手であるような復興支援の道を追求すべきです。
 今回のイラク派遣で多額の資金が拠出されます。病院を一つ修理するのに四〜五億円といわれていますから、拠出金が仮に二百億円とすれば五十の病院が立ち直るわけです。また、政府は全国紙とブロック紙に政府公報として自衛隊のイラク派遣の広告を出しました。国論が二分されている問題に、市民の血税を使っていいのでしょうか。使うなら傷ついたイラクの人たちのために使うべきです。
 日本は民間企業が、七〇〜八〇年代にイラクのインフラ整備に協力した実績があります。イラクの人たちにとって本当の支援とは何かということを考える必要があります。
 九九年の国旗・国歌法、盗聴法、そして昨年の有事法制、個人情報保護法など市民の自由や権利に関わる法律が次々と成立しました。公権力による規制がますます強まっているように感じます。
 イラクの自衛隊派遣をめぐっては、防衛庁長官から報道自粛が出されました。政府が情報管理に敏感になっており、報道規制にもつながるものです。報道するか、しないかは基本的には報道機関の自由です。自衛隊員の生命を危険にさらしてまで報道することが、あり得るでしょうか。これも個人情報保護法などとつながる一連のメディア規制の線上にあるのではないかと思っています。
 マスメディアの影響力は大きいと思いますが、いま公権力に対してメディアがどれほどの力があるかが問われていると思います。批判や検証がしづらい状況が強まり、他方でマスメディアは世論を意識しながら報道する。多様な意見ということで誰からもそれほど文句が出ない、あいまいな形になる。本来のジャーナリズムの役割を思いおこさなければなりません。
 労働組合の基本は反戦・平和ですから、新聞労連としてイラク派兵も反対していますし、有事法制についても個人情報保護法についても、ずっと異議を唱えています。また、イラクの問題についても様々な取り組みを行ってきました。市民集会を開き、積極的にアピールやデモに参加する。本当にオーソドックスな方法ですが、きちんと積み重ねていくことが大事だと思います。
 三月四日には元郵政相の箕輪登さんらを招いてシンポジウムを開きました(別掲)。これからも新聞労連として、各地で市民と一緒に考え行動する取り組みを開催していきたいと考えています。(談・文責編集部)
 

みょうちん・みき
 一九八六年毎日新聞入社。札幌報道部、社会部、生活家庭部などをへて、二〇〇三年四月から現職。毎日労組では九四〜九五年、教宣部長を務める。